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【医師監修】リスカ、ODがやめられません・・・涙

前回のブログにおいて、境界性パーナリティ障害の根幹には見捨てられ不安があるということを記載致しました。そして、その見捨てられ不安から生じる様々なネガティブな感情の嵐を何とかしようとして、結果「問題行動」が生じます。

 

 

不安や怒りなどの感情の嵐がわき起こると、感情のままに行動したり、逃げようとして衝動的な行動を起こしたりします。周囲から見れば「問題行動」ですが、本人にとっては負の感情の嵐への対処法なのです。

 

 

まだ言語能力が発達していないときに受けた心の傷は、言葉にならないまま残っています。そのため、幼児期の恐怖体験(見捨てられ体験)に似た状況(拒否、否定、むりやりの分離)に陥ると、言葉にならずに行動となるのです。

 

 

これは無意識のレベルでおこなうので、本人はなぜそのようなことをするのか説明できません。また、周囲がやめるように説得しても効果はありません。衝動的な行動を引き出す心の問題が解決しない限り、問題行動がなくりません。

 

 

いわゆる「問題行動」と言われているものには、以下のようなものがあります。

 

 

★自分を傷つけるリストカットや、無謀な運転などの危険な行為。薬物を大量に飲んでしまうこと(オーバードーズ)もあります。

 

★暴力をふるう:身近な人に暴力を振るったり、ものを壊したりします。暴力の対象に最もなりやすいのは「母親」です。一番愛して欲しいがゆえに、思い通りにならないことに怒りがでやすいのです。

 

★乱費:衝動買いをしてしまいます。現金を持っていなくともカードでどんどん買うので、時として多額の借金を抱えることもあります。

 

★過食:ものを大量に食べます。その後、嘔吐したり、喉に指を入れて無理に吐いたりすることもあります。

 

★犯罪:万引き、脅迫行為などをすることもあります。

 

★薬物やアルコール依存:薬物を違法摂取したり、アルコールに依存したりします。

 

★セックス依存:行きずりの相手でも、性的関係を持ってしまうことがあります。

 

★対人依存:頼りになると感じた相手にしがみつきます。時にそれがストーカー行為になってしまうこともあります。相手を引きつけるために、死に至らないような自傷を繰り返したり、自殺のそぶりを見せたりします。

 

★対人操作:人を自分に引きつけておこうとします。同情や優しさを利用して「ほうっておけない」と思わせることを言います。周囲を味方につけるため、寝も葉もない噂を流すこともあります。

問題行動に隠されたメッセージ

このように感情の嵐から様々な問題行動を起こすことを専門的には「行動化」と言います。この「行動化」には様々なメッセージが隠れています(=隠喩)。例えば、リストカットをするときには「まだ自分は治っていないと周囲の人に知らせたい」「私をもっとみて欲しい」というような、周囲へのメッセージです。また、「自分が強いことを確かめたい」「悪い自分を外に出す」「自分を罰する」など、自分への思いもあります。

 

 

行動化は家族や恋人など、その人の前で起こす傾向があります。しかし、本人は行動化によって何かを訴えたいとは考えていません。隠されたメッセージには本人すら気がついていないからです。こうした隠喩を解き明かすためには、感情を言葉する(言語化する)ことが大切です。言語のルートに乗せることが重要なのです。本人が感情や行動を書いたり、周囲の人が本人の話を聞いたりすることが役立つでしょう。

このコラムを読まれまして、気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、どうぞ当院まで、
お気軽にお問い合わせください。

 

当院では、境界性パーソナリティ障害をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、
適応障害、ストレス関連疾病、睡眠障害(不眠症)、
パニック症、自律神経失調症、冷え症、摂食障害、
月経前症候群、強迫症、過敏性腸症候群、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:市橋秀夫監修パーソナリティ障害(講談社)