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【医師監修】パーソナリティ障害は、家族関係が原因って本当ですか??

パーソナリティ障害をによる問題が起こったのは、家族関係もこのままではダメだというサインです。つまり、お互いの関わり合いを見直すチャンスでもあるのです。

 

 

家族に多い問題として、自己愛性パーソナリティ障害の人の家族は自己中心的な傾向があり、境界性パーソナリティ障害の人の家族は全体的に不安定といった具合に、本人と家族、特に親はどこか似ています。具体的な例としては、以下のような事柄が挙げられるでしょう。

 

 

★夫婦間のコミュニケーションが希薄:母親と父親のコミュニケーションが希薄で、その分母親と子どもの距離が近くなりがちです。

 

★父親と子どもの関係が希薄:父親が母親(妻)とも子どもとも関係が希薄で、疎外されている場合も少なくありません。

 

★母親と子どもとの関わりが密:母親と子どもの距離が近過ぎて、子どもと母親が依存し合ったり、子どもが自立できなくなったりすることが起こります。

 

★親が過干渉・突き放しに偏りがち:親が干渉する場面が多いと、本来子どもがすべきことを親が代わりにしていたり、逆に親としての責任を十分に果たせなかったりと、偏った接し方になります。

 

 

パーソナリティ障害の本人(当事者)とその家族はどこか似たところがあり、家族にも偏りがある場合が少なくありません。家族がお互いの関係を見直し、より良い関係を作り直すと、本人によってだけでなく、家族にとってもメリットがあります。家族それぞれが自分の気持ちに気づき、家族同士のこわばった関係がほぐれていくのです。

世代の境界を取り戻す

父親と母親がお互いの関係を見直し、子どもとの接し方を変えると、自ずと親世代と子ども世代との境界線が引き直され、親子の間に適切な距離が生まれます。このように、可能であるならば、親の世代と子どもの世代の境界を、まず親の方から見直してみましょう。勿論この「境界」は壁ではありませんので、当然世代間の交流は保たれます。一部の家族だけに交流が偏らず、話をしたり、世話をしたりといった関わり合いが保たれるのが理想です。

 

 

世代の境界が明確になることとは、親はお互い夫婦間の愚痴などは子どもに話すべきではないこと、子どもも自分で出来ることは自分で行って親に頼り過ぎないようにすること等、お互いの世界を尊重するようになることを意味します。

 

 

本人が未成年で、家族のサポートが必要な場合は、家族関係を見直すことは特に重要です。一方、本人がある程度の年齢に達しているようであるなら、家族全体の関係を見直すよりも、本人が家族から自立し、適切な距離をとるようにした方が回復が早い場合もあります。

このコラムを読まれまして、気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、どうぞ当院まで、
お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、境界性パーソナリティ障害をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、
適応障害、ストレス関連疾病、睡眠障害(不眠症)、
パニック症、自律神経失調症、冷え症、摂食障害、
月経前症候群、強迫症、過敏性腸症候群、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

参考引用文献:市橋秀夫監修パーソナリティ障害(講談社)