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「『レーズン瞑想』って何ですか?」

A.

 

前回チョコレート瞑想をご紹介させて頂きました。マインドフルな食べ方(マインドフルイーティング)をするチョコレート瞑想と同じような実践をされることで、一つのことにさらに注意を集中することが出来るようになります。

 

 

今回お伝えするレーズン瞑想は、マインドフルにチョコレートを食べるよりも、さらに繊細な注意を必要とする方法です。注意を集中させながら食べることで、これまでの「食べる」という体験とは、驚くほど異なる体験になることでしょう。

 

 

たった一度、この「レーズン瞑想」を実践してみるだけでもよいのですし、やりたい時には何度実践されても構いません。レーズン瞑想は、マインドフルネス瞑想の一つの典型的な良い見本だとも言えます。

 

 

★【レーズン瞑想】★

 

 

まずは、一人でいられる場所で、電話や家族、友人に邪魔をされないよう、5~10分の時間をとりましょう。携帯電話やスマホは心を乱すので、電源を切っておきます。レーズン(あるいは、他のドライフルーツやナッツ)を数粒用意します後で記録をする時のために、紙とペンを用意しておきます。以前チョコレートを食べたときと同じように、マインドフルなやり方で、レーズン(あるいは、他のドライフルーツやナッツ)を食べることを行います。

 

 

具体的に何をしたら良いのかを理解するために、以下の指示を予め読んでおいてください。必要であれば、もう一度読み直しても構いませんが、全ての指示に忠実に従うことよりも、瞑想を行う心構えの方がもっと大切です。以下の8つのステップに、それぞれ20~30秒の時間を掛けましょう

 

 

① 「手に取る

レーズン(あるいは、ドライフルーツやナッツ)を一粒手に取り、手のひらにそれを乗せるか、親指と他の指でそれをつまみます。レーズンに注意を集め、まるで初めて見るものであるかのような態度で臨みます。…手の中でそのレーズンの重みを感じることが出来るでしょうか。手のひらの上にその影を見ることが出来るでしょうか。

 

 

② 「見る

じっくりと時間を掛けてレーズンを眺めてみます。それは一度も見たことがないものだ、と想像してみて下さい。それに大きな関心を寄せ、最大限の注意を向けてみます。それのありとあらゆる部分に目を配るのです。光が当たって明るいところ、そして皺のくぼみのためにより暗くなっているところをよく見てみます。

 

 

③ 「感触を確かめる

その質感を調べるような感じで、指の間でひっくり返してみましょう。もう片方の手の親指と人差し指でつまんでみると、どのように感じるでしょうか。

 

 

④ 「匂いを嗅ぐ

今度は、鼻先にレーズンを持っていきます。一呼吸ごとに何を感じるでしょうか。匂いはありますか。そこに気づきを集めます。…匂いはないでしょうか。あるいは、かすかな匂いがあるでしょうか。それはどんな匂いでしょうか。

 

 

⑤ 「口に入れる

ゆっくりとそれを口に運びます。手と腕がそれをどのように運ぶか、運ぶべき場所をいかに正確に知っているかに気づきます。それから、口の中にそっとそれを置きます。あなたの舌はそれをどう「受け止める」でしょうか。それを噛まないで、舌の上にある感覚をただ探索するのです。その後、舌でその物体を調べます。30秒間、必要ならばもっと長く続けます。

 

 

⑥ 「噛む

準備ができたら、意識的にそれを一回噛んでみて、その感じを確かめます。そこから広がるあらゆる味に気づくのです。歯でそれを噛んだとき、どのような感覚が広がったでしょうか。ゆっくりと何回か噛みます。まだ飲み込んではいけません。口の中で起きていることに気づきます。

 

 

⑦ 「飲み込む

それを飲み込もうとする意思が心に沸き上がってきていることに気づくかどうか、よく観察をしてみます。実際に飲み込む前に、今起きているあらゆることに注意を十分に向け、気づくようにします。舌はどのように飲み込む準備をするでしょうか。それを飲み込む時、それが口の中から食道を通っていく感じを確かめてみます。できれば、それが胃の中に落ちていく感じを感じてみます。もしも一度に全部を飲み込めなかった場合は、全て飲み込むまで二回か三回、同じことを繰り返します。飲み込んだ後、舌がどのように動くのかに気づきます。

 

 

⑧ 余韻を味わう

最後に、そのまま暫くの間、口の中の感覚を味わいます。後味が何か残っているでしょうか。それが口の中にないことをどのように感じているでしょうか。もう一粒食べようとする意思を感じることが出来るでしょうか。

 

 

そして、①~⑧が終了しましたら、このレーズン瞑想をしながら気づいたこと書き留める時間をとりましょう。

 

 

自分の行動にこんなに注意を払ったことが、一体これまでに何回あったでしょうか。集中するという本当に単純な行為によって、レーズンを食べるという体験がどのように変化をしたか気づいたでしょうか。多くの方が、生まれてはじめて、食べることで「払った金額に見合うだけのものを手にした」と語られます。

 

 

普段私たちは、どのようにして物を食べているのでしょうか。気づかない内に、食べ物はただ消えていってしまっています。レーズンは、取るに足りないもののように扱われているのです。私たちは、「もっと重要なこと」をしながら、何十粒のレーズンを一度に口に入れてしまいがちです。

 

 

見逃していたものが味だけならば、大した問題ではありません。しかし一度、日常生活の些細なことに最大限注意を払うことによって得られるものを知ると、注意を払わないことによって失ってしまったものの大きさを感じるようになります。

 

 

もし注意を払っていれば、見る、聞く、味わう、嗅ぐ、触れることで得られたはずの喜びについて思いを馳せてみましょう。日々の生活の中で、それらの喜びは見失われがちです。私たちは「今この瞬間」だけにしか存在しないのに、みな、過去や未来の中に生きてしまいがちです。私たちは、今この瞬間に起きていることについて、滅多に気づくことはないのです。

 

 

 

当院では、うつ病不安症をはじめ、

躁うつ病(双極性障害)、適応障害、パニック症、

睡眠障害(不眠症)、心身症、自律神経失調症、

摂食障害(過食症)、統合失調症、更年期障害、

月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

過敏性腸症候群(IBS)、強迫症、ストレス関連障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、カウンセリング及びショートケアを実施しております。カウンセリング、またはショートケアをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。

 

 

 

★ 参考文献:佐渡充洋・大野裕監修「自分でできるマインドフルネス」

参考HP:週刊朝日AERA dot.レーズンエクササイズって何? うつ病の心理療法『マインドフルネス』