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睡眠障害総集編②

睡眠障害について様々な方面から切り取った記事をまとめました。睡眠障害にお悩みの方、現在治療中の方におすすめです。また、目覚ましのスヌーズ機能は自律神経に影響を与えるのか?などコラム的要素もありますので治療中以外でご興味のある方でもお楽しみいただけます。

 

「ゲーム依存(ネット依存)の弊害について~心の健康面」

 

ネット依存(ゲーム依存)になってしまうと、精神面・身体面・行動面それぞれにおいて様々な弊害が出てきてしまうことが知られています。今回は「精神面(心理面)」について記載させて頂きます。

 

ネット依存(ゲーム依存)にまで陥ってしまうと、ネットやゲームをしている時は、楽しくて気分が高揚し、集中力を発揮する反面、今度はそれをしていないと、著しくイライラしてしたり落ち込んだりします。ネットやゲームを止めるように注意をされると、怒りを露わにされる方も少なくありません。

 

こうした状態は、他の依存でいうところの「離脱症状」に似たもので、このような状態が見られるようであれば、早めの治療が必要になってくることでしょう。

 

また、ネット依存(ゲーム依存)の患者様の大半の方が、睡眠障害を併発されています。深夜、あるいは明け方までネットやゲームを続けていると、交感神経が過剰に優位になってしまっていることやブルーライトを長時間浴び続けている影響等もあって、眠ろうとしても中々寝つけない入眠障害や、眠ったとしても朝起きられない、昼間に居眠りをしてしまうといったことが起こります。やがてこれが、昼夜の逆転した生活リズムとなってしまい、様々な問題の元にもなってしまいます。

 

ネット依存(ゲーム依存)による、精神面の影響、つまり心の健康に関する問題をまとめると以下のようなものが挙げられることでしょう。そして、こういった症状が見られた場合には、「気のせいだ」「たまたまだ」と放っておかず、適切な医療機関を受診することをお勧めします。

 

  • 感情をコントロールできなくなる
  • ネットやゲームをしていない時の意欲低下が著しい
  • ネットやゲームを行うことで引き起こされる問題を過小評価する
  • 自己中心的な考えに傾く
  • 他の人との話がかみ合わない
  • 思考能力が低下してボーッとしていることが多い
  • ちょっとしたことでもキレやすくなる
  • 睡眠時間が短い
  • 睡眠時間帯が(一般的なものとは)ずれてくる
  • 睡眠不足でいつも居眠りをしてしまう
  • 無感情・無感動になる
  • いつもイライラしている
  • 劣等感や抑うつ感が強くなる
  • 人付き合いが煩わしくなる

 

「 難しい本を読むと眠くなるって本当ですか?」

 

日中に難しい本を読んでいる際に、ついウトウトと眠くなってしまった経験がある方も少なくはないでしょう。それを逆に利用して、睡眠障害(不眠症)の中でも、特に「入眠困難(ベッドに入ってから中々寝つけない)」に悩まれている方が、「枕元には難しい書籍(哲学書等)を置いて眠れない時に読むようにする」という習慣を通して、入眠困難を解消された例もあるのです(但し、スマホやタブレット端末での読書は、ブルーライトにより却って覚醒を促してしまうので、あくまで「紙の本」にされて下さい)。

 

何故、難しい本を読むと眠くなるのでしょうか。難しい本を読みますと、脳内で苦痛を取り除く「βエンドルフィン」という物質が分泌されます。この物質には、鎮静効果・リラックス効果などがあるため、それが眠気や眠りに繋がることが知られています。

 

このことと原理は異なりますが、眠ることを目的とした“読むだけで眠くなる本”というものも発売されています。これは眠たくなるように、「メタファー(暗喩)」と呼ばれる自己暗示の言葉・単語が文章に散りばめられており、読んでいる内に不思議と眠たくなるというものです(「sleep(スリープ)」・「sheep(シープ)」…を繰り返すのも同じ原理の一つです)。

 

大人向けのものとしては『読むだけで深~い眠りにつける10の話』、子ども向けですと『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』といったものが、日本ではよく知られています。

 

もし眠れなくとも、目を閉じて横になっているだけで脳は「休息モード」に入ってくれています。「眠れない。どうしよう」と思わず、「脳を休めることは大切だよね」と思って、リラックスしてベッドに入られて下さい。

 

「目覚ましのスヌーズ機能は自律神経に負担を掛けるのですか?」

 

