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【医師監修】 心療内科を受診してもいい?受診するべき症状の目安を解説

【医師監修】 心療内科を受診してもいい?受診するべき症状の目安を解説

心療内科を受診してもいい?受診するべき症状の目安を解説

「最近気持ちが乗らない日が続いているな…」
「会社の近くに行くとお腹が痛くなる」
「どのくらいの症状で心療内科を受診していいのか…受診の目安が知りたい!」

身体の不調が続き、気になって心療内科を受診してみようと思いつつも、どのくらいの症状で受診するべきなのかわからないですよね。

そこで今回は、心療内科を受診する目安を具体的な症状で解説していきます。

心療内科受診の流れやメリット、よくある質問についても紹介していますので、「身体の不調を軽くして苦痛のない日常生活を取り戻したい」という方はぜひ最後までご覧ください。

 

心療内科を受診する症状の目安は?

心療内科を受診すべき目安は、状況や症状によって異なりますが、不調を感じるのであればいつでも受診してよいでしょう。

とはいえ、どの程度の症状で受診すべきか目安があると「受診していいものか」という心配が減りますよね。

大まかな目安や、具体的な症状を用いて受診の目安を解説していきます。
症状の目安

心身症は無意識のうちに悪化していく可能性があるため、身体的な不調が続く場合には早めの受診をおすすめします。

早めに受診し、原因がわかってくると症状の緩和も早くなりますよ。

心療内科では主に、ストレスに対する身体的な症状、すなわち心身症の治療を行います。

心身症とは、社会的ストレスによって身体的な不調をともなう疾患です。

社会や人間関係などが原因で発症・悪化する場合が多く、一般的な治療では根本的な改善は困難です。

また、「この程度での受診は甘えなのではないか」と我慢してしまう方も多いですが、辛いと思った時に受診することがよいでしょう。

心療内科では主に以下のようなタイミングで受診を検討される場合がほとんどです。

● 外傷や身体の病気(異常)がないのに、痛みが続いたり、不調を感じたりする
● 症状があって、日常生活や社会生活に影響が出る
● 学校や会社を休まなければならないほど身体的な苦痛を感じる
具体的な症状
では、身体的な苦痛や不調とは具体的にどのような症状が当てはまるのか、以下の項目をチェックしてみましょう。

直近2週間の状況を思い出してみてくださいね。

● 仕事前になると頭痛や吐き気が出る
● 緊張すると腹痛や下痢になる
● 風邪をひいていないのに発熱や咳、喉のつまり感がある
● 食べ過ぎ、もしくは食欲の低下により体重の変化が大きい
● めまいや動悸、息切れがする
● 突然涙が出てくる
● 手足のだるさやしびれ感がある
● 肩こりや腰痛が長引いている
● 趣味が楽しく感じない
● 気分が落ち込み何も手につかない
● 寝ても寝ても疲れが取れない
● なんだかソワソワ、もぞもぞする

これらの症状が1〜2つ以上当てはまる場合は、心療内科の受診をおすすめします。

心療内科を選ぶ2つの基準

次に心療内科を選ぶ基準を見ていきましょう。

心療内科を選ぶ基準として、以下の2つを参考にするとよいでしょう。
自宅や駅からの近さ
心療内科は、家や駅から近い場所にある医院を選びましょう。

なぜなら、症状や回復目標によっては定期的な通院が必要なため、何度も足を運ぶには通いやすい方がよいからです。

家や駅から遠いと、通うのに疲れてしまいストレスがさらに溜まってしまいます。

とはいえ、家から近すぎると近所の目が気になるという方もいますよね。

必ずしも家や駅の近くでなくともよいですが、通いやすい場所を選ぶのがポイントです。
予約の取りやすさ

心療内科の医院によっては、人気のあまり予約が取りづらく、1か月以上先になってしまう医院もあります。

予約が取りづらい医院は、診てもらいたい時に診てもらえない可能性がありますよね。

気軽に相談できる雰囲気のある心療内科を選択すると、周りを気にせず気持ちも楽になります。

また、電話で予約なのかネットで予約なのかによっても予約の取りづらさはあるのではないでしょうか。

通いたい心療内科がどのような予約方法をとっているのか、確認しておきましょう。

 

