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アルプラゾラムを服用すると太る?|原因とその対策を精神科専門医が解説

アルプラゾラムを服用すると太る?原因と対策を徹底解説 

はじめに

アルプラゾラム(商品名:ソラナックス、コンスタン)は、不安感やパニック症状の改善を目的として処方されるベンゾジアゼピン系の抗不安薬です。服用により精神的な落ち着きが得られる一方で、「体重が増えた」「以前より太りやすくなった」と感じる方も一定数いらっしゃいます。

当院にお越しになる患者様も、アルプラゾラムの使用後に体重の増加を訴えることがあります。なかには「食欲が増した」「動くのが面倒になった」など、生活習慣にも影響するケースもあります。

本ページでは、アルプラゾラムの服用が体重増加を招く理由と、その対処法について詳しく解説します。服用中の体重管理が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

ただし、誤解していただきたくないのはアルプラゾラム=太るということでは無いということです。

では、何故そのように感じてしまうのか解説していきましょう。

アルプラゾラムとは?

アルプラゾラムは、ベンゾジアゼピン系に分類される抗不安薬で、一般的には「ソラナックス」や「コンスタン」といった商品名で処方されることが多いです。以下のような症状の改善を目的として用いられます。

主な適応症状

不安障害:強い不安や緊張状態を和らげます

パニック障害:突然の強い不安発作を軽減します

うつ病の補助治療:抗うつ薬との併用により、治療効果を高めます

作用機序

アルプラゾラムは、脳内に存在する抑制性の神経伝達物質「GABA(ガンマアミノ酪酸)」の作用を高めることで、神経の過剰な興奮を抑える働きがあります。これにより、不安や緊張が軽減され、心身が落ち着いた状態を保てます。

GABAは、脳内の神経活動を抑制する働きを持つ物質です

アルプラゾラムはこのGABAの働きを促すことで効果を発揮します

結果として、過度な緊張や不安が和らぎ、気持ちが安定しやすくなります

服用方法

アルプラゾラムは、症状の程度に応じて通常1日1〜3回の頻度で処方されます。医師の指示を守り、決められた時間に忘れずに服用しましょう。自己判断で急に服用を止めると、不安感やふらつき、頭痛などの離脱症状が現れることがあるため、減薬する際は必ず医師の指導のもとで段階的に行いましょう。

以下では、アルプラゾラムの服用によって体重が増えやすくなるように感じる理由について、詳しくご説明します。

アルプラゾラムで太るように感じる原因

アルプラゾラムを使用している方の中には、「服用を始めてから体重が増えた」と感じる方が一定数います。

体重増加が見られる背景には複数の要因が関与していると考えられます。ここでは、そのように感じられる主な要因について詳しくご紹介します。

1. 食欲の増進

アルプラゾラムには不安を和らげる作用があるため、服用によって精神的な緊張がほぐれ、自然と食欲が増すことがあります。特にリラックスした状態になると、減退していた食欲が服用前の状態に戻ることがあります。

これが食欲の増加に感じられるのです。

ストレスが緩和することで、それまで抑えられていた食欲が改善し元のように食事が美味しく食べられるようになる。

体重が増えた、と感じる方はまず食欲の減退が服用前に無かったか思い出してみましょう。

2. 運動不足

不安が軽減され心が落ち着く一方で、過度にリラックスした状態になることで身体を動かす機会が減る場合があります。

ただ、これは体がリラックスして休養が上手に出来ている証拠でもあります。

薬を飲んでいる、飲んでいないに限らず、運動量が減れば体重増加に繋がります。

むしろ、リラックスして体が十分に休めているのならば薬が正しく効いていると思って安心して服用しましょう。

3. むくみ(浮腫)の発生

一部の方は水分の排出がうまくいかず、体内に余分な水分が溜まることがあります。こうした状態が続くと、顔や足などにむくみが生じやすくなり、実際の脂肪増加ではなくても体重が増えたように感じることがあります。

アルプラゾラムの太りやすさを防ぐ方法

アルプラゾラムの服用がきっかけで体重が増えるように感じることがありますが、生活習慣の見直しによって体重は管理できます。以下では、太りにくくするための具体的な対策をご紹介します。

