Ⅰ 眠りやすいパジャマとは?
夜はパジャマに着替えず、ジャージやスウェットなどの部屋着のまま眠るという人がいます。ですが、睡眠の質を上げたいのならば、パジャマを着て眠る方が絶対にお勧めです。部屋着で眠ると寝付きが悪くなります。
株式会社ワコールによるパジャマと眠りの調査では、パジャマで眠った時は、部屋着の時に比べ、寝付くまでの時間が約9分短くなり、短くなり、夜中に目覚める回数は約15%減るという結果が出ました。パジャマを着て眠ると寝付きが良くなり、夜中に目覚めにくくなるのです。
その理由は2つ考えられます。その一つが「スリープセレモニー(入眠儀式)」です。眠る前に決まった行動をとることによって、自律神経が副交感神経優位へと切り替えられ、眠りやすくなるのです。その一つがパジャマに着替えることです。他にも、歯を磨く、トイレに行くなども含まれます。もう一つは、パジャマ自体の持つ眠りやすさです。パジャマは肌触りが良く、安心感があるので、心身がリラックスし、副交感神経が優位になるのです。
つまり、パジャマを選ぶ時の一番のポイントは、「肌ざわり」や「着心地の良さ」だと言えます。肌に触れた時、ご自分が心地よく感じられるものを選びましょう。また、吸水性・通気性・伸縮性・柔軟性が高く、身体を締めつけず、ゆったりとしたものが良いでしょう。これは、睡眠中にはたくさん汗をかき、寝がえりをうつためです。
因みに、パジャマによく使われる繊維として、以下の4種類が挙げられます。ご自分のニーズに合わせて選ばれてみられてはどうでしょうか。
(1)「綿」
✓吸湿・吸水性が高い
✓肌ざわりが柔らかい
✓洗いやすく、取り扱いがラク
(2)「麻」
✓吸湿・吸水性、速乾性が高い
✓最も耐久性の高い天然繊維と言われている
✓涼やかなため夏用に向く
(3)「シルク」
✓吸湿・吸水性、保湿性が高い
✓主成分が人の肌に近いため、肌馴染みがよく、肌にやさしい
✓夏は涼しく、冬は温かい
(4)「綿+化学繊維」
✓綿に化学繊維を混ぜることで、軽さや型崩れのしにくさなど、別のメリットが加わる
✓ストレッチ性の高いポリエステルを足した「綿95%+ポリエステル5%」など
Ⅱ お気に入りの香りでグッスリ快眠
心地よく眠りにつくために、取り入れたいのが「香りの効果」です。特に神経が昂って寝つけない時に試してみると、驚くほどスムーズに眠りにつけることもあります。「嗅覚」は五感の中でも脳に刺激が届くのが最も速い、原始的かつ本能的な感覚です。香りの情報は他の情報とは違い、脳の記憶や感情に関わる扁桃体、感情や本能を司る大脳辺縁系へと直接伝わります。そのため、好きな香りや、心地よく感じる香りは、本能的な安心を誘い、心身がリラックスできるのです。
さらに科学的な研究によって、安眠効果が実証されている香りもあります。その香りとは、「ラベンダー」「セドロール」「コーヒー」「タマネギ」の4種類です。
「ラベンダー」と「セドロール」の香りは、アロマテラピーで手軽に取り入れられます。ラベンダーは、鎮静効果をもたらす成分「酢酸リナリル」を35%以上含んでいる「真正ラベンダー」を選ばれるとより効果が期待されます。セドロールとは、ヒノキ科やスギ科の樹木の香りに含まれる成分で、「シダーウッド」のエッセンシャルオイルに多く含まれています。
コーヒーは飲むとカフェインによる覚醒効果が発揮されてしまいます。効果的なのはあくまでも「香りだけ」です。また、タマネギも、多すぎる香りはNGです。匂いがするかしないかほどの少量を部屋に置くと眠りを誘う効果があります。
睡眠時にお勧めのアロマには、以下のようなものが挙げられます。実際に香りをテイスターで匂われてみて、ご自身が「良い香りだな」「何だか落ちつくな」と感じられるものを選ばれるのが一番でしょう。
(1)「真正ラベンダー」:やさしく軽やかな花の香り。眠りを促す香りとして最も有名であり、医療や介護の現場でも用いられています。深くリラックスしたい時に最適です。
(2)「シダーウッド」:ほんのりスパイシーで神秘的な樹木の香り。睡眠に効果のある成分「セドロール」を多く含んでいます。不安がある時や、心を落ち着かせたい時に最適です。
(3)「オレンジスイート」:甘くフレッシュな果実の香り。気分を明るくしたい時、緊張やストレスを感じる時に用いると良いでしょう。ラベンダーと合わせるのもお勧めです。
(4)「ペパーミント」:清涼感のあるミントの香り。心を落ち着かせ、意識をはっきりとさせてくれる効果が期待できるので、眠気覚ましやリフレッシュに用いられると良いでしょう。
(5)「ゼラニウム(ローズゼラニウム)」:ローズに似た、甘く優雅な花の香り。心身を落ち着かせたい時、気分を明るくしたい時に最適です。スキンケア用品にもよく使われています。
(6)「ユーカリ(ユーカリプタス)」:清涼感のあるクリアな樹木の香り。イライラした時、集中力を高めたい時に最適です。ラベンダーと合わせるのもお勧めですが、高血圧の人と小さなお子さんにはNGとなっていますので、お気をつけください。