心療内科受診の流れ

心療内科の受診を決めたはいいものの、どのような流れで治療が進むのか気になりますよね。

また、心療内科をはじめて受診する方にとっては、受診だけでもハードルが高いのではないでしょうか。

「どのような検査をするのだろうか?」
「どのようなことを聞かれるのだろうか?」

といったことが気になってくると思います。

そこで、心療内科初診時の具体的な流れをご紹介します。
問診
まずは、内科や耳鼻科など他の診療科と同様に問診を記入します。

問診の前に予約の時点で、症状などを聞かれる場合もありますよ。

問診表でよく聞かれる項目は次の通りです。

● いつから、どのようなきっかけで症状が起こるか
● 今までにその症状に対して、治療を受けたことがあるか
● 現在、飲んでいる薬があるか
● 今まで大きな病気にかかったことがあるか

書きづらいことは無理に書かなくても問題ありません。

医師に伝えたい内容や、相談したい悩みを伝えるツールとして活用しましょう。

診察

心療内科は、社会的なストレスと身体的な症状を合わせて、総合的に判断します。

そのため医師とのコミュニケーションに、重きを置かれることが特徴です。

心療内科の初診は、担当する医院によっても異なりますが、およそ30分〜60分かかる場合がほとんどです。

一般的には次のような項目を聞かれます。

● どのような症状が、いつから出ているのか
● 家族構成や関係性
● 仕事や人間関係
● 日常生活の状況
● 食事をとれているか
● 睡眠をとれているか
● 希望する治療法
● 希望しない治療法

とくに伝えたい内容はあらかじめまとめておくと、医師に伝わりやすくなり、症状の原因も見つかりやすくなります。

診察で言いづらいことは、無理して言わなくても大丈夫です。

検査

心療内科では問診が中心ですが、必要に応じて検査を行う場合もあります。

なぜなら、社会的ストレスが原因の身体症状なのか、他の病気がもともと発症しているのかを見極めるためです。

こころの不調が身体的な影響を及ぼす場合もあれば、身体的な不調がこころに影響している場合もありますよね。

心療内科で行う検査には以下のようなものがあります。

● 血液検査
● 尿検査
● 超音波検査
● 心電図検査
● 脳波検査

内科的な検査を行い、もともと身体の病気が発症していないかを確認したうえで、総合的に心身症なのかどうかを診断します。

他にも必要に応じて知能検査や発達検査、人格検査などの心理検査を受ける場合もありますよ。

 

心療内科の主な3つの治療方法

心療内科での治療は、社会的なストレスが原因で起こる身体の不調を和らげる目的があります。

ストレスといっても、生活習慣や考え方を変えるだけで症状が軽快するケースもあります。

心療内科での治療の方法は大きく分けて「薬物療法」「認知行動療法」「カウンセリング」の3つです。

それぞれご紹介していきます。

薬物治療
薬物治療とは、内服薬で症状を軽快する治療方法です。

心療内科の内服薬は症状に応じて、以下の種類の中から選択されます。

● 睡眠薬
● 抗うつ薬
● 抗不安薬
● 鎮痛剤
● 制吐剤
● 下痢止め
● 漢方

「抗うつ薬」などの病気に対する薬や、「鎮痛剤」などの症状をやわらげる薬なども状況に応じて処方内容が異なります。

最終的には薬がなくても安定した生活を送れるように、医師は量を調整します。
認知行動療法
認知行動療法とは、心理療法の一種で医師や臨床心理士のもとで行われる方法です。

