冬のオススメ過ごし方
二十四節気について
皆さんは「二十四節気」と言うものをご存知ですか?
二十四節気は節分を基準に一年を24等分して約15日ごとに分けたものです。
「春分」や「夏至」などはこの二十四節気に含まれています。
この、二十四節気を知りその季節の特徴と体調の変化を理解すること。
また、食材選びに活かすことは漢方。
すなわち、漢方薬、薬膳などの「養生学」に繋がっていくのです。
以下が二十四節気の名前と時期です。
今回はこの中の「冬」の養生についてご説明していきます。
冬の養生
まず、冬は五行説で言う所の「水」にあたる季節です。
水は「寒湿、下行、滋潤」などの意味合いを持ちます。
この季節に不調が起きやすいのは「腎」
「腎」は、「精」を貯蔵し発育をコントロールします。
「精」とは、生命活動を維持するためのエネルギー源。
身長が伸びたり、髪が伸びるのはこの腎が健康で充実しているから。
それだけでなく、水分調節、血を作る指令、呼気によって得た気を肺から腎におろすなど沢山の役割を担っています。
「腎」は泌尿器系、生殖器系、内分泌系の一部を司っており、冷えによって「腎」の働きが弱くなると腰痛や下半身の怠さ、冷え症、下痢、頻尿、白髪の急増などが起こります。
何をするにもエネルギーと潤いを奪われやすい季節なので要注意が必要。
食べ物から潤いを摂取するように心がけ。
「陰」が増える季節だからこそ「陽」である日光浴も忘れないようにしましょう。
立冬
ちょうど11月の頭にあたる時期、寒さもまだ秋色です。
そもそも、冬と言うのが「腎」が活発な季節であり春に向けてエネルギーを蓄える季節に当たります。
そのため、この立冬から活動も「蓄える」ことを意識して活動していきましょう。
例えば朝、日が上がる前から活動するとエネルギーを消耗してしまいます。
なので立冬を過ぎ、暦上で冬に入ったらなるべく日が上がってから活動するように切り替えていきましょう。
また、この時期は体調を崩しやすく落ち込みやすい時期でもあります。
寒暖差による感冒や、気力減退の起こりやすい時期です。
インフルエンザに漢方薬は効きますか?
冬の時期に流行する疾患と言えば「インフルエンザ」
このインフルエンザにかかった際に漢方薬の「麻黄湯」(まおうとう)が処方されることがあります。
これは、麻黄湯がインフルエンザに対する効果があると言う訳では無く。
インフルエンザの初期に出る症状が麻黄湯の適応する症状である、と言うことから処方されています。
そのため、インフルエンザでも麻黄湯の適応と異なった症状が出ている場合は処方されません。
では、麻黄湯の適応症状は何かと言うと「強い悪寒発熱」、「咳」、「関節痛」などの感冒初期です。
これを聞くと、インフルエンザで処方されるのも納得ですよね。
感冒は影響を与えている六気によって適応「証」が異なります。
この時期は「寒」から来る感冒が多いので「風寒証」の漢方薬が多く用いられます。
冬に大活躍の食材
では、そのような悪寒関節痛を感じる感冒に効果のある食材はないのでしょうか?