1回止めても、5分後等に鳴る目覚ましの「スヌーズ機能」を、朝使われている方はきっと少なくはないことでしょう。

 

「もうちょっとだけ寝たい」「でもそのまま寝てしまうと困る」という時には、便利なこの機能ですが、実はこのスムーズ機能は、下手をすると自律神経には悪影響を与えかねません。

 

自律神経には、活動状態を作り出す「交感神経」と、リラックス状態を作り出す「副交感神経」があります。

 

目覚ましのアラームが鳴ると、その瞬間に交感神経の働きが高まり、身体は活動状態に入ります。しかし、「どうせスヌーズ機能をつけているから、まだ起きなくてもいいや」と再び寝てしまうと、今度は副交感神経が高まります。このサイクルを何度も繰り返してしまうと、自律神経系の混乱を招き、知らず知らずのうちに、心身に大きな負担を掛けることになるのです。

 

よって、出来れば目覚まし時計のスヌーズ機能は使わず、一度アラームが鳴ったら起きるようにすることがベストです。それを習慣づけると、自律神経の切り替えも上手くいきやすくなります。

 

但し、どうしてもそれが難しい場合は、以前同コラムでご紹介させて頂きました「起きたい時間と、その20分前の“2回だけ”、アラームをセットする方法」を使われるようにされてみられて下さい。

 

「『春眠暁を覚えず』~春はなぜ眠いのですか?」

 

私たちが常に体温を約36℃に維持するためには、実は大量のエネルギーを必要とします。日照時間が短くて寒い「冬」は特に体温維持に多くのエネルギーを使いますので、それ以外の活動は全体的に”省エネモード”に入ります。

 

基本的に、私たちは体力や気力が少ない時(不足している時)には、それを回復するために睡眠が増えます。他にも、満腹になると眠くなる方や、甘い物の摂取が増える方もいらっしゃいます。

 

そして、春になって、日照時間が延びてくると、活動しやすい環境となり、身体は”活動モード”に切り替わります。そのために、睡眠時間も減っていくのが通常なのですが、冬の身体の消耗が残っている(持ち越されてしまう)と、身体が”省エネモード”の状態のまま春を迎えてしまい、「朝起きられない」「日中も眠い」等々の症状が現れるのです。

 

春は「三寒四温」の言葉通り、日よって寒暖差が生じやすく、自律神経が乱れやすいのも、その症状に拍車を掛けていると言ってもよいでしょう。

 

冬から春の変化についていくためには、以下の事柄の実践が効果的です。

 

★質の良い睡眠をとるように心掛けること。

 

★朝日をしっかり浴びて、幸せホルモンであるセロトニンを分泌させ、体内時計をリセットさせること。

 

★消化の良い食事を、腹八分とって、胃の負担を減らすこと。

 

★漢方の考え方ですと、春は酸っぱい食べ物(酸味)を積極的に摂取することが推奨されています。具体的には、梅干しやレモン、イチゴ、酢の物やヨーグルトなどです。

 

「『慢性疲労症候群』と『うつ病』の違いを教えて下さい」

 

慢性疲労症候群」は、原因不明の強い疲労感が長期に渡って継続する病態です。身体面でも精神面でも激しく疲労してしまい、日常生活に支障をきたします。

 

強い疲労感のほかには、微熱、喉の痛み、リンパ節の腫れ、原因不明の筋力低下、関節痛といった症状が現れます。精神面では、物忘れ、思考力・集中力の低下、抑うつ状態、睡眠障害などの症状が現れます。

 

慢性疲労症候群のこうした症状は、「うつ病」の症状と非常によく似ており、その鑑別(見分けること)は簡単ではありません。ただ、慢性疲労症候群うつ病の異なる点として、以下の3点が挙げられています。

 

◎ 慢性疲労症候群の場合、意欲や気力の低下よりも、疲労感や倦怠感の方が強い。

 

◎ 慢性疲労症候群の場合、うつ病で見られる「日内変動」が余り顕著ではない。

 

 慢性疲労症候群の場合、自責感・イライラ感・非哀感は少ない。

 

「『全般性不安症(全般性不安障害)』の診断基準を教えて下さい」

 

今回はその中にありました「全般性不安症(全般性不安障害:GAD)」について詳しく書かせて頂きます。

 

★以下の1~3の項目が当て嵌まる際に、全般性不安症が疑われます。

 

1.自分でもコントロールできない程、強い不安や心配が原因で、6か月以上、日常生活や社会生活に支障が出てしまっている(=「何でもかんでも、半年以上ずっと、いつも不安でしかない」)。

