A.
医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
発達障害(あるいはその傾向)を持つ社会人の方の多くが抱える課題の一つに、
「スケジュール管理の難しさ」が挙げられます。
自閉スペクトラム症(以下、ASD)の方の場合は、
「計画的に実行することが苦手である」という特性を持たれています。
それは、気持ちを切り替えることの困難さに原因があると考えられています。
例えば、興味の対象に注意がいったん向いてしまうと、
仕事の予定を含め、ご自分にとって重要なその他一切のことが、
二の次になってしまうのです。
ですので、ASDの特性をお持ちの方は、
まずはスケジュールをご自分の興味の対象に、
上手く合わせていかれる必要があると言えるでしょう。
一方、ADHDの方は逆に、気持ちが逸れてしまいやすい特性があります。
注意散漫とも言い換えられるこの傾向は、極端な場合、
予定を覚えていても目の前のやりたいことを優先してしまいます。
よって、ADHDの特性を持たれている方は、
予定を守ることを優先できるように、
自分を上手に「刺激する」工夫が必要になってくるのです。
そこで、ASDの方、ADHDの方の双方に共通して使える工夫として、
スケジュールを管理するために、
「敢えて手帳にこだわってみる」ことが挙げられます。
実は、双方の特性の方とも、本来は、
「物に対する愛着や嗜好が強い」傾向があります。
しかし反面、ご自分の愛着や興味が持てない物に対しては、
どうしても忘れがちになったり、二の次になったりしてしまうのです。
そこで、ご自分の手帳を、「こだわりの一冊」とすることで、
これまで予定を忘れがちであった方が、一転して、
スケジュール管理への意識が高いビジネスパーソンに変貌する例もある程です。
特に、ASDの特性を持たれている方は、元々、
約束や予定には厳密な性格の方が多いため、
興味の対象の照準が合ってさえすれば、
スケジュール管理の達人にさえなり得るのです。
デザインや風合い、色や形、ブランドやメーカー等、
ここは思い切って自分の「好み」を前面に押し出して、
お気に入りの一冊を選んで頂いて良いかと思います。
強いて挙げるのであれば、ADHD傾向のある方は、
予定やスケジュール、その他のメモや記録を1冊で一元管理できる
「システム手帳」タイプが向いているかもしれません。
一元管理できるメリット以外にも、
何冊もメモ帳や手帳、ノートを抱えてしまうことで、
管理がしきれなくなり、忘れたり無くしてしまったりするリスクから
解放される点が大きいかと思います。
ASD傾向のある方は、ADHDタイプの方とは逆に、
「スケジュール帳はスケジュール管理に特化したもの」を選ばれることを
お勧め致します。
メモ帳が必要な場合は、スケジュール帳とは別に1冊用意をされた方が、
よりすっきりとした気持ちで物事に取り組めるのではないでしょうか。
このコラムを読まれて、
ご自分の現在のご状態として気にかかる点が出てこられた方、
興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、ADHD、ASD等を含めた大人の発達障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安障害、適応障害、摂食障害、
パニック障害、睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。