よく風邪を引いた時に「ネギを首に巻く」と言うことがありますがその「ネギ」こそ感冒に効果のある食材の一つです。
ネギは身体を温めて体内の巡りを活発にし、冷えが引き起こす痛みの症状改善に効果があります。
その中でも発汗作用が特に強いため、冬の風邪症状に強いのです。
胃腸を温める効果もあるので寒さによる下痢や便秘、腹痛などにも効果的。
まさにこれからの季節の諸症状に強い食材と言えるでしょう。
外邪から身を守る強い味方
続いてご紹介するのは「白菜」です。
こちらは外邪(外から来る病をもたらすもの)の排出をサポートしてくれます。
また、身体を冷やす作用があるため熱を鎮めてくれる効果もあります。
風邪の熱っぽさから、感情の昂りのイライラなども抑えてくれる優れもの。
「脾」と「胃」の働きを強めてくれるので利尿、便意を促す効果もあります。
そのためむくみなどにも効果的です。
冬は渇きやすい季節なので食材で潤いを摂るのが良いですが、摂り過ぎはNG。
水分の豊富な食材と一緒に白菜を合わせることで適度な潤いを与えられますよ。
小雪
いよいよ寒暖差も激しく冬の気候に変わる時期です。
体温の調節には自律神経が深く関わっており、その調節にエネルギーを多く消費します。
寒さに耐えるためにはこの消耗した分のエネルギーを補うことが重要。
睡眠、食事といった生活習慣を見直し。
睡眠時間を伸ばす、睡眠の質を改善する、3食きちんと摂る、等意識してエネルギーを補っていきましょう。
また、冬に不調の出やすい「腎」は冷えに弱い臓器。
腎が冷える→気を消耗する→体が冷える→体を温めようとエネルギーを消耗すると言う悪循環に陥りがちです。
これにより気力、エネルギー不足が起こり体が動かない、やる気が出ない。
また、消化不良、食欲不振なども起こりやすくなります。
陽気不足の冷えに
冬は「陽」気が不足しがちな時期。
そのため、陽気が不足した状態である「陽虚」(ようきょ)証。
また、冬に不調の出やすい「腎」と合わせ「腎陽虚」(じんようきょ)証になりやすい時期です。
今回ご紹介する「八味地黄丸」(はちみじおうがん)は、そんな腎陽虚の改善のために開発された漢方薬と言われています。
腰から下の冷え、重怠さなどがある方におすすめの漢方薬です。
元々は「六味丸」(ろくみがん)と呼ばれる漢方薬に温めて腎陽を補う温捕腎陽(おんほじんよう)作用を加えたものです。
慢性的な冷え性は治すのに時間を要しますが、気になる方は試してみてはいかがでしょうか?
冬の最強メニューとは?
身体がどうしても冷えてしまう冬の時期。
どのような食事を摂ればよいのでしょうか?
今回おすすめするのは「豚肉の生姜焼き」です。
まず「豚肉」にはこの季節に不調が出やすい「腎」の機能を高め、不足しがちな「気」と「血」を補ってくれる効果があります。
正に冬にぴったりの食材と言えますね。
なので、豚肉を中心にメニューを考えて頂いてももちろん良いのですが今回はここに「生姜」を足して体を温める効果を足していきます。
「生姜」は、冷えの症状全般に効果があります。
手足の冷えなど冷え性の方にも効果がありますよ。
豚肉の生姜焼きはメニューとして取り入れやすい冷え性対策メニュー代表です。
冬の食卓に迷った時は、是非選んでみて下さい。
温める力がナンバーワンのお肉
では、強まっていく冷えに備えるため身体を温める食材をもう1点。
次にご紹介するのは「ラム肉」です。
実は、肉類はそれぞれの種類で効果が異なっておりこのラム肉は肉類の中でも五性の「熱」を持ち特に高い身体を温める効果を持っています。
そのため、食べ過ぎると過剰な熱を生み出しかねないため注意が必要です。
また、「腎」の働きを高め「気」「血」を補う効果も持つためこちらも冬にとても強い食材です。
ラムしゃぶなどで食べる時は「涼」性の小松菜と一緒に食べるなどすると暖め過ぎの対策になるかも知れませんね。
大雪
夏とは変わって陰気が増えていく冬。
大雪の頃には冬至が近づき日照時間も短くなってきます。
そうすると「陽」気が減って気分も塞ぎがちに。
引き続き「腎」の消耗を避けつつ、睡眠時間や睡眠の質には注意が必要です。
また、この時期に不足しがちな「気」「血」を補う食材を積極的に取り入れることは有効です。
また、夏にもありましたが「冷え」は体をこわばらせ肩こり首こりなどを悪化させます。
年末年始の忙しい時期にも入ってきますので、ここで年末年始に備えた養生を改めて心がけましょう。
女性の三大漢方、当帰芍薬散
肩こりや腰痛を感じた時、飲める漢方薬があるのでしょうか?
