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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「アンガーマネジメント(怒りのコントロール法)」の第9回です。アンガーマネジメントは、ADHDを始めとした発達障害の方に限定されたものではなく、どんな方が使って頂いても役立つスキルの一つです。
私たちはどういった時に「怒り」を感じるのでしょうか?
以前同コラムにおいて、「怒りは第二感情であり、その背後に必ず『第一感情』がある」ということをご紹介させて頂きました。それも「怒り」を感じる一つの要因です。
ただ、もっと決定的な要因が実はあります。それは「価値観」という要因です。私たちは、当然ながら、自分自身の「価値観(価値基準)」というものを持っています。これがあるからこそ、人は物事に対して判断や決断をすることが出来るのです。
ただ、この「価値観」というものは、余りにも自然に、いつの間にか備わってくるため、その内容を逐一チェックしたり、違和感を持ったりすることは、まずありません。
ところが、この「価値観」こそが、他者との衝突や自分の怒りの発端になることが、非常に頻繁にあるのです。加えて、この「価値観」による衝突や怒りは、身近な親しい間柄ほど、起こり易くなります。何故なら、身近な親しい間柄の相手であるほど、「自分と同じ価値観を持っていて欲しい(共有したい)」という思いが生じてしまうからです。
「価値観」は誰一人として全く同じ人間はいません。「お互い持っている価値観は人それぞれ違うのだ」ということをしっかりと念頭において、それぞれの持つ価値観を尊重しつつ、お互いに話し合うところはきちんと話し合い、お互いの価値観の許容範囲内で折り合いをつけていく、といったことが必要になってくるのかもしれません。
少なくとも、一方の価値観を相手に押し付けることは、自分や相手の怒りの発端に繋がりかねません。もしも、無意識の内に、以下のような言葉を使っている時は、ご自身の価値観を強く押し出してしまっている可能性があるため、注意が必要でしょう。
★「べき」:その人の価値観が強く反映される言葉です。自分自身のやり方や方針だけでなく、相手の行動を決めたり判断したりする時にも使われがちです(⇒使用例:「女性はおしとやかであるべき」「子どもは親の言うことを聞くべき」「絶対にミスは避けるべき」…等々)。
実は「べき」は自分自身のルールであって、他人のルールではありません。他人を自分のルールで縛ろうとした際、相手が自分の思うような行動を取ってくれないと、自分のルールを守らない相手に怒りを感じてしまいます。
★「せっかく~~のに」:わざわざ行ってあげたのだという気持ちから出てしまう言葉のため、自分側では思い遣りのつもりが、相手には独善的に感じられてしまうことがあります(⇒使用例:「せっかく教えてあげたのに、どうしてすぐに活かさないの?」「せっかくあなたのために作ったのに、何で食べないの?」「せっかく来たのに、もっと喜びなさいよ」…等々)。
この「せっかく~~のに」のネックは、「喜ぶだろう」と自分が予想して、自分の意志で行動したのであり、必ずしも相手の希望に沿っているとは限らないことです。相手が自分の思っていたほど喜ばなかった時に、自分が手間を掛けた分だけ、がっかりしたり、腹が立ったりしてしまうのです。
★「はず」:結果を自分なりに予想していた際、それが大きく外れた時に出る言葉です。自分では「正しい」「合っている」と思っていても、実際には一方的な思い込みや期待、願望であることが往々にしてあります(⇒使用例:「言わなくてもこれくらい分かるはずでしょ」「頑張ったのだから、褒められるはずだ」「きっと慰めてくれるはず」…等々)。
残念ながら、物事は必ずしも自分が予想していた通りになるとは限りません。むしろ他者が関与してくる場合は、思い通りにならない方が多いこともあります。頭では「一般論としては、確かにそうだ」ときちんと分かっていても、自分のこととなると中々気が付かないものです。
このコラムを読まれまして、
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また、ご希望の方には、アンガーマネジメントについてのご相談も承っております。
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