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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
当院では「カップルカウセリング」を実施しております。このようなカップルカウンセリングや家族療法には、担当する心理師やその患者様方のお悩みの種類によって、駆使される療法やアプローチは千差万別ですが、今回はその中でも代表的なアプローチに一つである「システムズアプローチ」をご紹介していきたいと思います。
「システムズアプローチ(以下、SA)」は、伝統的な心理療法(例えば、精神分析等)との比較において、幾つかの際立った特徴があります。その一つは、「過去」ではなく「現在の在り様」により重点を置くことです。それは、「問題や症状の原因」ではなく、「それら(問題や症状)を持続させている要因」の方に焦点を当てる考え方であると言えます。
具体的には、現在患者様が、周囲の様々な現象の中の「何に」注目し、それにどのような意味付けを与え、どのようなコミュニケーション(言語、感情、行動など)を行っているのかを分析します。通常、そのような連鎖は、自然と変化し続けるものですが、それが習慣化(固着化)してしまったかのように見え、かつ、そのような連鎖の一部に「問題」や「症状」としてラベリングされがちな現象が存在していると、それに囚われてしまった方は、患者(クライエント)として治療(心理療法、カウンセリング)を受けることになります。
このような観点から、SAでは、「問題」や「症状」を直接扱うのではなく、あるいは「性格」や「発達」を直接扱うのではなく、また「過去」を扱うのでもなく、ただ現在の「連載」「循環」「円環」「相互作用」といった現象を変化させることが主たる目標となります。その目標を達成されることで、連鎖反応的に「問題」「症状」「性格」「発達」あるいは「過去(過去に関する語り)」も自然と変化すると考えるのです。
また、「問題」「症状」を含む連鎖や相互作用は、単に一個人内で生成・維持されているようなものではなく、周辺の人々との間に起こる何らかのコミュニケーションの相互作用を通じて強化、あるいは減弱されると考えられます。周辺の人物で最も重視されるべきは生活を共にしている家族である場合が多いので、家族のメンバーの方も同時にカウンセリング(=「カップルカウンセリング」)を受けることで、変化を速やかに生み出すことが可能になります。しかしこれは逆に、上手くいくと、その方個人の変化が他の家族メンバーの変化を生み出す可能性も同時に示唆しているのです。
さて、このようなSAにおける治療的介入法は様々であり、実はSA特有のものがあるわけではありません。対象が個人であれ家族(カップル)であれ、「連鎖・相互作用を変える」と言った意識をもったアプローチであるならば、これまでに臨床心理学やそのような近接領域で得られたどのような知見や方法を用いたとしても、それはSAであると言えるのです。これが「SAは方法でなく、考え方である」と言われる所以です。
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