そして、簡単に出来るアロマテラピーの例として、「ハンカチ芳香浴」「マグカップ芳香浴」「オイルバス」「アロマディフューザー」などが挙げられます。
(1)「ハンカチ芳香浴」:ハンカチやティッシュペーパーにエッセンシャルオイルを1~2滴落とし、鼻に近づけて深呼吸します。眠る時は、枕元に置くと良いでしょう。
(2)「マグカップ芳香浴」:マグカップに熱いお湯を入れ、エッセンシャルオイルを数滴落とします。朝であれば、ペパーミントなどの清涼感のあるオイルを落として、目覚めのアロマテラピーにされても良いでしょう。使用されたマグカップは洗っても香りの残る可能性があるため、アロマ専用にされて下さい。
(3)「オイルバス」;お湯をはった湯船に数滴落とすだけです。最初は1滴から開始され、増やされても5滴までにしましょう。エッセンシャルオイルを塩に混ぜたバスソルトもお勧めです。
(4)「アロマディフューザー」:香りを拡散させるための専用の器具です。様々な形やタイプがあります。長い時間香りが続くため、部屋全体に香りを広げたい方にお勧めです。
Ⅲ 身体に合ったマットレスを選ぶコツとは?
睡眠中の身体を支えるマットレスは、快眠の重要な要素です。身体に合わないものを使い続けると、寝姿勢が不自然になって、腰痛や肩こりの原因になり、自然な寝返りが妨げられて睡眠の質が落ちます。つまり、身体に合うマットレスのポイントは、「寝姿勢の安定感」と「寝返のしやすさ」なのです。
寝姿勢の安定感は、仰向けに寝た姿勢で判断します。仰向けになった時の背骨のラインが、自然に立ったときと同じ「S字」を描くのが理想的です。これは、筋肉に余計な力が入っていない姿勢なのです。
寝返りのしやすさは、仰向けの姿勢から寝返りをしてチェックします。両腕を胸の前にクロスし、両膝をそろえて90度ほど曲げた状態で寝返りをうちます。力まずに、上半身・下半身が揃って寝返りがうてれば、自分に合ったマットレスということです。逆に、この時に上半身・下半身がバラバラに動いたり、身体に変に力が入ってしまったりする際は、マットレスが合っていない可能性が高いです。
マットレスには、反発性の違いによって、低反発と高反発のものがあります。好みもありますが、お勧めは「高反発」です。低反発のマットレスは、全身が包み込まれるような寝心地が味わえますが、その分寝返りがしにくくなります。高反発のマットレスはかためでくつろぎにくいと感じられる人もいますが、寝がえりをうちやすいのです。
なお、ベッドは1人1台がお勧めです。身体に合うマットレスは人によって違いますし、隣に誰かが寝ていると当然ながら寝返りが制限されてしまうからです。
Ⅳ 枕は自分に合う“高さ”を見つけましょう
自分に合ったマットレスが見つかったら、次は枕を選びましょう。上記の「寝返りチェック」は、可能ならマットレスと枕の両方を合わせてチェックするのがベストです。
枕選びのポイントとなるのも、マットレスと同じく、「寝姿勢の安定感」と「寝返りのしやすさ」です。枕の場合、そのために重要なのは「自分にあった高さを見つけること」です。枕はほんの5mm高すぎたり低すぎたりするだけでも、スムーズに寝返りがうてなくなり、目覚めが悪くなるのです。
まず、寝姿勢が安定する枕の合わせ方です。これは、枕に仰向けに頭を乗せた時の首の状態でチェックします。理想は、首が自然な「C字カーブ」を描き、額と鼻を結んだ線が床に対して5度の角度となる姿勢です。呼吸をしにくく感じるようなら、身体に合っていないサインです。
寝返りのしやすさは、横向きに頭を乗せてチェックします。額~胸~お腹の中心線が一直線となり、床と併行であればOKです。この横向きの確認は、片方だけでなく両向きとも忘れずに、実際に横になって確かめましょう。
枕は平べったいものがお勧めです。枕の高さが身体に合っていれば、首は必ずしも支えなくて大丈夫です。素材はやや硬めで反発力の高いものの中から、寝心地の好みで選びましょう。
当院では、不眠症(睡眠障害)をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、パニック症、
不安症、適応障害、心身症、自律神経失調症、
摂食障害(過食症)、統合失調症、更年期障害、
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群(IBS)、強迫症、ストレス関連障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、カウンセリング及びショートケアを実施しております。カウンセリング、またはショートケアをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。
★参考文献:坪田聡監修『思考と身体がスッキリ!睡眠のしくみ』
★参考HP:WACOAL公式サイト『すやすや部 すいみん情報コラム 睡眠情報サイト』 西川公式サイト『睡眠TOPICS』