実は、漢方薬には肩こりに効くものが沢山あります。
「葛根湯」(かっこんとう)、「二朮湯」(にじゅつとう)、「釣藤散」(ちょうとうさん)、「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)、「桂枝茯苓丸」(けいしぶくりょうがん)、「加味逍遙散」(かみしょうようさん)、「大柴胡湯」(だいさいことう)、「防風通聖散」(ぼうふうつうしょうさん)、「桃核承気湯」(とうかくじょうきとう)、「通導散」(つうどうさん)など
今回はその中でも冷え性+肩こり腰痛に効果のある「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)をご紹介します。
当帰芍薬散は、女性の三大漢方とも呼ばれている漢方薬です。
その名の通り月経不順や月経異常などの月経トラブルにも効果があります。
また、当帰芍薬散は対応する作用も多く他にもめまい、立ち眩み、むくみ、耳鳴り、腹痛にも効果あり。
冬に限らず冷え性で月経トラブルがある、と言う方は一度試してみるのはいかがでしょうか?
肩こり予防に「にら」を
では、肩こりを防ぐために食べるべき食材はなんなのか。
そんな時は「にら」を是非召し上がってみて下さい。
にらは、この時期に不足しがちな「陽」を補う働きがあります。
血の巡りを活発にするので肩こり予防に効果的です。
また、身体を温める作用もあるので冷えが引き起こす腹痛、下痢、便秘、消化不良の改善にも効果的です。
また、このにらの良い所は「腎」も補ってくれるところ。
腰や膝の怠さも一緒に防いでくれますよ。
血を補う立役者
月経不順を漢方薬の項目で触れましたが、では月経不順の改善に効果のある食材はないのでしょうか?
そんな時に効果を発揮してくれるのが「人参」です。
人参は、「脾」の働きを高め消化不良を解消する作用があります。
そのため、胃もたれや食欲不振などに効果的です。
そして、月経不順と関係が深いのはもう一つの特徴。
人参は「血」と「津液」を補う作用があるためめまい、月経不順などの栄養不足が原因の症状を改善してくれます。
「血」を補う作用から貧血の改善にも期待出来ます。
生理になると貧血を起こしやすい、と言う方は人参を積極的に取り入れてみて下さい。
冬至
いよいよ「陰」気がピークになる冬至です。
ここからは春分に向け陽気がまた段々と増えていきます。
しかし、逆に考えれば「陰」気が最も強く心身への負担が一年で最も強い時期。
身体を冷やさないように温かい飲み物、食べ物をとる機会も増えると思いますが摂り過ぎはかえって体を冷やすのでほどほどに。
「陽」気が減ると心臓を動かすエネルギーも減少するため、動悸、息切れ、胸の圧迫感など心臓周りの不調が出やすくなります。
また、年末年始の疲れとぶつかるのもこの冬至の時期。
暴飲暴食や、睡眠不足、逆に寝すぎてしまうことによる「陽」気不足など。
時期的なイベント毎も無理をしすぎないように気を付けましょう。
漢方薬の名前の秘密
冬至に起きやすい症状で出た「動悸がする」、とは症状でよくありますが動悸とはどのような状態を指すのでしょうか。
動悸とは、自分の心臓の拍動(ドキドキ)に敏感になり、深い違和感を感じている状態を指します。
そのような動悸がする時は、以前にご紹介した「柴胡加竜骨牡蠣湯」(さいこかりゅうこつぼれいとう)が用いられることがあります。
そして、この柴胡加竜骨牡蠣湯に名前が似ている桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)も動悸(心悸亢進、動悸が激しい状態)の漢方薬として用いられます。
ただし、この2つは適応「証」が異なるため間違えると効果を感じられない可能性がありますので選ぶ際には注意して選ぶようにして下さい。
柴胡加竜骨牡蠣湯は「小柴胡湯」がベース、桂枝加竜骨牡蠣湯は「桂枝湯」がベースの漢方薬です。
どちらもそのベースの漢方薬に「竜骨」(りゅうこつ)と「牡蠣」(ぼれい)が加わっています。
つまり、小「柴胡」湯に「加」える「竜骨」と「牡蠣」で「柴胡加竜骨牡蠣湯」
「桂枝」湯に「加」える「竜骨」と「牡蠣」で「桂枝加竜骨牡蠣湯」
こうして、漢方薬の名前を紐解いてみても選ぶ選択肢が広がっていくかもしれませんね。
なお、竜骨と牡蠣はどちらも精神不安定を重さのある生薬でおさえる「重鎮安神」(じゅうちんあんじん)作用のある生薬です。
冬至 ゆず 湯治 融通
今回ご紹介する食材は、季節的なものを2つ。
まずご紹介するのは冬至に入るお風呂に浮かべるもので有名な「柚子」
この冬至にゆず湯に入るのは「冬至」と「湯治」、「柚子」と「融通(がきく)」をかけた語呂合わせからと言われています。
では、このゆず。
薬膳的にはどのような効果のある食材なのでしょうか?
