寝言が多いのは病気?原因と考えられる睡眠トラブルを精神科専門医が解説
はじめに
「家族から寝言が多いと言われる」「毎晩のように寝言を言っている気がする」「内容がはっきりしていて心配になる」など、寝言について不安を感じて受診を検討される方は少なくありません。
寝言は誰にでも起こりうる現象ですが、頻度が多い場合や内容が激しい場合には、睡眠の質の低下や睡眠障害が関係していることがあります。
本記事では、精神科専門医の立場から、寝言が多くなる原因、考えられる病気、受診の目安、対処法について詳しく解説します。
寝言とはどのような現象か
寝言は、睡眠中に無意識のまま声を出して話す現象で、医学的には睡眠随伴症の一種とされています。
単語だけの場合もあれば、会話のように聞こえることもあり、内容は本人が覚えていないことがほとんどです。
多くの場合は一過性で、特に治療を必要としないことも少なくありません。
寝言が起こりやすい睡眠段階
寝言は主にレム睡眠中に起こりやすいとされています。レム睡眠は夢を見やすい睡眠段階で、脳が活発に働いています。
このとき、覚醒と睡眠の境界が不安定になることで、夢の内容が声として表に出ることがあります。
また、ノンレム睡眠の浅い段階でも寝言が出ることがあります。
寝言が多くなる主な原因
寝言が多くなる背景には、以下のような要因が考えられます。
まず、精神的ストレスや疲労です。強いストレスが続くと脳が十分に休めず、睡眠が浅くなります。その結果、夢が増え、寝言が出やすくなります。
次に、睡眠不足や生活リズムの乱れです。夜更かしや不規則な就寝時間は、睡眠の質を低下させ、寝言の頻度を高める原因になります。
アルコールの影響も重要です。飲酒後は一時的に眠りやすくなりますが、後半の睡眠が浅くなり、寝言や中途覚醒が増えることがあります。
また、発熱や体調不良の際にも寝言が増えることがあります。
病気が関係している場合
寝言が頻繁で内容が激しい場合、以下のような病気が関係していることがあります。
レム睡眠行動障害では、夢の内容に合わせて大声を出したり、手足を動かしたりします。単なる寝言よりも行動を伴うのが特徴です。
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠が分断されることで寝言が増えることがあります。
うつ病や不安障害などの精神疾患では、睡眠の質が低下し、寝言や悪夢が増えることがあります。
小児では夜驚症や睡眠時驚愕症などが関係することもあります。
寝言が多い場合の注意点
以下のような場合は、単なる寝言ではなく、医療機関への相談を検討することをおすすめします。
・毎晩のように寝言が続いている
・叫ぶ、怒鳴るなど内容が激しい
・手足の動きや暴れる行動を伴う
・日中の眠気や疲労感が強い
・本人や同居者が不安を感じている
対処法とセルフケア
寝言が多い場合、まずは生活習慣の見直しが重要です。
就寝時間と起床時間を一定に保つ、寝る前のスマートフォン使用を控える、十分な睡眠時間を確保するなど、基本的な睡眠衛生を整えることで改善することがあります。
ストレス対策も重要です。過度な緊張状態が続いている場合、リラクゼーションや軽い運動を取り入れることが有効です。
アルコールを控えることも、寝言の軽減につながります。
それでも改善しない場合や、症状が強い場合には、精神科や睡眠外来での評価が必要になります。
精神科専門医からのメッセージ
寝言が多いからといって、必ずしも病気があるわけではありません。しかし、睡眠は心と体の状態を映す鏡のようなものです。
寝言の増加は、ストレスや睡眠の質低下を知らせるサインであることもあります。
「ただの寝言」と決めつけず、気になる場合は専門医に相談することで、安心につながることも多いでしょう。
まとめ
寝言が多い背景には、ストレス、睡眠不足、生活リズムの乱れ、病気などさまざまな要因があります。
多くは心配のいらない現象ですが、頻度や内容によっては注意が必要です。
睡眠の質を整え、必要に応じて専門医に相談することが、安心して眠るための第一歩になります。
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参考文献:
厚生労働省 e-ヘルスネット 睡眠と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-005.html
日本睡眠学会 睡眠障害の診断と治療
MSDマニュアル家庭版 睡眠随伴症
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/sleep-disorders
Mayo Clinic Sleep talking
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会