 

2.また、細かい症状としては、次の項目の内、3つ以上が当て嵌まります。

 

□ 落ち着きのなさ、緊張感や過敏性。

□ 疲れ易い(疲労感)。

□ 集中力の低下や集中困難、頭が真っ白になる。

□ 苛立たしさ(イライラしている)や易怒性。

□ 筋肉の緊張。

□ 睡眠障害(不眠や入眠・熟眠困難など)。

 

3.不安と心配の対象が、その他の不安症等に見られるような特定的・限定的・具体的な対象ではないこと。物質や他の医学的な疾病により引き起こされたものではないこと。

 

このように1~3の項目を参考に、全般性不安症か否かが判断されます。

 

「3」は、具体的にはパニック症におけるパニック発作や、社交不安症における人前で注目を浴びる場面、といったような「こういった具体的な場面や状況に陥ることが不安(心配)である」といった時は、「全般性不安症」とは言わないことを意味しています。全般性不安症の方は「漠然とした不安」を常に抱えてしまわれていることが大きな特徴の一つなのです。

 

「『足がムズムズして眠れない』ことはありませんか?」

 

主に夜、眠ろうとする時間帯になると、足がムズムズしてしまい、足を動かさずにはいられなくなってしまうことで入眠困難(睡眠障害)が生じるというケースが実は存在します。それは「レストレスレッグス症候群」、別名「むずむず脚症候群」といわれる疾病になります。

 

これと似た症状に「アカシジア」と呼ばれる、抗精神病薬による副作用がありますが、この場合は、そういった処方が出ていることが前提となるのと同時に、服用する時間帯によっては、必ずしも夜にのみ生じるという訳ではありません。

 

この「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」は、妊娠されている方や高齢者に生じやすい傾向があり、その背景には「鉄欠乏」や「腎機能低下」との関係性が指摘されています。

 

ですので、もし入眠困難を感じられている方で、上記の症状(夜寝る頃になると足がムズムズする)に拠る場合は、主治医の先生に、必ずそのことをお伝え下さい。何故なら、治療法や処方されるお薬が異なってくる可能性が出てくるからです。

 

「『月経前不快気分障害(PMDD)』の身体症状を教えて下さい」

 

PMDDの症状は、精神症状と身体症状に大別されています。今回は「身体症状」についてです。PMDDでよく現れる身体の症状は、「睡眠の障害」と「食欲の異常」です。

 

「睡眠の障害」は、昼夜を問わず、1日中眠くて仕方がないといった「過眠(睡眠過多)」が出現します。但し、一部のPMDDの患者様の中には、不眠になることもあります。また、昼間は過眠を、夜間は不眠を、それぞれ認めることもあります。

 

「食欲」は、一般には過食になります。異常に食欲が出たり、間食が増加したり、甘い物や炭水化物のみを欲したりされることが多く見られます。それに伴い体重増加が出ることもあります。但し、一部のPMDDの患者様の中には、食欲不振傾向が強く出るケースもあります。

 

その他の身体症状としては、乳房の疼痛や膨満感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下腹部の疼痛や膨満感、便秘や下痢、冷えやのぼせ、浮腫(むくみ)、膨らんでいるような感覚…などが見られることがあります。

 

「『睡眠相前進症候群』について教えて下さい」

 

以前同コラムにて「睡眠相後退症候群」という睡眠の「位相」が後ろにずれてしまうことにより、「極端な夜型」になってしまう睡眠障害について説明をさせて頂きました。一方、それとは真逆である「極端な朝型」になってしまう睡眠障害が「睡眠相前進症候群」と言われる睡眠障害です。前者は、比較的若年層や若者に多くみられる一方で、後者は年齢が上がるにつれて起こり易くなり、主に中高年や高齢者の方々にみられる睡眠障害であると言えるでしょう。

 

「睡眠相前進症候群」になると、睡眠の時間帯が、通常の社会生活に適した時間帯よりも前にずれて、夕方頃から眠くなって、夜の9時前に就寝し、まだ暗い早朝の3時頃に目が覚めてしまいます。いわゆる「極端な朝型タイプ」です。高齢者の方に多くみられ、夕方以降の社会生活や娯楽活動を行うことが困難になります。

 

この「睡眠相前進症候群」は、加齢に伴う体内時計のズレが原因で起こります。加齢に伴う変化が原因で、体内時計が少しずつ前に進んでいくそうです。中高年の方は、若い頃と比べて、眠くなるタイミングが1時間ほど早まると言われており、全体的に早寝早起きになります。よって、これらは睡眠薬を使えば治る、というものとは異なります。

