「もっと知りたい!漢方薬~薬膳で未病改善!①~」
医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
暑い季節になって来ましたね。
この時期はただでさえ体調を崩しやすく、食欲が減って体力も落ちやすいところ…。
実は漢方薬のタイプでご紹介した証ごとに、おすすめの食材があるのはご存知ですか?
一口に夏バテ、と言ってもお腹を壊している、夏風邪をひいてしまったなど症状は様々かと思います。
今日は、証のタイプ別おすすめ料理をご紹介していきます。
まず、今回のように中医学に基づき健康を促進する食事を『薬膳(やくぜん)』と言います。
薬膳、と言うとお粥や薬の入ったお鍋みたいなものを想像する方も多いかも知れません。
薬膳粥、と言う名前に使われていることからイメージがついているかも知れませんがお薬以外の食材でも似たような効果が得られるのです。
勿論、生薬に比べれば食材は穏やかな効き目ですが毎日簡単、種類豊富に続けられるのが嬉しいですね。
今回ご紹介するのは「気虚(ききょ)」タイプのおすすめ。
気虚とは気が不足している状態で、原因の無い体の怠さを感じられる方もいらっしゃるでしょう。
気虚の「気」は生命エネルギー、各臓器や器官を動かす力も担います。
そのため気が虚(少ない)状態は各臓器や器官の機能低下とも言えるのです。
まず、気虚タイプでも特に胃腸が弱く食欲不振、下痢軟便の多い方。
そんな方におすすめなのは長芋、山芋などのイモ類、豆類などです。
食欲が低下していることもありますので、長芋とそら豆をいれて『お味噌汁』にしてみてはいかがでしょうか?
味噌自体にも腸内環境を改善させる効果がありますし、食欲が無い時でも比較的口に運びやすいかと思います。
続いて気虚タイプでも元気が出ない、倦怠感の強い方。
そんな方におすすめなのは、牛肉、鶏肉、海老などです。
牛肉、鶏肉、海老を合わせて取るために『牛肉(又は鶏肉)のオイスター炒め』はいかがでしょうか?
やる気が出ないと食事メニューもなかなか考えつかない…そんな時はメニュー豊富な中華料理から食べられそうなものを是非選んでみてください。
続いて気虚タイプでも感染症にかかりやすい方。
そんな方におすすめなのは、キノコ類、ブロッコリー、アスパラガスなどです。
どの食材でも合う『アヒージョ』はいかがでしょうか?
実はアヒージョはオリーブオイルを加熱することで簡単に作れるんです、油を使うときは油跳ねと目を離さないように注意して調理して下さい。
最後に気虚タイプでも手足など末端に冷えを感じる方。
そんな方におすすめなのはニンニク、ショウガ、ネギ、玉ねぎ、ニラ、サンショウ、シナモンなどの香味野菜。
メインで使われる物が少ないだけに料理のメインではあまり見ませんが白米とだし醤油を一緒に炊いて『生姜ご飯』はいかがでしょうか?
実は生姜は加熱することで成分が変化し、体を温める効果を発揮します。
お好みの割合で味付けするのも楽しいですね。
なお、この気虚タイプの方にお勧めの漢方は全体的に気力を補ってくれるもの。
また、食欲不振改善に効果のあるものが多いです。
例)四君子湯、六君子湯、補中益気湯、参苓白朮散、玉屏風散、啓脾湯、清暑益気湯、人参湯など
気虚タイプの方へのおすすめ料理をご紹介してきましたが、何より気虚の状態は過労を避け十分な休息と睡眠をとること。
それによって疲労の蓄積を改善させることが不可欠です。
気虚タイプは胃腸が弱っていることが多いので、胃に負担はかけない程度でぜひ参考にしてみてください。
心療内科、精神科において、漢方薬による治療をご希望の患者様。
このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、ご受診をお待ちしております。
出典:現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖症状からチャートで選ぶ漢方薬 杉山卓也著
参考資料:「Kampo View」https://www.kampo-view.com/