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発達障害とADHDの違いとは?精神科医がわかりやすく解説

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発達障害とADHDの違いとは?精神科医がわかりやすく解説

発達障害とADHDの違いとは?精神科医がわかりやすく解説

はじめに

近年、「発達障害」や「ADHD」という言葉を耳にする機会が増えています。学校や職場でも「もしかして自分はADHDかも?」「発達障害ってどう違うの?」といった疑問を抱く方も少なくありません。

この記事では、精神科医の立場から、発達障害とADHDの違いや関係性、正しい理解と向き合い方について解説していきます。

 

発達障害とは?

発達障害とは、生まれつきの脳機能の違いによって、コミュニケーション、対人関係、行動面などで特徴的な傾向を示す状態を指します。主に以下の3つのタイプに分類されます。

自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)

  • 社会的なやり取りが苦手
  • 興味や行動が限定的・反復的
  • 感覚過敏がある場合も

注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)

  • 不注意、多動性、衝動性が目立つ
  • 忘れ物やうっかりミスが多い
  • 落ち着きがなくじっとしていられない

学習障害(LD:Learning Disabilities)

  • 読む・書く・計算することに困難がある
  • 知的な発達に遅れはない

これらはいずれも「発達障害」という大きな枠組みの中に含まれます。

 

ADHDは発達障害の一種

ADHDは発達障害の中の一類型であり、独立した診断名です。つまり「ADHDは発達障害の一種」という位置づけになります。

そのため、「発達障害とADHDの違いは?」という問いに対しては、ADHDは発達障害に含まれるものであり、「発達障害」という言葉がより広い概念である、というのが正確な回答です。

 

ADHDの特徴

ADHDには以下の3つのタイプが存在します。

  1. 不注意優勢型:集中力が続かない、忘れ物が多い
  2. 多動・衝動型:じっとしていられない、しゃべりすぎる、順番を待てない
  3. 混合型:不注意と多動・衝動の両方の特徴を持つ

ADHDは子どもに多いと思われがちですが、近年では大人になってから診断される「大人のADHD」も注目されています。社会的な適応に困難を感じるケースでは、治療や支援が大きな助けになります。

 

発達障害とADHDの混同を避けるために

発達障害という言葉は広義であり、ADHDだけを指すものではありません。ASDやLDなど、異なる特性を持つ障害が含まれているため、診断には専門的な知識と経験が必要です。

自己判断で「ADHDだと思う」「発達障害かも」と思い込むことで、本来必要な支援を受けられない場合もあります。そのため、気になる症状がある場合には、必ず医療機関で正確な評価を受けることが重要です。

 

診断と治療の流れ

発達障害やADHDが疑われる場合、診断は通常以下のような流れで行われます。

  1. 医師による問診・面接
  2. 心理検査(WAIS、CAARS、AQなど)
  3. 家族や学校・職場からの情報収集

治療には以下のような選択肢があります。

  • 薬物療法(ADHDにはストラテラやコンサータなど)
  • 認知行動療法(CBT)や心理教育
  • 環境調整や支援機関との連携

特にADHDでは、薬物療法が大きな効果を示すことがあり、医師の指導のもと適切に服用すれば、日常生活の質を高めることができます。

 

医師としての見解

精神科医の立場から言えることは、発達障害やADHDの診断は「ラベル付け」ではなく、より良い支援と理解を得るための出発点であるということです。

診断を受けたからといって、その人の可能性が限定されるわけではありません。むしろ、自分の特性を理解し、適切な対応を取ることで、自己肯定感を持ちやすくなり、社会で活躍できる可能性も広がります。

 

まとめ:正しい理解が支援の第一歩

発達障害は広い概念であり、ADHDはその一種であるという構造を理解することが、混乱を避ける第一歩です。違いや特徴を正しく知ることで、よりよい支援や生きやすさにつながります。

気になる症状がある方は、まずは専門機関に相談してみましょう。当院でも診断や支援に関するご相談を随時受け付けております。安心してご相談ください。

 

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参考文献:

厚生労働省「発達障害情報・支援センター」
https://www.rehab.go.jp/ddis/

日本精神神経学会:発達障害診療ガイドライン https://www.jspn.or.jp/guidelines/disorders/developmental_disorders/

American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition (DSM-5)

日本小児精神神経学会:ADHD治療の手引き https://www.jspn.org/modules/publication/index.php?content_id=8

医中誌Web:ADHDとASDに関する国内臨床研究

 

監修者:

新宿ペリカンこころクリニック

院長 佐々木 裕人

資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医

所属学会:日本精神神経学会