私たちはストレスに対して悲観的になりやすく、自分のこころを追い込む傾向にあります。

たとえば失敗したときには、心臓がドキドキして家にとじこもりたくなるといったことがありますよね。

また、以下のように考えてしまいませんか。

● 〇〇すべき
● 私なんて〇〇
● どうせ〇〇
● 〇〇に決まっている

こういった考え方を客観的に見て、現実との違いを感じてもらいます。

考え方以外にも、感情や身体の反応、振る舞い方に着目し、さらなる悪循環に陥らないよう調整していきます。

ストレス反応の癖を見つけだし、楽になれる考え方を一緒に探していくとストレスに対して上手に対応できるようになります。

患者さんを一人の人間として認識し、その人の問題点や長所をピックアップして治療方針を決定していくため、自分を見つめるよいきっかけにもなるでしょう。

自信や考え方のコントロール方法を身につけ、他者との関わり方の改善にもつながります。

欧米ではうつ病や不安障害、不眠症など、多くのこころの病気で効果が実証されていますよ。
カウンセリング
カウンセリングとは、医師やカウンセラーとの面談を通じて、自分の心の中を整理していくものです。

自分の状況や心の声を話すと、気持ちが楽になり自分がどうしたらよいのかなどの解決策がみつかります。

具体的な指導を受ける場合もあれば、話をまとめるだけの場合もあり、治療時間も人それぞれ異なります。

悩みやつらい気持ちがある場合にはネガティブに考えすぎてしまい、自分の気持ちがよくわからなかったり、どうしたらよいのか迷ったりしてしまいますよね。

ストレスからくる症状を治すのが目標ではありますが、悩みを打ち明けることもカウンセリングでは大事な役割の1つです。

 

 心療内科 を受診する2つのメリット

 

心療内科を受診すると得られるメリットを2つご紹介します。

個人差はありますが、1人で抱え込むよりも気持ちが楽になりますよ。
不調の原因がわかる
心療内科を受診し、問診を受けるなかでストレスの原因が見えてくる場合があります。

原因がわかれば、ストレスを解消したり問題解決の手段が見つかったりして、症状を軽快させられるでしょう。

早期に対処すると症状の悪化を防ぎ、治療を受けながら学校や会社に通えるケースもあります。

心療内科で診る心身症の原因は、人それぞれさまざまです。

これまでの生活習慣や考え方などの個人の特徴や、進学や就職、結婚や死別など環境の変化によって影響します。

ストレスが身体にどのような影響を及ぼしているのか、知るきっかけにもなるでしょう。
症状の改善が期待できる

長い間我慢してきた苦痛が改善される可能性があります。

たとえば偏頭痛や腰痛は、痛み止めを服薬しても効きにくく、薬に依存してしまうのではないかと痛み止めを飲まずに我慢している方もいますよね。

心療内科を受診してストレスの原因がみつかれば、そのような症状が軽快するかもしれません。

症状の改善が期待でき、苦痛のない生活がおくれるの可能性も出てきますよね。

また、受診が早ければ早いほど、回復も早くなる傾向があります。

他の病気が見つかる
心療内科では、他の病気が見つかる場合もあります。

血液検査や心電図検査、問診や診察をとおして多角的に評価できるためです。

たとえば食欲が低下する甲状腺疾患や、めまい・耳鳴りを引き起こすメニエール病が見つかるケースもあります。

自分では症状から病気を特定するのは難しいため、心療内科を受診して、病気の早期発見につなげましょう。

 

心療内科の受診をする際の3つの注意点

心療内科での受診で注意すべき点が3つあります。

注意点やそれぞれの対策方法について1つずつご紹介します。
待ち時間が長い場合がある
心療内科の診察は、問診が中心です。

患者さん1人ひとりに時間をかけるため、とくに初診の患者さんが多い日には待ち時間が伸びかねません。

また、厚生労働省の統計 によると神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害の外来患者数は2002年には49.4万人だったのに対し、2017年には82.8万人と2倍ほど患者数が増えている結果となりました。

