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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
大人の発達障害(あるいはその傾向)の方にとって、ご本人がその特性を充分に理解されており、職場における「環境調整」が出来るに越したことはありませんが、様々なご理由により、それが難しいというケースもあります。
例えば、子ども時代には、その特性によってそれ程困ることはなく、むしろ社会人になって仕事を始めて以降、上手くいかないことが多々出てきたことにより、医療機関に通うようになったことではじめて、ご自身の発達の特性に気が付かれるという方がいらっしゃられます。
(所謂「大人の発達障害」と呼ばれるものに当たる方々になります。)
そういった方の中には、「自分では発達の特性は理解出来るし、生活の調整が必要ということも自覚出来ているけれども、それを家族や職場には伝えたくない」という方も、少なからずいらっしゃられます。
このタイプの方の多くは、まず言えることとして、発達障害の特性や傾向がそこま顕著に強く現れていない方が大半を占めています。
この場合、発達障害と言ってしまってよいのかどうか、またそれを周囲の方々に伝えるかどうかは、確かに微妙な問題を孕んでいます。
また、このタイプの方は、学校のクラスや部活動、塾、アルバイト先、職場など、これまでにご自身が所属されてこられたコミュニティの中で、対人関係や段取りを苦手とされている方が、正当な評価を受け辛いような場面を目の当たりにされてこられた可能性も、往々にしてあります。
そういった背景や体験をお持ちの方に対して、「とにかくまずは周囲の人の理解を得るように」の一点張りでは、ご本人様としても困惑されたり、悩まれてしまったりされてしまう可能性はあることでしょう。
このように、周囲の人に打ち明けにくく、そのことで理解や配慮が得にくい場合には、ひとまず自分で特性を理解し、出来る範囲で生活を調整していくことになります。
この場合、時として周囲の方々から、(特性のことは伝えていないため)苦手な部分の克服を求められることも、出てくるわけですから、困難に直面することもあることでしょう。
例えば「肌の感覚過敏のため、服を着る際には、素材選びが欠かせない」という特性をお持ちの方の場合を考えてみましょう。
社内も取引先も全員スーツを着用することが基本であれば、少なくとも「服装」という点では調整の余地はあまりありません。尚且つ、そのような会社や業界では、服装だけでなく、挨拶や言葉遣いにも厳格なルールが設定されています。
もしもそういった業界で働きたいと考えるのであれば、ご自分の苦手な部分の底上げや克服は、どうしてもある程度は、必要になることでしょう。
一方、服装にあまり縛りがなく、自分の好きなスタイルを選べるような職場なら、その点では“暮らしやすさ”が保障されます。
ご自分に発達の特性があることをわざわざ周囲に伝えなくとも、自分で自由に服装の調整が出来ます。
そういった意味では、そこではある程度、ご自分の特性に合った働き方が出来るかもしれません。
大切なことは、ご自分のやりたいことと、そのための環境調整の客観的な実現性をよく考え、その双方のバランスを上手にとっていかれることだと言えるでしょう。
このコラムを読まれまして、
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