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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前こちらのコラムで2回にわたって「カサンドラ症候群(カサンドラ状態)」についてを扱わせて頂きました。
パートナー間(以下、具体例として「夫婦間」のケースで記載させて頂きます)でコミュニケーションが取れない時、
「夫はアスペルガー障害(DSM-Ⅴ以降、自閉スペクトラム症)で、私(妻)はカサンドラ症候群なのだ」と、
時としてコミュニケーションをとることを諦めてしまわれることがあります。
確かに、妻の気持ちを汲もうとされない一方的な方もいらっしゃられるのも事実ですが、実は多くの場合は違います。
何故なら、ご自分(夫)に発達障害があって上手くコミュニケーションが取れていないことを自覚し、何とか改善をしたいと考えられている方が増えてきているからです。
本人は変わろうとされているのです。
夫婦の会話(やりとり)のほとんどは気持ちの交流です。
妻は夫に「何も言わなくともわかって欲しい」と望みますが、
発達障害(特に、アスペルガー障害や自閉スペクトラム症)のある夫には、それこそが一番苦手なことなのです。
しかし夫は感情のない人ではありません。
妻に愛されたいと思っていますし、良い関係でいたいと思っているのです。
「夫に自分の気持ちや事情を察してもらいたい」ではなく、
気持ちや事情は、ぜひ“言葉”にして伝えてみて下さい。
一般に、男性では論理的思考が優位で共感性機能が低く、女性はその逆である傾向があります。
アスペルガー障害の方は、その傾向がさらに優位となっていますので、
「伝え方(話し方)」にも、「通じやすい伝え方」と「通じにくい伝え方」があると思って下さい。
「通じやすい伝え方」は、「①結論を先に言う→②その理由を言う」という伝え方です。
逆に「通じにくい伝え方」とは、その本題に入る前に、その周辺情報のような雑多な話題からスタートし、徐々に本題に迫っていくという伝え方です。
今まで双方のやり取りが上手くいかなかったケースにおいて、お心当りはないでしょうか?
自閉スペクトラム症は、4対1の割合で男性の方が多いことが知られています。
さらに、知的な障害を伴わない高機能自閉スペクトラム症(=アスペルガー障害)では、さらに性差の比率が顕著であり、8対1~10対1の割合で圧倒的に男性が多いと言われています。
しかし、ここで興味深い事柄として、診断基準を完全に満たすには至らないものの、何かしらの困難を抱えていらっしゃられる、所謂“グレーゾーン”と呼ばれる方々に関しては、男女差はさほどないと言われていることです。
発達障害は一つの「個性」です。
その個性の特徴を周囲がまずは正しく理解していくことが、発達障害のご本人も、また周囲の人たちにとっても非常に大切であるということを、この「カサンドラ症候群」は示しているように感じられます。
当院では、アスペルガー障害(自閉スペクトラム症)を含めた大人の発達障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、睡眠障害、自律神経失調症など、皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、心身両面からの治療とサポートを行っております。
また、パートナー(夫婦、カップル)との関係性によって生じるお悩みについても、対応しております。
今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願いいたします。