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私たちの人生に対する見方は、身体のごく小さな変化によって変わる得ることが示されています。顔をしかめる、笑顔を作る、あるいは姿勢を変える…等の僅かな変化が、気分や心に浮かぶ思考に、驚くべき影響を与えることがあるのです。
気分の落ち込みが身体に、例えば動き方といったようなものに、どのような影響を与えるかご存知でしょうか。
ボーフムのルール大学の心理学者、ヨハネス・ミシャラク氏らは、モーションキャプチャーを使って、うつの人とそうでない人とで、歩き方にどのような違いがあるかを調べました。実験室にうつの人とそうでない人を集め、自由に歩くように依頼しました。身体に40個以上の小さなマーカーをつけて歩いてもらい、歩行者の動きを3Dで記録したのです。
その結果、うつの参加者は、腕を動かさずに、よりゆっくりと歩き、上半身は大きく上下させない代わりに、左右に揺れるように歩くことが分かりました。最終的に、うつの人は前かがみ、前傾姿勢で歩くことが分かったのです。
このような前かがみの姿勢になるのは、うつ状態だからというわけではありません。皆様が、肩を前かがみにして頭を下げた姿勢で数分間座った後、どのように感じるかに注意を向けてみて下さい。もし気分が沈んだり何となく悪くなっていたりするのを感じたら、肩の上にある頭と首のバランスをとって、顔を上げた姿勢に座り直して、この実験を終わらせると良いかもしれません。
この身体からのフィードバックがいかに強力であるかを検証するために、フリッツ・ストラック氏、レオナルド・マーティン氏、サビン・ステッパー氏らは、あるグループに漫画を見せて、どのくらい面白いか評価するように依頼しました。
グループの内の何人かは唇の間にペンを挟み、唇をすぼめてしかめ面になって漫画を見るように指示されました。他の人は、歯の間にペンを挟み、笑顔を作りながら漫画を見るように指示されました。結果は予測通り、笑顔を作るように指示された人は、顔をしかめるように指示された人よりも、統計的な有意差をもって「漫画を面白い」と評価したのです。
幸せな時、人は笑顔になります。しかし、驚かれるかもしれませんが、笑顔をつくる(=口角を上げる)ことでも、幸せな気分になるのです。これは、心と身体の繋がりがいかに強いものかを示す、非常に分かりやすい例です。
そして、笑顔は、人に広がりやすいものでもあります。誰かが自分に笑い掛けたのを見たならば、その人は大抵の場合、微笑み返すことでしょう。つまり、例え意図的・意識的に行なったことであったとしても、笑顔になれば幸せな気分になりますし、加えて、その笑顔が周囲の人にも伝播して、その周囲からの笑顔がまたあなたを幸せにする、という好循環が生まれるのです。
躁うつ病(双極性障害)、適応障害、パニック症、
睡眠障害(不眠症)、心身症、更年期障害、
摂食障害(過食症)、統合失調症、不安症、
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群(IBS)、強迫症、ストレス関連障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、カウンセリング及びショートケアを実施しております。カウンセリング、またはショートケアをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。
参考文献:佐渡充洋・大野裕監修「自分でできるマインドフルネス」