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【心療内科 Q/A】「『不眠』への認知行動療法Ⅱ~睡眠制限法」

A.

医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

以前、「不眠への認知行動療法」の代表的なものの一つとして刺激制限法についてご紹介させて頂きました。今回は不眠への認知行動療法Ⅱとして睡眠制限法をご紹介させて頂きます。こちらは、前回の方法よりもかなり煩雑になってきますので、夜間に相当細切れにしか眠れないといった方に向いているかもしれません。

 

 

☆「睡眠制限法」☆

 

① まずは2週間分の「睡眠日誌」を欠かさず記録します。

 

② その「睡眠日誌」を元に以下を計算します。

 

  • 平均TST(total sleep time:実際に眠っている時間
  • 平均TST+15分=初回のTIB(time in bed:布団の中にいる時間
  • 「TIB<4時間30分」になってしまった場合は、「TIB=4時間半」に設定します。
  • 「起床時刻」は実際の生活に合わせて設定します
  • 入床時間=起床時間-TIB

 

③ 「②」で算出したそれぞれの時刻を睡眠日誌に記録します。

 

その後も「睡眠日誌」は欠かさず記録し続けますそして1~2週間程度を目処として、睡眠日誌を元にTIB」を調節していきます。

 

・平均睡眠効率(TST/TIB×100)≧90% ➡TIBを15分延長

・85%≦睡眠平均効率<90% ➡TIBを現状維持

・平均睡眠効率<85% ➡TIBを15分短縮

 

⑤ 「④」を繰り返します。

 

 

 

例えば、TSTが5時間であり、起床時刻が朝7時の場合、初回TIBを5時間+15分、入床時間を夜1時45分にそれぞれ設定します。そしてそれを1~2週間継続され、睡眠効率を算出して検証し、TIBを調整していきます。

 

 

このように、睡眠制限法は、布団(ベッド)に入る時刻を明示し、まさに“制限”をかけます。一種逆説的な方法とも言えるでしょう。就寝時間を設定して「その時間になるまで寝てはいけない」とすることがポイントとなります。

 

 

前回ご紹介しました刺激制限法と今回の「睡眠制限法」ちらも初期に大抵の場合“副作用”が見られます(特に、後者の「睡眠刺激法」の方がより顕著でしょう)。それは、睡眠が一時的に奪われることで日中の活動に対する機能低下が起こってしまう、ということです。

 

 

疲労感や眠気は大抵起こりますので、そのことを開始する前にしっかりと理解し認識されておくことが必要不可欠になります。しかし逆に言うならば、「これが出るからこそ良くなっていくのだ」「しっかり取り組んでいる証拠だ」とも言えるのです

 

 

かなり丁寧な自己分析や、ご自身での不眠を克服する意欲(モチベーション)が必要になります。一方「ただ投薬治療(薬物療法)頼りなのも落ち着かないな…」「自助努力で何か出来ることはないのかな…」等とお考えの不眠症の患者様にとっては、遣り甲斐や達成感を覚えられるかもしれません。いずれにしても、「そう言えば、こんな方法も紹介されていたな…」と頭の片隅に留めておいて頂けましたら幸いです。

 

 

 

当院では、睡眠障害(不眠症をはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、心身症、

摂食障害、パニック障害、自律神経失調症、

月経前症候群、更年期障害、統合失調症、強迫性障害、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。