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【心療内科Q/A】「大人の発達障害の『診断』が難しいと言われているのは何故でしょうか?」【大人の発達障害】

A.

医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

成人期以降の、大人になってからの発達障害の診断は、

幼少時や児童期、思春期における同じ診断に比べると、

格段に難しくなることを耳にされた方も、

恐らくいらっしゃられることでしょう。

 

その理由は、以下の4点にあると言われています。

 

 

●併存する障害が多様になること
●小児期の客観的症状データを取得することが難しいこと
●患者様の主観的な認識により、症状に対するバイアスが掛かりやすいこと
●バイオマーカー(客観的に測定できる生物学的指標)がないこと

 

 

特に、発達障害の診断に当たって重要なことは、

主に小児期の発達特性の偏りをいかに捉えるかだと言えます。

 

 

 

小児期においては、

ご本人(当人)の行動を診察の場面で観察することによって、

発達特性の偏りを直接知ることが出来ます。

しかし一方、成人期以降においては、

小児期のことに関して、ご本人やご家族からのお話を伺うことや、

あるいは成績表等に記された教師からの評価といった間接的情報から、

小児期の様子の直接的観察なしに判断をせざるを得ない側面があります。

 

 

つまり、小児期の様子に関する言及が含まれている「診断基準」によって、

診断をしなくてはならないにも関わらず、

当時の様子を直接観察できないことが、

成人期以降の、所謂「大人の発達障害」の診断を難しいものとしているのです。

 

 

それを補うものとして、

もしまだお手元にあり、可能なようでしたらご持参頂きたいものが、

「母子手帳」「小学校・中学校の成績表」です。

 

 

母子手帳では、主に「出生体重」「言語発達」を確認します。

何故なら、発達障害がある場合、言語発達に遅れが見られることがあるからです。

出生体重を確認するのは、発達障害のリスク要因として、

「低出産体重」が挙げられているからです。

低出産体重は、身体的発達のみならず、

脳の神経発達にも影響を及ぼす可能性があるとされていますが、

実際のところ、発達障害と診断された症例の中で、

低出産体重であった方は、10%~20%程度です。

このように、低出産体重は発達障害のリスク要因ではありますが、

全ての発達障害に低出産体重が認められる訳ではない点は、

誤解されないようにお願い致します。

 

 

小中学校時代の成績表では、主に成績教師の所見を見ます。

成績に関しましては、全体的あるいは、局所的に不得意科目がなかったかを見ることで、

「局限性学習障害(LD)」の可能性を検討する材料になり得ます。

教師の所見からは、

生活態度全般や発達特性の偏り等が、当時教師の目から見てどう映っていたか、

ということが分かります。

このよう点を見る上で、これらの参考資料が重要になってくるのです。

 

 

 

 

このコラムを読まれまして、

ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、

興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください

 

 

当院では、大人の発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD含むをはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、

睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症、強迫性障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。