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【医師監修】演技性パーソナリティ障害を治すには?!

以前、当院ブログで演技性パーソナリティ障害について記載させて頂きました。演技性パーソナリティ障害だけでなく、どのパーソナリティ障害であれど、回復や改善に必要不可欠な事柄は、当事者ご本人の治したい!という姿勢です。今回は、演技性パーソナリティ障害でお悩みの方へ、「克服のポイント」をご紹介させて頂きます。

 

自分自身との対話をする

 

演技性パーソナリティ障害の人の特徴は、外面的(外見的)なことや、他者の気持ちの方にばかり関心が注がれ、自分自身の内面や気持ちが疎かにされがちである、ということです。演技性パーソナリティ障害の人は、つい周囲の気持ちに合わせて反応したり、振舞ってしまいます。皆を楽しませ、皆に愛されることで、自分を保とうとするのです。それが上手くいかないと、とても不安になったり、落ち込んでしまいます。

 

 

そういう生活を、無意識的に、子どもの頃からずっと続けているため、自分自身の本当の気持ちというものを、ほとんど省みなくなっています。自分の気持ちに向かい合おうとすると、空虚な気持ちや寂しさに襲われそうで、ついもっと楽しくて刺激的な、人との関係や外面的なことに注意を逸らしてしまうのです。しかし、そうした生活は、余計心の中を希薄にしてしまいます。

 

 

演技性パーソナリティ障害を克服するための方法は、自分と向かい合う時間を積極的に持つ練習をすることです。一人だと気分が沈みがちになるかもしれませんが、それはある意味、自分と向かい合えているからこそ起こる現象だとも言えます。自分自身と対話する時間を持ち、内省的な習慣をつけることで、自分の人格(パーソナリティ)がどんどん形骸化してしまうことを防げます。

 

 

日記をつけたり、読書をしたり、植物や小動物のお世話をするのも良いでしょう。ポイントは、一人で自分のために過ごす時間を持つことです。そして、そうした時間を楽しむことができるようになれば、精神的なバランスはかなり回復してきていると言えるでしょう。外からの刺激ではない、自分自身の中に湧いてくる刺激を大切にしましょう。

石の上にも3年?!

 

先述の通り、演技性パーソナリティ障害の人は、新しい刺激を外に次々と求めてしまいがちです。遊園地で遊ぶように、対人関係や仕事においても、新しい刺激や興奮を求めてしまいます。楽しくないと、悲しくなってしまったり、つまらなくなってしまったりという中間のない気分の動きが、演技性パーソナリティ障害の人にもよく見られます。そこで、そんな落ち込みや空虚を避けるために、必死にハラハラドキドキを求めてしまうのです。

 

 

しかし、真新しい刺激や興奮がなくとも、人は幸せになれます。何も起こらない平凡な時間を、大切にするように心掛けることが、心の感受性を高め、喜びを味わう力を作ってくれるのです。身近なものを大切にし、ささやかな習慣を、長続きさせるように心掛けましょう。特別なことをするのではなく、ありふれたことを続けることが、このタイプの人にいま最も必要な力を育んでくれます。

 

 

ありふれたことに楽しみを見出せるためには、仕事であれ、人であれ、中身のあるものと長く繋がることがポイントになることでしょう。

 

 

また、場合によっては、社会的活動や仕事を通して、注目されたいという欲求を建設的な形で「昇華」させることです。例えば、家庭に入ったことで抑うつ的になっていた女性が、都心のオフィスに通って働き始めるとすっかり元気になるというケースもあります。他にも、やはり鬱々として過ごしていた女性が、ボランティアで司会やステージ活動をしたりするようになって、生きがいを取り戻したというケースもあります。

 

このコラムを読まれまして、
気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、境界性パーソナリティ障害をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、
適応障害、ストレス関連疾病、睡眠障害(不眠症)、
パニック症、自律神経失調症、冷え症、摂食障害、
月経前症候群、強迫症、過敏性腸症候群、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:岡田尊司著パーソナリティ障害』・『ストレスと適応障害