Our Attitude to Treatment/当院の治療姿勢
  1. Shared Decision Making (SDM)/想いを尊重し、共有し、最善を目指す
  2. Bio-Psycho-Social model/多元的に診る

Shared Decision Making (SDM)/想いを尊重し、共有し、最善を目指す

Shared Decision Making(SDM)は、共同意思決定と訳され、
「患者さんと医師が、価値(Value)、優先順位(Priority)、目標(Goal)、治療の嗜好性(Preference)、責任(Responsibility)を話し合い、共同して(Shared)治療方針を組み立てる(Decision Making)こと」
を指します。

患者さんの「こころ」に触れる心療内科、精神科では、その背後にある人生にも関わるため、患者さんお一人お一人が何に価値(Value)、優先順位(Priority)を置き、何を目標(Goal)としていらっしゃるかは重要で、そのうえでどういった方向に治療の嗜好性(Preference)があり、どこに責任(Responsibility)を持つのかを十分に話し合い、それらを通して、共同して(Shared)治療方針を組み立てる(Decision Making)のです。

特に「こころ」は目には見えない存在のため、精神医学は不確実性から本質的に逃れることはできず、また当然ですが「こころ」は他の誰でもない患者さん自身のものであるため、治療の嗜好性(Preference)はより重要性を帯びます。

当院は、このことを精神医療の最重要事項と考えております。
患者さんのご希望、お考えを最優先とし、かつ治療の有効性、緊急性、デメリットを専門医の立場からご説明して、患者さん自身が納得して治療方針をご選択できるようにお手伝いいたします。

Bio-Psycho-Social model/多元的に診る

精神科医だったジョージ・エンゲル(George Engel, M.D. ,1913–1999)は、
1977年に生物心理社会モデル(Bio-Psycho-Social model)を唱えました。

これは、病を抱えている方を
1.生物医学的(Biological, Biomedicine)だけでなく、
2.心理的(Psychological)、かつ
3.社会的(Social, Sociality)に
捉える、つまり多元的に診る必要があるというものでした。
提唱から40年以上も経っていますが、この重要性は今日も色褪せることはありません。

1.生物医学的な視方とは、精神疾患を「脳」というヒトが最も高度に発達させた、非常に複雑な神経ネットワークのアンバランスによって生じたものと捉えるものです。
これに対応した治療法とは、薬物療法(いわゆる安定剤など)を指します。
お薬も1つの治療上のアプローチではありますが、それ以上に

2.心理的な視点を忘れないことが大切であると考えています。
なぜなら、人の「こころ」は決して単純な脳の反応としてのみ捉えることは不可能だからです。
例えば、人生における悩みは、それを脳の反応とみても何の解決にもなりません。
「こころ」の観点を持ち、「こころ」に「こころ」で向き合わなければ、そこに安らぎは生まれません。

3.さらに、現実的な問題としての職場、家庭などの社会的な課題点を改善すること(これを環境調整と言います)を行うことが重要です。
人は必ず社会の中で生きています。
その社会が安全でないなら、おびやかすものであったら、心穏やかにいられるはずはありません。
安心できる環境を整備することは、治療の基礎作りとも言える、大切な作業なのです。