ジェイゾロフトで性格が変わる?副作用とその対策を徹底解説
はじめに
ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)は、うつ病や不安障害の治療に広く用いられている抗うつ薬で、多くの患者様に有効性が認められています。一方で、「性格が変わったように感じる」「以前の自分と何か違う」といった声が聞かれることもあります。
当院でも、「気分が明るくなった」「感情の波が激しくなった」「些細なことでイライラしやすくなった」など、服用後の変化に関する相談を受けることがあります。これらは、セロトニンの脳内濃度が変化することにより、感情のコントロールに影響が及ぶためと考えられています。
ジェイゾロフトは感情の安定を図る一方で、活発さが増したり、感情の起伏が平坦になったりといった副次的な変化を引き起こすこともあります。本ページでは、ジェイゾロフトの服用によって「性格が変わった」と感じる理由と、その対処法について詳しく解説していきます。日常生活への影響を少しでも和らげたい方は、ぜひご一読ください。
ジェイゾロフトとは?
ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)は、抗うつ薬の一種で、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類されます。うつ病やパニック障害、社会不安障害、強迫性障害などの治療に広く用いられており、脳内のセロトニン量を増やすことで、不安や気分の不安定さを和らげる作用があります。
作用機序:セロトニンの再取り込み阻害
ジェイゾロフトは、神経伝達物質の1つであるセロトニンが再び神経細胞に取り込まれるのを抑える働きがあります。これにより、シナプス間にセロトニンが長く留まり、神経伝達の効率が高まります。その結果、気分が安定し、不安の軽減や意欲の回復といった効果が期待されます。
主な適応症状
- うつ病:抑うつ気分や意欲の低下を改善します
- パニック障害:突発的な激しい不安発作を和らげます
- 社会不安障害:人前で強い緊張や不安を感じる状況での苦痛を軽減します
- 強迫性障害:繰り返し行ってしまう思考や行動を抑えます
服用方法
1日1回の服用が基本とされており、朝食後あるいは就寝前のいずれかに服用するのが一般的です。効果が感じられるまでには2〜4週間ほどかかることがありますが、継続的に使用することで症状の改善が期待できます。服用を中断する際は、離脱症状を防ぐためにも自己判断は避け、必ず医師の指示に従ってください。
副作用についての概要
ジェイゾロフトは、比較的副作用の少ない抗うつ薬とされていますが、体質や体調によっては、吐き気や頭痛、眠気、気分の変動などの症状が生じることがあります。
ジェイゾロフトで性格が変わると誤解される理由。
ジェイゾロフトの服用後に「自分が以前とは違うように感じる」「感情の波が大きくなった」と訴える方は一定数いらっしゃいます。人付き合いが積極的になった、前向きに行動できるようになったといった良い変化を感じる方もいれば、逆に怒りっぽくなったり、些細なことに過敏になるようになったといった声も聞かれます。
こうした変化は、脳内のセロトニン濃度が変動することによって起こると考えられます。ジェイゾロフトは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に分類され、神経伝達物質のバランスを調整する働きがありますが、その作用が感情面にも影響を及ぼすことがあります。感情の安定が得られる一方で、抑えていた感情が表に出やすくなったり、気分が高ぶりすぎて落ち着きにくくなるケースもあるのです。
性格が変わるように感じる原因
1.セロトニンの増加による感情の変動
- セロトニン濃度が上昇すると、感情の起伏が強まりやすくなります
- 普段は抑えていられた感情が表に出やすくなり、少しの出来事にも過敏に反応する傾向が見られます
2.感情の平坦化
- 気分の波が落ち着く反面、喜びや悲しみといった感情も感じにくくなることがあります
- 感情表現が乏しくなり、周囲から「感情が薄い」と思われることもあります
3.イライラや攻撃性の高まり
- 人によっては、服用後に怒りっぽくなる、衝動的な反応が増えるといった変化が生じることがあります
- 日常の小さな出来事にも過剰に反応しやすくなり、人間関係のトラブルに繋がるケースもあります
4.活動性の変化
- エネルギーが高まり、行動的になる方がいる一方で、落ち着きがなくなることもあります
- 社交的な場面で過度に積極的になり、自分らしくない振る舞いをしてしまうこともあります
こうした変化は、ジェイゾロフトの効果が現れている兆しとも言えますが、日常生活に影響が出ている場合、早めに医師へ相談しましょう。症状の程度によっては、お薬の量を調整したり、別の薬剤への変更を提案されることもあります。
さて、ではなぜこのジェイゾロフトを開始すると性格が変わったように感じるのでしょうか。
たとえ話になってしまいますが、自分の感情の真ん中に1本線が引かれていると想像してみて下さい。
この線を大きく外れていない内は心が安定している、状況に合わせ感情が穏やかに波打っている状態です。
ジェイゾロフトは基本的にこの心の波を上に持ち上げてくれる効果を持ちます。
真ん中の線のかなり下を波打っていた方はジェイゾロフトを開始すると波は真ん中の線に近づいてくれます。
しかしそうすると今まで感じていた悲しみも感じづらくなり感情が平坦になったように感じてしまうのです。
実際は安定線である真ん中の線に近づいているのに「何も感じなくなってしまった」と感じてしまうわけです。
では、次にこの波が激しく深い悲しみと陽気さを感じていた場合にジェイゾロフトを開始するとジェイゾロフトは頑張って感情の波を上に上げてくれます。
しかし、そうすると「気分が上がりすぎている」、「イライラしやすくなる」など上振れもしやすくなってしまうのです。
そして、この波を調整していくのが通院治療での医師との診察です。
波を抑える薬も勿論あります、このような薬と組み合わせて医師はあなたの感情を真ん中の線に合うように調節してくれます。
それは、人が変わるわけではありません。
貴方が貴方を取り戻す、生きづらかった今日が生きやすい明日になるための服薬です。
薬は絶対ではありませんが、あまり脅えすぎないようにしてくださいね。
ジェイゾロフトの主な副作用
ジェイゾロフトを服用している間は、性格の変化以外にも様々な副作用が現れることがあります。症状の出方には個人差がありますが、よく見られる副作用は大きく分けて次の3つのタイプに分類されます。
