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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「躁うつ病(双極性障害)」は、躁状態ばかりが注目されがちですが、実際には、症状のある期間が長い方は「うつ症状」であり、「双極Ⅱ型障害」では特にその傾向が顕著です。「双極Ⅱ型障害」の方の「躁状態(軽躁状態)」は、「今日は珍しく、朝から気分が悪くはないな」「少しだけお出かけできるかも…」といったような、「いつもよりちょっと気分が良いと感じられる日」といった程度です。躁状態が目立つ「双極Ⅰ型障害」でさえ、うつ状態の時期は全病期中32%(躁状態は9%)、「双極Ⅱ型障害」では50%(躁状態は2%)なのです。
つまり、双極Ⅱ型障害の方は、殆どの期間が「うつ状態」であり、躁状態(軽躁状態)はごくわずかにしか現れません。そのため、最初に心療内科・精神科等を来院されると「うつ病」と診断されてしまうことが少なくはないのです。
こういった誤解を防ぐ為、米国精神医学会では診断基準を作成し、「双極性障害」という病名をはっきりと打ち出しました。また、「うつ病」は、「躁うつ病(双極性障害)」と間違われやすいため、明確に区別するために「単極性うつ病」とも呼びます。
なお、躁うつ病(双極性障害)の患者様の半分以上は、最初はうつ症状から始まるとされています。海外の研究機関からの報告によると「躁うつ病(双極性障害)の40%は、最初うつ病と診断されていた」「うつ病の外来患者の5人に1人は躁うつ病(双極性障害)である」といった知見もあります。
このことは、日本でも既知の事実であり、始めは「うつ病」疑いで診ていた患者様が、定期的な診療を重ねていく内に、実は「躁うつ病(双極性障害)」であることが判明し、病名が変更されるということは珍しくはありません。よって、医師の方も、患者様から「調子が悪い時」だけでなく「調子の良い時」の問診もしっかり行うことで、その両者の鑑別診断を行っていくことになるのです。患者様側も、つい「調子が悪かった時」のエピソードを重点的にお話されがちですが、「(例外的に)調子が良かった時」があったのであれば、そのこともぜひ医師側にお伝え頂けることが、より正確な診断に繋がるのです。
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