ゆずは実と皮で作用が異なる食材です。
実には胃を整えて消化を高める働きがあります。
また、酒や魚の毒を抑える作用もあります。
皮には気を全身に巡らせる作用があり、イライラ、不眠などに効果あり。
咳や痰なども抑えてくれます。
コンビニなどでホットのゆず茶が販売されていますが、気を巡らせつつ、喉も守ってくれるので喉の痛みを感じた時は是非飲んでみて下さい。
お正月の風物詩
お正月ならだれでも1度くらいは食べる機会が多いであろう「お餅」
では、このお餅を薬膳的に見るとどういった効果があるのでしょうか。
お餅の効果はその原材料の「もち米」とほぼ同じと言われています。
もち米は気を補い、冷えを解消する効果のある食材です。
元気の出る食材、として昔から利用されてきました。
慢性的な疲労改善、冷え性から来る下痢にも有効的です。
また、消化が悪いイメージを持たれがちなお餅ですが実は消化の悪い食べ物ではありません。
食べる時は温めて、どんな食材とも同じように食べ過ぎないようによく噛んで食べれば問題ありません。
気になるようであれば「白玉」など元から小さくなっているものを選んでも良いかも知れませんね。
小寒
この時期から大寒にかけ、一年で最も寒い季節となります。
前にも書きましたが寒さは「腎」の大敵です。
新たな一年の始まり、仕事始め、学期始めなど気持ち的な切替の上手くいきやすい小寒の時期。
上手に栄養を補給することで身体的にも活動的に切り替えるチャンスです。
正月疲れで疲れた胃は、食事量を少なめにして休ませてあげましょう。
ただでさえ、冬は「陰」気が増えメンタル的な不調が出やすくなります。
胃腸が弱ることもメンタル的な不調を呼びやすいので胃腸の疲れは早めに休ませてあげて下さい。
休み明けのやる気をチャージ
しかし、養生を心がけていてもどうしても長い休みの後は体が動かない、すぐに疲れてしまうなど休みとのギャップに悩みやすい時期ですよね。
そんな時に、気力をチャージしてくれる代表的な漢方薬が補中益気湯と十全大補湯の二つ。
春の項目で補中益気湯はご紹介しているので今回は「十全大補湯」(じゅうぜんたいほとう)をご紹介したいと思います。
十全大補湯は、冬に起きやすい「気」と「血」の不足に最適な漢方薬です。
補中益気湯よりも補血効果に優れています。
元は「四物湯」(しもつとう)と言う、補血、活血に優れた漢方薬に陽気を補い寒邪を除く捕陽散寒(ほようさんかんさよう)と気を補い脾の働きを改善する補気健脾(ほきけんぴ)作用を加えたものです。
どちらも気の補充に強い漢方薬です。
十全大補湯も食欲不振に適応がありますが、食欲不振が強い場合は補中益気湯。
貧血症状がある場合は十全大補湯をお使いになってみて下さい。
アンチエイジング、滋養強壮と言えば
今回は、この季節に不調が出やすい「腎」に補う食材を2点ご紹介します。
まず一つ目は「ヤマイモ」です。
ヤマイモは、腎の他にも「脾」と「胃」を養い消化吸収を高めスタミナ不足の改善に役立ってくれる食材でもあります。
中国では「山薬」(さんやく)と呼ばれる滋養強壮薬としても知られます。
腎を養うことはアンチエイジング効果にも繋がっているため、ヤマイモを積極的に食べることはアンチエイジングにも効果的。
老化予防、ホルモンバランスの調整と大活躍し更年期障害による不定愁訴にも効果が期待出来ます。
また、お子様の発育も促してくれる成長を司る食材です。
どの海老の種類でも大丈夫
続いてご紹介するのは「海老」です。
こちらも「腎」の機能を高める作用を持ち、更に気を補ってもくれます。
そのため、疲れ、足腰の怠さ、白髪、筋力精力の低下の改善に効果が期待出来ます。
こちらも、アンチエイジング効果。
また、お子様にもおすすめの食材。
継続して食べることでその効果をより感じられます。
また、海老は身体を温めて冷えを改善する作用もあるのでこの季節にもピッタリ。
殻には血の巡りを活発にする作用もあるので血の巡りがあまり良くない「瘀血」(おけつ)体質の方は殻ごと食べられる調理方法で摂取するとより良いでしょう。
大寒
暦上、冬の最後の節気です。
一つ前の小寒から引き続き1年で最も寒い時期が続きます。
大寒は「気」「血」の巡りが滞りやすくなるとも言われています。
最初に冬は「蓄える」時期とお話しましたが、この最後の節気もしっかり蓄えていきます。
新しい活動や、運動で汗をかくことは次の「春」まで待つのが良いでしょう。
また、気温の低い時期が続きますので気血の巡りの悪さにより関節痛、足腰の痛み、肩、首こりの悪化。
免疫機能の低下、菌への抵抗力の低下に伴う感染症などもおきやすいので注意しましょう。
漢方を選ぶ時のポイントとは?