 

「睡眠相前進症候群」の場合、「光」に気を付けられる必要があります。早朝の光は体内時計のリズムを一層早めてしまうことになるからです。朝早く目が覚めた時は、カーテンは閉めたままにされたり、ブルーライトカットのサングラスを掛けられたりされて、早過ぎる時間には、太陽の光を浴びないようしましょう。夜は、明るいところで過ごすようにされて、「これ以上は起きているのは辛い」と感じられてから、寝室に行かれるようにされて下さい。

「『うつ病』について教えて下さい①~症状・原因編」

 

うつ病になると、意欲や気力が衰えて、感情や興味が失われ、家事や仕事が手につかなくなってしまいます。また、そんな自分自身に対して、焦りや罪悪感を抱くようになり、「いっそのこと消えていなくなってしまいたい」とまで思うようになることさえあります。

 

うつ病の症状として、具体的には次のようなものが挙げられます。

 

  • 憂うつで元気が出ない
  • 物事に対して興味・関心が持てない
  • 不眠(または、過眠)
  • 食欲減退と体重の減少(または、食欲増加や過食)
  • 疲れ易さ・気力が出ない
  • 強い焦燥感がある
  • 思考力・集中力・決断力等の低下
  • 自分への無価値観や罪悪感を抱く
  • 死を度々考えてしまう

 

これらの項目の内、「① 憂うつで元気が出ない」、または「② 物事に対して興味・関心が持てない」のどちらかを含む5つ以上の項目が、2週間以上続いた場合、うつ病である可能性が出てきます。

 

うつ病の初期症状として、一番気付きやすいものが「③不眠(または、過眠)」といった「睡眠障害」だと言われています。実際、うつ病と診断をされた患者様の内、9割以上の方が、何らかの睡眠障害に悩まされているというデータがある程です。よって、睡眠障害の治療がキッカケとなり、うつ病の早期発見に繋がることも少なくはありません。うつ病は「早期発見・早期治療開始」が、何よりも重要視されています。

 

まれに、精神症状が現れにくいタイプのうつ病の方もいらっしゃられます。うつ病は、一般的には、気分の落ち込みや意欲の低下といった、精神面の症状が強く現れる病気です。しかし近年では、うつ病が身体化する方も少なくありません。

 

具体的には、精神症状よりも、倦怠感、頭痛、動悸、食欲不振、息苦しさといった身体面の不調が強く出てしまうタイプの方です。このように、身体症状が前面に出て、精神症状を見えにくくしていることから、通称「仮面うつ病」と呼ばれています。このタイプのうつ病の方は、まさかご自分がうつ病だとは思われず、多くの科や病院を巡られ、心療内科や精神科にたどり着くまで、かなり労力や時間を費やされてしまうこともあります。

 

うつ病はなぜ起こるのか、その原因やメカニズムは未だ解明されていない部分が多々あります。「内因性」「心因性」「身体因性」という要因で考えられる場合もありますし、脳内の神経伝達物質が関連しているとされる説(「神経伝達物質仮説」)も提唱されてきています。

 

「内因性」が示すような遺伝的な素因は確かにあるようです。しかし、それよりもむしろ、掛かってくるストレスの大きさ(量・質)と、そのストレスをどのように受け止めるか(知覚・認知)といった「心因性」の方が、より大きな要因となり得るという考え方が優勢であると言えるでしょう。

 

「『うつ病』について教えて下さい②~治療編」

 

うつ病の治療で、まず重要になるのが、うつ病によって起こった睡眠障害(特に不眠の場合)の治療です。この睡眠の問題が改善するだけで、かなり症状が軽快される方も少なくありません。

 

まずは、ご自分の心身をゆっくり休めるようにすることが、何よりも優先されます。そこでは、医師による支持的かつ受容的な精神療法が行われ、その方の症状や必要に応じて、投薬治療(薬物療法)がなされます。投薬治療の目的は、患者様の憂うつな気持ちや、不安や焦りの気持ちを和らげたり、時には、気力や意欲を高めたりするために行われます。

 

加えて、心理師による心理療法が併用されることがあります。心理療法は実に多種多様なものがありますが、うつ病に対しては「認知行動療法」が高い効果が期待できる、という効果実証研究(エビデンス)が出ています。

 

