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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
ADHDの診断には、その人を取り巻く文化的な背景も影響します。
そのことについては、ADHDの診断基準を掲載している『DSM-Ⅴ』にも、しっかりと明記されています。
例えば、日本の場合、電車はほぼ正確にダイヤ通り運行するのが当たり前で、数十秒、数分の遅れにも目くじらを立てる人がいる程ですが、外国の場合、電車がダイヤ通りに運行していることの方が珍しい位です。
“遅刻”ひとつ取っても、数分刻みでの厳格さ求められる業種や企業風土を持つところと、そうでないところとでは、許容範囲が異なります。
旅先で「時間の感じ方が違う」という経験をされた方は多いと思います。
例えば、リゾート地のようなのどかな地域では、ご自身のADHD特性に気付かずに終わったかもしれない方も、もし分刻みで大金が動くようなビジネスの世界に身を置かれていたら、叱責や懲罰的な処遇を受け、自責の念で、重度のうつ症状に陥ってしまうことがある、というような“文化的な差異”が考えられるというわけです。
他にも、とある日米のADHDの方を対象とした臨床研究において、ADHDの診断を受けた方を調査対象として募ったところ、アメリカでは「不注意優勢型」のADHDの方が多く参加されたのに対して、日本では「不注意・衝動性・多動性の全てを併せ持つ型」のADHDの方が、多く集まったそうです。
これは、ほぼ同様の特性であっても、日本では「多動性・衝動性」と見られ問題視されてしまうのに対し、アメリカではその多動性・衝動性が多少在ったとしても、そこまで問題視されず、むしろ「積極的、行動的」といった評価に置き換わりやすいのではないか、という見解がなされています。
このように、国や地域、あるいは所属するコミュニティによる文化的な違いは、確かにADHDの症状を評価・診断する上で、関係性があるといって差し支えない側面はありそうです。
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