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身体的な副作用
ジェイゾロフトの服用中に、次のような身体的な不調が現れることがあります。
- 吐き気:特に服用を始めた初期に起こりやすいです
- 頭痛:セロトニンのバランスが変化する影響で、一時的に起こることがあります
- 眠気や倦怠感:日中に眠気を感じたり、全身のだるさを訴えるケースもあります
- 胃の不快感:胃もたれやむかつき、食欲の低下といった症状が出ることもあります
これらの症状は、継続して服用する中で次第に軽減することもありますが、不快感が強く続く場合には、早めに医師へ相談することが大切です。
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精神的な副作用
一部の方では精神面に次のような変化が現れることがあります。
- 不安感の増加:気持ちが落ち着かず、そわそわした状態になることがあります
- 焦燥感や動揺:イライラや混乱を感じやすくなる場合があります
- 衝動性の高まり:普段は抑えられている感情や行動が表に出やすくなり、衝動的な言動が増えることもあります
特に、不安障害の既往がある方は、これらの症状が強く出る傾向があるため、服用中の変化には注意が必要です。
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性格の変化
前述のとおり、ジェイゾロフトの服用によって、性格や気分に変化が現れることがあります。例えば、必要以上に活発になる、怒りっぽくなる、感情表現が乏しくなるといった傾向が見られることがあります。
こうした変化が強く出て、日常生活に影響を及ぼしている場合は、お薬の服用量を調整したり、他の治療法を検討する必要があります。
以下では、こうした副作用への具体的な対処法について詳しくご紹介します。
服用中に気をつけるポイント
ジェイゾロフトを安全に服用するためには、いくつかの注意点を意識することが重要です。ポイントを押さえておくことで、副作用のリスクを減らせます。
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運転や危険な作業は控える
ジェイゾロフトを服用すると、人によっては眠気や集中力の低下が生じることがあります。特に自動車の運転や高所での作業など、注意力を必要とする行動は事故のリスクが高まるため、極力控えるようにしましょう。症状が出た場合は、無理をせず安全な場所でしっかりと休息を取ることが大切です。
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アルコールとの併用は避ける
服用中にアルコールを摂取すると、お薬の作用が強まり、副作用が出やすくなることがあります。特に、眠気やめまいが悪化したり、感情の浮き沈みが激しくなる恐れがあるため、治療期間中の飲酒は避けるのが望ましいです。
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他の薬との相互作用に注意
ジェイゾロフトは、他のお薬と一緒に服用することで作用が強くなったり、逆に効果が弱まることがあります。特に、睡眠薬・抗不安薬・抗ヒスタミン薬などとの併用では、眠気やめまいが強く現れるリスクが高くなるため注意が必要です。お薬を追加で使用する場合や、現在服用中のお薬がある場合は、必ず医師に相談するようにしましょう。
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急な服用中止は避ける
ジェイゾロフトを急に中止すると、離脱症状と呼ばれる不調が現れることがあります。具体的には、強い不安感やめまい、体のだるさなどが起こることがあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。そのため、お薬の減量や中止を検討する際は、必ず医師と相談し、段階的に進めることが大切です。
まとめ:ジェイゾロフトでの性格の変化に気づいたら
ジェイゾロフトの服用により、感情の変化や性格の変化を感じることがありますが、これは決して珍しいことではありません。脳内のセロトニン濃度が調整されることで感情の波が変化するのは、治療の一環とも言えます。しかし、日常生活に支障が出るほどの変化を感じた場合は、早期に医師へ相談することが重要です。
当院では、1人ひとりの症状に合わせた治療プランを提案し、副作用の管理や生活の改善に向けたサポートを行っています。
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安心して治療を続けるために、気になる症状があればぜひご相談ください。
参考文献:
- ジェイゾロフト(セルトラリン)|心療内科・精神科 – 品川メンタルクリニック
https://www.shinagawa-mental.com/column/medicine/jzoloft/
- ジェイゾロフトを適正にご使用いただくために – Viatris e Channel
https://www.viatris-e-channel.com/viatris-products/di/detail/assetfile/ZLT51F004H_%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%BE%E3%83%AD%E3%83%95%E3%83%88_%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%BE%E3%83%AD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%92%E9%81%A9%E6%AD%A3%E3%81%AB%E3%81%94%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%8F%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB.pdf
- ジェイゾロフト – 医薬品インタビューフォーム – Viatris e Channel https://www.viatris-e-channel.com/viatris-products/di/detail/assetfile/JZOLOFT_Tab_OD_Tab_IF.pdf
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会