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「『暑邪(熱中症)』って何ですか?」

A.

医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

中医学(漢方)では、病気の主な原因のひとつに「自然界からの悪影響」があると考えます。それは、「風」「寒」「暑」「湿」「燥」「火」と6つあり、その中のひとつで、暑さが原因で体調に影響を与えるもののことを「暑邪(しょじゃ)」と呼んでいます

 

 

実は、この暑邪(しょじゃ)」こそ熱中症のことであり、暑さで気を消耗したり、脱水になったり、酷い時には意識障害が起ったりすることを指します。

 

 

「暑邪(熱中症)」は、暑さだけでなく、湿気による悪影響(=「湿邪」)とも密接な関係があります。何故なら、私たちが暑さにさらされると、体温が上昇し、身体は汗を出します。これは汗が蒸発する時に体表面も熱を奪うことにより、体温を下げようとしているためです。

 

 

それほど暑くなくとも、湿度が高いと熱中症が起こりやすいと言われているのは、汗が蒸発しにくくなって、体温が下がりにくくなるからなのです。

 

 

また、「汗をかきやすい人」と「汗をかきにくい人」といった“体質的な違い”でも、「暑邪(熱中症)」による症状、及び対処が異なります。

 

 

元々体温の低い人や冷えやすい人は、汗をかきにくい体質であり、比較的女性に多い体質です。暑くなっても、十分に汗が出ないのであれば、熱がこもり、確実に体温は上がっていきます。さらに、熱は「上」に上がっていきますので、のぼせたようになって眩暈や吐き気が起きてしまうのです。これもまさに熱中症の典型的な症状の一つです。

 

 

汗をかくことを極端に嫌い、日頃から運動も余りせず、冷房の中にばかりいると、「汗腺」が退化してしまい、ますます汗をかきにくい体質になってしまいます。そういった方は、半身浴などを上手に使って、汗のかけるような身体にしていきましょう。勿論、冷えを治す漢方薬もお勧めです。

 

 

逆に汗かきで、暑くて汗をダラダラとかき、冷たい水を飲んでも喉の渇きが取れないような方(「汗をかきやすい体質」)の方には、スイカがとてもお勧めです。スイカをそのまま食べても効きますし、スイカの皮の部分は暑邪を除く薬(生薬名:西瓜皮)としても使われるほど優れた力を持っています。ぜひ浅漬けやキンピラなどの材料にされると良いでしょう。また「ドクダミ茶」も有効です。昔からの知恵を上手に利用されていかれて下さい。

 

 

最近は、夜間の熱中症も良く指摘されていますね。

では、理想の寝室の温度・湿度・照明・静けさは、どうでしょうか。

 

寝室の中の環境を整えれば、それだけ眠りやすくなります。特に、睡眠の質に大きく関わる要素が、寝室の温度・湿度、明るさ、音です。

 

 

まず、温度・湿度は、エアコンや加湿器(あるいは除湿器)を使って快適に保ちましょう。温度は、春と秋は18~22℃、夏は26℃以下、冬は15~18℃、湿度は通年で50~60%が快眠の目安です。

 

 

特に、夏の28℃以上・冬の14℃以下の室温は、睡眠に悪影響が出てしまいます。ひと晩中、エアコンで快適に整えるのが理想ですが、寝ついてから睡眠周期約2回分となる3時間分だけ使うのでも効果があります。

 

 

寝室の明るさは、睡眠中は暗いほど良く、明るくとも豆電球のフットライト程度が理想です。曇りの日の屋外などの500ルクス以上の光やブルーライトは、睡眠ホルモンメラトニンを減退させてしますので、眠る1時間前からなるべく避けましょう。

 

 

そのため、夕食後から少しずつ照明を暗くする、暖色系の光に変える、光が直接見えない間接照明などを使う…等の工夫をすると、身体がスムーズに入眠の準備に入ってくれます。

 

 

寝室の音環境の理想は、40デシベル以下です。これは図書館レベルの静けさです耳栓を活用する、消音タイプの家電を選ぶようにする、カーテンを防音効果のあるものにする、寝つくまで好きな音楽を流して雑音を隠す「マスキング効果」を使う…等、工夫して静かな空間を作りましょう。

 

 

 

このコラムを読まれて、ご自分の現在のご状況として、

気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、自律神経失調症をはじめ、

うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安障害(不安症)、

睡眠障害(不眠症)、過敏性腸症候群(IBS)、心身症、

摂食障害(過食症)、パニック症、強迫症、適応障害、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

月経前症候群(PMS)、統合失調症、ストレス関連障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

なお、体質改善の漢方薬(漢方療法)は、当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することが可能です心療内科において、漢方薬による治療をご希望の患者様は、ぜひこの機会にご相談されてみられては如何でしょうか。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。

 

出典:現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖症状からチャートで選ぶ漢方薬 杉山卓也著 SHOEISYA

参考資料:「Kampo Viewhttps://www.kampo-view.com/