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【心療内科 Q/A】「『うつ病』の治療中です。お酒は飲んではいけないのでしょうか?」

A.

医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

うつ病の治療中の患者様からよくあるご質問として(うつ病の治療中に)お酒を飲んでも大丈夫ですか?というものがあります。やはりそのお答えは飲んではいけませんとなります。その理由の一つに、うつ病の患者様は、「眠れないから」「嫌なことを忘れられるから」「何も考えなくていいから」…等と、うつ病の辛さを紛らわせるために飲酒をされることが多いからです。

 

 

確かに、アルコールは大脳に作用して、深く考える機能を停止させ、不安や緊張を一時的に和らげ、多幸感をもたらしますので、うつ病の患者様がアルコールを飲むことで、一時的にその時だけは症状が緩和され、楽になります。しかし、アルコールによって一時的に症状が緩和されても、うつ病が根本的に良くなっているわけでは決してありません。結果的には、徐々に飲酒頻度や飲酒量、アルコールへの耐性が増加し、最終的アルコール依存症(アルコール使用障害)となってしまうことも少なくないからです。

 

 

アルコール依存症(アルコール使用障害)は、治癒率が10~20%程度と低く、多くの方は治癒することがなく、少しずつ心身が蝕まれていってしまいます。

 

 

また、うつ病の治療薬とアルコールは飲み合わせが悪いことも、その理由に含まれています。うつ病の治療薬として処方される抗不安薬や、睡眠薬の多くは、脳内でアルコールと同じ部位に作用するため、アルコールによって治療薬の効果が増幅されてしまい、時には呼吸が抑制されたり、記憶がなくなってしまわれたりと、危険な症状を引き起こすことがありますので、注意が必要です。

 

 

さらに、アルコールは睡眠の質にも悪影響を及ぼします「寝る前にお酒を飲めば、ぐっすりと眠れる」という考えで寝酒をされている方を多く見かけますが、これは医学的に見て大きな誤りだと言えます。確かにアルコールは、大脳の活動を鎮める部分に作用しますので、眠りを誘い、寝つきを助ける作用があることは事実です。しかし、アルコ―ルは深い眠りに移行することを妨げ、さらに睡眠の後半においては、逆に眠りを浅くしてしまうという作用があるのです。従って、アルコールを飲むと、良質な睡眠が確保できずに、夜中に目を覚ましてしまうことが多くなります。加えて、アルコールには利尿作用があり、トイレが近くなってしまうため、睡眠の途中でトイレの為に目が覚めてしあい、熟眠を妨げる要因にもなります。

 

 

つまり、アルコールは決して質の高い睡眠をもたらすものではなく、むしろ熟眠を妨げ、そのことによりうつ病の回復を遅らせる原因にもなり得るのです。このような点から、うつ病の治療中の飲酒は控えるように多くの医療機関において指導されているのです。

 

 

 

このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、

気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、うつ病をはじめ、

躁うつ病(双極性障害)、適応障害、不安症、

睡眠障害(不眠症)、自律神経失調症、心身症、

パニック症、摂食障害(過食症)、統合失調症、

月経前症候群(PMS)、更年期障害、強迫症、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

過敏性腸症候群(IBS)、ストレス関連障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング精神科ショートケアを実施しておりますカウンセリング、または精神科ショートケアをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。