1. 適度な運動の継続

体重増加の予防には、日常的に身体を動かすことが重要です。運動不足を解消するだけでも、体重管理に大きく役立ちます。

ウォーキングやストレッチ:軽めの有酸素運動は代謝を促し、脂肪の蓄積を抑えます

筋力トレーニング:基礎代謝が向上し、エネルギーの消費効率も高まります

日常のちょっとした工夫:エスカレーターの代わりに階段を使う、近距離の移動は徒歩にするなど、小さな積み重ねが効果を発揮します

2. 食生活の見直し

アルプラゾラムの影響で食欲が増している場合は、日々の食事内容を意識的に見直すことが重要です。

栄養バランスを意識した食事:野菜やタンパク質を積極的に取り入れ、高脂肪・高脂質な食品は控えめにしましょう

間食の工夫:空腹時にはナッツ類やヨーグルトなど、ヘルシーな選択を心がけましょう

遅い時間の食事を避ける:夕食は就寝の2時間前までに済ませましょう

3. 水分摂取とむくみ対策

アルプラゾラムの影響で、体内に水分が溜まりやすくなり、むくみを感じることがあります。適切な水分管理と食生活の工夫で、むくみの予防が可能です。

こまめな水分補給:少量ずつ頻繁に水分を摂りましょう

カリウムが豊富な食品の摂取:バナナ、アボカド、ほうれん草などカリウムが豊富な食材は、余分な塩分や水分の排出を助けます

塩分を控える:塩分の取りすぎは体内に水分を溜め込みやすくし、むくみを悪化させる原因となります

4. ストレス管理

ストレスは過食の大きな要因となるため、心のケアも体重管理には欠かせません。

リラクゼーションの習慣化:深呼吸、瞑想、ヨガなど、自律神経を整える方法を日常に取り入れましょう

趣味に打ち込む時間を作る:夢中になれる趣味は気分転換になるだけでなく、間食を防ぐのにも効果的です

これらの習慣を継続することで、アルプラゾラムを服用している期間でも無理なく健康的な体重管理を目指せます。

服用中に気をつけるポイント

アルプラゾラムを使用する際は、いくつかの点に注意することで、体重増加を含む副作用のリスクを抑えることができます。

1. 運転や危険な作業は控える

アルプラゾラムには強い鎮静作用があり、眠気や注意力の低下が生じることがあります。そのため、自動車の運転や高所での作業など、集中力を必要とする行動は控えましょう。万が一、強い眠気を感じた場合は、無理をせず早めに休息を取ることが重要です。

2. アルコールの摂取は避ける

アルプラゾラムの服用前後にお酒を飲むと、お薬の作用が強まり、副作用が現れやすくなる恐れがあります。特に、強い眠気やめまい、ふらつきといった症状が悪化する可能性があるため、服用期間中は飲酒を避けましょう。

3. 他の薬との相互作用に注意

ベンゾジアゼピン系であるアルプラゾラムは、他の薬剤と相互作用を起こしやすい特徴があります。特に、睡眠薬や抗不安薬、抗ヒスタミン薬と併用すると、強い眠気やふらつきが生じるリスクが高まります。他のお薬を併用する際は、必ず医師に相談しましょう。

4. 急な服用中止は避ける

アルプラゾラムを突然止めてしまうと、不安感や動悸、頭痛などの離脱症状が起こることがあります。安全に減薬するためには、自己判断を避け、必ず医師の指導のもとで段階的に進めましょう。

まとめ:アルプラゾラムで太ると誤解される原因と対策

アルプラゾラムは不安や緊張を和らげ、心を安定させる効果がある一方で、体重増加を感じる方もいます。主な原因は、食欲の増加、運動不足、むくみです。しかし、適度な運動、バランスの取れた食事、生活習慣の改善を行うことで、そのリスクは十分に軽減できます。

もし、体重増加が気になる場合は、当院にご相談ください。生活改善のアドバイスや、必要に応じたお薬の調整も行っています。

ただ、安心していただきたいのは服用することで体がリラックスし落ち着いて休養がとれているのであれば薬が正しく効いている証拠です。

自己中断はせず、経過をよく知る医師と体重増加について一緒に相談していきましょう。

 

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服用を続けることで、心の安定を保ちながら健康的な体重管理を目指しましょう。

 

参考文献:

アルプラゾラム(ソラナックス/コンスタン)の効果と副作用 – こころみクリニック
https://cocoromi-mental.jp/alprazolam/about-alprazolam/

医療用医薬品 : アルプラゾラム (アルプラゾラム錠0.4mg「サワイ」 他) – KEGG
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062984

アルプラゾラム製剤 – PINS
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065586.pdf

監修者:

新宿ペリカンこころクリニック

院長 佐々木 裕人

資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医

所属学会:日本精神神経学会