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【医師監修】後回しクセが治りません・・・【発達障害あるある】

毎日の家事や仕事などやらなければならないことが分かっているのに後回しにしてしまう…。これは定型発達の人(=通常発達の人)にもよく見られることですが、発達障害の特性を持つ人の場合、そうして後回しにしてしまうのには、明確な原因があるのです。

 

 

やるべきことを後回しにしてしまうのは、発達障害でも、自閉スペクトラム症(ASD)注意欠如・多動症(ADHD)の人に多く見られる傾向ですが、それぞれ原因が異なります

 

 

ASDの人の場合、複数の事柄に対して優先順位をつけることが苦手なため、どこから手をつけたら良いかが分からず、スタート地点で立ち止まってしまうのです。一方、ADHDの人は優先順位を決めて作業を進めることには問題はないのですが、他にもやるべきことが舞い込んでくると目移りしてしまい、本来の優先順位を見失いやすいのです。

 

 

どちらも本人にやる気がないわけではないのですが、結果的に時間に遅れたり、納期を守れなかったりすることが多く、度々周囲に怒られたり、迷惑をかけることに悩んでしまったりする人もいます。

 

 

それぞれのケースの対応策ですが、ASDの方の場合は、作業する順番や1日のタイムスケジュールを明示してあげることで対処が可能です。複数の“やるべきこと”に対して、優先順位をつけるのが苦手なので、作業する順番や納期を分かりやすく指示してあげると、それだけで問題が解決する場合もあります。口頭での指示は、後で確認ができるようにメモに残しておくようにするのも良いでしょう。

 

 

ADHDの人の場合は、静かで集中しやすい環境を用意してあげると改善する場合があります。ADHDの人は、作業中に他の仕事が舞い込んだり、電話や来客で一度気が散ってしまうと、そちらに意識が移ってしまいます。パーテーションの設置や作業ブースの活用といったように、集中して仕事ができる環境作りを考えましょう。なお、仕事場のデスク上には、必要最低限のもののみを置くように、使ったら片づけることを心掛けることも大切です。

 

 

「障害だから…」と簡単に諦めてしまうのではなく、ご自身の特性を理解して、原因と対処法をきちんと知っておく方が大切なことなのです。

物事に優先順位がつけられない【ASD】

「約束をすっぽかす」「期日を守れない」という傾向は「自閉スペクトラム症(ASD)」の人によく見られる傾向です。これは「すべての物事を同じ重さに感じてしまう」という脳の特性の影響で、物事に優先順位をつけられないことが原因と考えられます。

 

 

そのため、やるべきことが幾つか重なった場合、どれが優先すべきものかが分からなくなってしまいます。その結果、約束よりも他のことを優先したり、優先順位の高い大事な仕事を後回しにしたりして、約束や期限を守れないのです。

 

 

また「アンケートの集計」といったような何かをまとめる仕事では、情報の取捨選択が出来ず、要点をまとめるという作業が苦手なため、すべてを完璧に網羅しようと丁寧に取り組みすぎて期日に間に合わないというケースもあります。また、内容そのものではなく、書類の体裁、文字の大きさ等が気になってしまい、そちらを調整することに時間を掛けてしまうことも少なくありません。

 

 

そこで自閉スペクトラム症の人に対しては、「いつまでに・何を・どうしなければならないのか」を常に確認できる環境を整えてあげると良いでしょう。優先順位を分かりやすく伝え、スケジュールのアプリのリマインド機能に登録してもらい、得意大事なことはメモを渡すようにします。こうすることで、優先順位が分からなくなったら、確認してもらうことができるようになります。期日が近付いたら、実際にひと声かけてスケジュールを再確認しておくというのも有効な方法でしょう。

 

 

当院(新宿ペリカンこころクリニック)では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。

 

ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ADHDやASDの可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:湯汲英史監修心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話(日本文芸社)