PMS(月経前症候群)の女性の身体に良い食材は、往々にして全ての人にとって良い食材です。ですので自分のためにわざわざPMS対策の食事を作り、さらに家族の食事は別に作らなくてはならないということもありません。
貧弱な食事(食生活)は、時としてPMSの症状の増悪要因になりかねません。食生活は数週間あるいは、数か月かけて徐々に、無理のない範疇で変えていけば、その後も自然と継続させることができます。少しずつ変えていくという方法は、意外と大きな結果が得られるものです。急激に食習慣を変えることは、多くの人にとってストレスになります。目標は「一生を通じてよいよく食べる」ことです。
何を食べたらよいのか考えるにあたって、ひとつ覚えておきたい、面白い原則があります。それは、「いずれ腐る食物だけを摂りましょう。そして、それが腐る前に食べましょう!」です。つまり、研究室で作られたものではなく、大地で自然のままに育つものを食べるとともに、砂糖やイースト、保存食品などは避ける、ということです。
PMSの人へのお勧め食品
1.飲料…水(レモンやライムを加えるとより良い)、ハーブティー、緑茶
2.タンパク質…豆類(豆腐、納豆、油揚げもお勧め)、卵、魚(特にカツオやマグロの赤身)、鶏肉、牛肉、豚肉、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ウォールナッツ、ヘーゼルナッツなど)、種(ヒマワリ、カボチャの種)
3.甘味料…ステビア、リュウゼツラン(サボテンからとれる)、メープルシロップ(ビタミンを含むもの)
4.野菜…七色の食事を心掛け、色やバラエティに配慮する。ブロッコリー、小松菜、大根の葉、ほうれんそう、ズッキーニ、しいたけなど
5.サラダ…レモンやオリーブオイルドレッシング
6.炭水化物…米(特に玄米がお勧め)、全粒、さつまいも、白イモ、パスタ
7.パン/クラッカー…イースト菌を使わないトルティーヤやクラッカー、ビスケット
8.乳製品…牛乳、バター、プレーンヨーグルト(砂糖・果物・人工甘味料が入っていないもの)、チーズ(プロセスチーズ、カッテージチーズ、クリームチーズ、モッツァレラチーズ、チワワチーズなど)チーズは塩分の摂り過ぎに注意
9.油…オリーブオイル、バター、サフラン油、ヒマワリ油
PMSの人が食べるのを避けた方が良い食品
1.飲料…アルコール、ビール、ワイン、果物ジュース、コーヒー、人工甘味料入り清涼飲料水
2.タンパク質…ハム、保存食品の加工肉、ソーセージ類、ナッツ類(ピーナッツ、ピーナッツバター、ビスタチオ)
3.甘味料…砂糖、果物(特にオレンジやグレープフルーツ)、果物ジュース、「… ーゼ」で終わる名前の甘味料、蜂蜜、人工甘味料、ダイエットシュガー
4.野菜…マッシュルーム
5.保存食…アルコール、ビール、ワイン、醤油、マヨネーズ、ケチャップ、マスタード、ピクルス、オリーブ
6.炭水化物…パスタソースに注意(砂糖や酢、マッシュルーム、熟成チーズ等が入っていないものを選ぶ)
7.パン…イーストブレッド、「自然発酵」のパン、ベーグル、バンズ
8.乳製品…熟成チーズ、ブルーチーズ、チェダーチーズ、スイスチーズ、パルメザンチーズ、フェダーチーズなど
9.油…マーガリン
……上記のリストの「PMSの人が食べるのを避けた方が良い」ものの中で、「アルコール」は最も取り扱いに注意は必要です。PMSに苦しまれている女性の中には、「アルコールをたくさん飲んで夜遅く帰宅し、翌日が休日であれば昼過ぎ(あるいは夕方)まで寝ていて、日の陽にも当たらず、運動不足になることで症状を悪化させている」というパターンの方も少なくありません。
また、アルコールを摂取すると、酔って気分が一瞬上がりますが、醒めると気分が落ち込むことが多いのです。高まった気持ちが普通に戻るだけでも落ち込んだ気になるのに、自分はダメだと思ってしまう傾向がある人は、さらに落ち込みが酷くなってしまいます。
PMSの症状の一つである気分の落ち込みが酷い時に、お酒に頼ろうとする人がいますが、それは逆効果です。そんな時はアルコールは飲まない方がよいのです。バイオリズムが下降線をたどり始めると、うっぷん晴らしのためにお酒を飲もうとする人がいます。しかし、PMSで苦しむ女性の場合には、お酒を飲んでもうっぷんは晴れません。
お酒を飲み過ぎると、とんでもない失敗や、思ってもいないことを口にしてしまうこともあります。酔いが醒めて、そんな自分に傷ついてさらに落ち込んでしまうことも間々あいます。そこで提案は、お酒は、気分のいい時に、休日の昼間、太陽の下で飲むことをお勧めします。
このコラムを読まれて、ご自分の現在のご状況として、
気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、
月経前症候群(PMS)、PMDD(月経前不快気分障害)、
自律神経失調症、心身症、更年期障害、冷え性、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、適応障害、
睡眠障害(不眠症)、摂食障害(過食症)、パニック症、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
統合失調症、強迫症、過敏性腸症候群(IBS)など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
なお、PMSの漢方薬による治療をご希望の患者様は、診察時に医師の方にぜひご相談下さい。当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することも可能です。
Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)
監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)
参考引用文献:リネヤ・ハーン著『PMS(月経前症候群)を知っていますか?』(朝日新聞社)