漢方薬を用いられる時に、大きく体質を分ける参考として「虚証」、「中間証」「実証」と言うものが用いられます。
簡単に説明すると虚証は、瘦せていて抵抗力の弱そうな方。
実証は、がっちりしていて抵抗力が強そうな人、中間証はその中間にあたる人と表現されることがあります。
見た目の印象で?と思われるかも知れませんが、まずはこのような大まかな分類から症状を確認しその人にあった漢方薬を見つけていくためこの虚実はとても重要です。
そのため、漢方薬でもこの虚実が合わない漢方薬はオススメされません。
今回虚実のお話をしたのはご紹介する「桂枝加朮附湯」(けいしかじゅつぶとう)が虚実を問わずに使うことが出来る漢方薬だからです。
桂枝加朮附湯は寒さが原因、また陽気不足が原因の神経痛、関節痛に効果のある漢方薬です。
患部が冷えて重苦しい痛みを感じる人に用いられます。
自分がどの体質か、分からないと言う時でも虚実を問わない漢方は選択しやすいものです。
症状が一致している、と言う時のファーストチョイスとして選んでみてもよろしいかも知れません。
慢性疲労にかぶを
大寒は「気」と「血」が最も不足しやすい時期であるとお話しましたが、春に向け万全の準備をするため今回は気血を補ってくれる食材をご紹介します。
まず、ご紹介するのは「かぶ」です。
カブは気と血を補う、と言うより慢性的な疲れを感じている「気虚」(ききょ)、「血虚」(けっきょ)の体質の方にお勧めの食材です。
どちらも「気」、「血」が不足している方に出る体質です。
かぶ自体には胃を温める作用があり、腹痛、下痢、便秘などの症状に効果的。
また、温めながらも身体に潤いを与え熱を抑えてくれるのでどちらか一方の効果が強く出てしまうと言うことが無い珍しい食材です。
春に向け「気」が不足している、「血」が不足していると感じる時はかぶを食べてまずは慢性的な疲労を補ってみてはいかがでしょうか?
たら 気血不足
身が雪のように白いことから漢字が作られている「鱈」
また、「たらふく食べる」の「たら」もこの「鱈」から来ているそうです。
そんな鱈は、「気」と「血」を補ってくれる作用があります。
そのため、こちらも気虚と血虚体質の方にお勧めの食材です。
全身の疲れ、息切れ、食欲不振、情緒不安などに効果があります。
血の巡りを活発にして出血を抑える作用もあるため、肩こり生理痛などにも有効的。
最も気血が不足する大寒の時期だからこそ、鱈を使ったメニューを選んでみて下さい。
鱈自体は五性の「平」のためどの食材とも合わせやすい食材。
今回冬でご紹介した他の食材と合わせてお鍋の具材として取り入れてみてはいかがでしょうか?
出典:現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖症状からチャートで選ぶ漢方薬 杉山卓也著
出典:新版 毎日使える薬膳&漢方の食材辞典 阪口珠未著 ナツメ社
出典:食べて体と心をととのえる二十四節気の漢方食材 櫻井大典著 株式会社晋遊社
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