そのためストレス社会でもあり、患者さんが年々増えている傾向にあります。

待ち時間が長いと緊張感も高まってしまうため、事前に予約しておきましょう。
診察時に症状が伝わらない
初診の場合には、とくにどのような場面でストレスを感じやすいのかを見極めるために、

初対面で心療内科にハードルを感じていると、緊張してしまい気持ちや状況をうまく伝えられない場合があります。

すべてを伝える必要はありませんが、治療のためにも情報はとても重要です。

事前に聞かれそうなことや生活の状況をメモに残しておくと、言葉を詰まらせてしまった場合に医師へ伝えやすくなります。
カウンセリングが受けられない場合もある
医師の問診だけでなく、カウンセリングでも話を聞いてもらいたいと思う方もいるのではないでしょうか。

しかしカウンセリングは、重症度や状況によっては受けられない場合もあります。

なぜなら、カウンセリングをして帰って症状を悪化させてしまう場合もあるからです。

カウンセリングは医師が必要と判断した場合にのみ受けられる医院が多いため、必ず受けられるわけではないと覚えておきましょう。

 

心療内科の受診に関するよくある質問

 

心療内科の受診に関するよくある質問に解答していきます。
受診にかかる費用はどのくらい?
心療内科には、保険診療と自由診療があります。

保険適応の場合は初診では2,500~6,000円程度、再診では1,000~2,000円程度です。

自由診療の検査や治療が追加になるとさらに費用も上がります。

自由診療 の内訳は主に、以下の検査や治療があります。

● 光トポグラフィー検査
● うつ磁気刺激療法
● ストレス測定
● カウンセリング

気になる方は、心療内科のサイトを確認しましょう。

心療内科と精神科の違いは?

心療内科と精神科はどちらもメンタルに関する心療科であり、医院によってはどちらも合わせて「メンタルクリニック」や「心療内科」と表記をする場合があります。

しかし、具体的には違いがあり、それぞれご紹介します。

心療内科

心療内科では「身体の病気 」を治療します。

ストレスにともなう身体の症状が出現した場合には、心療内科の受診がおすすめです。

内科疾患や緩和ケア、ストレスが関与する疾患などと幅広く診療するのが特徴でもあります。

たとえば、以下のような病気の場合です。

● 潰瘍性大腸炎
● 機能性胃腸炎
● 気管支喘息
● 虚血性心疾患
● 肥満症
● 偏頭痛
● 過敏性腸症候群

精神科

一方で精神科では「こころの病気 」を治療します。

気分が落ち込んだり、イライラしたりなど精神的な

適応する病気には以下のような種類があります。

● うつ病
● 統合失調症
● パニック障害
● 依存症

心療内科と精神科どちらを受診していいかわからない場合には
心療内科と精神科でどちらもメンタルケアに関する診療をおこないます。

基本的には身体に不調を感じたら「心療内科」、イライラや消えてしまいたい気持ちがあるなら「精神科」です。

しかし判断が難しい場合には、病院やクリニックに問い合わせしてみるとよいでしょう。

相談場所は他にも保健所や精神保健福祉センターなどもありますよ。

まとめ:不調を感じたら早めに心療内科の受診を

今回は、心療内科を受診する目安を具体的な症状や受診の流れ、治療方法などをご紹介しました。

この記事でのポイントは以下の2つです。

● 身体の不調が2週間ほど続くようなら心療内科を受診する
● 早めの受診が症状の軽快を早める可能性がある

現代はストレス社会とも言われ、メンタルの不調を訴える患者さんも増えてきています。

1人で抱え込まず、なるべく早いうちに心療内科へ受診し相談しましょう。

回復も早くなり、日常生活や社会生活のの苦痛を軽減できますよ。

 

参照元

こころの情報サイト

https://kokoro.ncnp.go.jp/health_understanding.php#03

日本精神神経学会 こころの病気について

https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=32

厚生労働省 資料

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000851859.pdf

ドクターズファイル

https://doctorsfile.jp/private_practice/

e-ヘルスネット

心療内科

 

監修 佐々木裕人(精神科専門医・精神保健指定医)