うつ病は、正しい治療を行うことで、多くの方はきちんと回復(寛解)することが出来ます。但し、「再発リスク」というものは存在します。その点は、治療が一旦終結された後も、患者様の日々の自助努力(セルフモニタリング・セルフコントロール)が欠かせません。その具体例を、以下に挙げさせて頂きます。

 

✓「うつ病」についての正しい知識を持つ(=心理教育)。

 

✓適度な睡眠・栄養・休養・運動を取るように心掛ける。

 

✓日光をよく浴びるようにする。

 

✓ご自身のストレス因を把握し、対処法を見つけておく(=ストレスコーピング)。

 

✓困ったことがあったら、一人で抱え込まないよう、相談相手を作っておく。

 

✓心から楽しめる趣味や、気分転換できる手段を幾つか見つけておく。

 

✓ご自分なりのリラックス法・リフレッシュ法を見つけてみる。

 

✓ご自分の不調に気づくサイン(=兆候)を幾つか知っておく。

 

✓物事の受け取り方や考え方(=認知)の幅を拡げてみる。

 

✓定期的に第三者からご自分についての客観的な見解(体調・様子・雰囲気等)を聞く。

 

✓仕事とプライベートの気持ちの切り替え(オンオフ)を意識する。

 

✓無理をし過ぎず、頑張り過ぎない。自分で自分を追い込まない。

 

勿論、これらは一例に過ぎません。他にも様々な再発防止(再発予防)の方法が存在します。治療を進められていかれる内に、きっとご自分に最適なものが見つかることでしょう。

「自律神経失調症の具体的な症状Ⅰ~全身症状編」

 

自律神経失調症の様々な症状の内、「全身症状」の代表的なものが、慢性的な疲労感、倦怠感(けんたいかん)、睡眠障害、めまい、ほてり等です。

 

全身症状は比較的初期の段階から現れるため、これによって自律神経失調症に気づかれる方も少なくはありません。

 

健康な方は、多少疲れていても2~3日で回復しますが、自律神経の失調による疲労は、日を追うごとに酷くなり、何をするにも億劫な気分になるのが特徴です。

 

自律神経失調症の様々な症状は、交感神経と副交感失敬の切り替えが上手くいかずに起こる場合と、自律神経を管理している視床下部に混乱が生じて起こる場合があります。全身症状が出るのは、後者のタイプと言われています。

 

また、30代後半以降の女性の場合、更年期障害によるホルモン分泌の減少が影響し、自律神経失調症が起こり、このような全身症状が出現することもあります。

 

全身症状の具体的な内容を以下に記載させて頂きます。ご参考となりましたら幸いです。

 

倦怠感・疲労感:自律神経失調症の中でも、非常に多くの方が訴えられる症状です。特別体力を消耗するようなことをしていないのに、いつも全身がだるい、疲労感が続く、全身に力が入らない等の不調が見られます。酷くなると、起きることが出来なくなる程の疲労感を覚えます。

 

めまい・立ちくらみ:めまいには、①周囲がグルグル回るようなめまい、②自分自身がフラフラするめまい、の2種類があります。自律神経失調症に多いのは「②」のタイプです。急に立ち上がった時にふらついたりする「立ちくらみ」もよく見られる症状の一つです。

 

微熱:女性の妊娠中や生理前約2週間は、平熱よりもやや体温が高くなることが知られています。そうした期間ではなく、また特に身体の異常がないにも関わらず、だるさを伴う37℃位の微熱が毎日続いてしまいます。

 

全身のほてり・冷え:気温や室温に関係なく、突然身体が熱くなり、その後大量の汗をかいてしまいます(=全身のほてり)。逆に、他の人が寒く感じない時に寒気を覚えたり、身体が急に冷えたりするという不調が起こることもあります(=全身の冷え)。

 

食欲不振:お腹が空いているにも関わらず、食べ物を見ても食べたくない、食べ物を見ると吐き気がする、食べても胃がムカムカする等といった諸症状が起こり得ます。

 

睡眠障害:ベッドに入っても中々寝つけない(=入眠困難)、眠りが浅くすぐに目が覚めてしまう(=中途覚醒)、朝目が覚めた時に疲労感が残っている(=熟眠困難)等といった諸症状が起こり得ます。また、不眠とは逆に、四六時中眠い(=過眠・日中の眠気)という症状が現れることもあります。

 

筋肉痛:運動をしていないにも関わらず、身体の筋肉が重く感じます。時として、筋肉や関節が歩けなくなるほど痛む場合もあります。

 

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監修 佐々木裕人(精神科医、精神保健指定医、精神科指導医)