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【心療内科Q/A】「適応障害を防ぐ工夫①~『心理ゲーム』に陥らないこと~」

A.

医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

職場のストレスの高順位として挙げられる項目として、仕事の質・量」と「職場の対人関係(セクハラ・パワハラ含む)」の2つは必ず挙がっています。ただ「仕事の質・量」は、職場の構造的な問題として表面化しやすく、また比較的対処もしやすいものである一方、職場の対人関係」は、感情が絡んでくることが多く、解決が遅れたり、そのままなし崩し的な対処で終わってしまったりすることが多い傾向にあります

 

 

実際、患者様の口にされるストレス原因として、圧倒的に多いのが「職場の対人関係」です。中でも頻度が高いのが、「上司との関係」です。何故、「上司」が問題(悩み)になることが多いかと言うと、「権力」を持っているからです。また他にも、上司自身が非常に多忙であることのほか、中には、部下へのラインケア(マネジメント)を自身の大切な職務の一つであるという認識がない方も存在する、という事実もあります。

 

 

上司の権力(裁量権)は、正当に行使されるのであれば、「部下指導・部下教育」の域を出ることはありません。しかし、部下に対して、個人的な好き嫌い、支配欲、自己保存欲求…等といったバイアス(偏向・偏見)が掛かると、それは「ハラスメント」になります。そして、部下は、基本的に上司に従う義務を背負わされていますので、中々これに抵抗できません。

 

 

結果、同じハラスメントが日々繰り返されることになります。それはあたかも、上司と部下それぞれが「圧迫する人―圧迫される人」といった配役を振られて、演じ続けている「劇」のようにも見えます。この繰り返される対人パターンのことを、心理学用語では心理ゲームと呼ぶのです。

 

 

この「心理ゲーム」は、職場の上司-部下関係に限らず、友人同士、家族内、恋人同士など、あらゆる人間関係において生じ得ますが、特に明白なヒエラルキーの存在する職場においては、より出現しやすい傾向があります。

 

 

いったん「心理ゲーム」が始まると、それは容易には終わりません。努力して止めようとしない限り続きます。何故なら、上司は、部下を圧迫すればするほど自身の優位性に「快」を求めるようになり、部下は、その立場の弱さ、気弱な性格、相談できる相手がいない…等といった要因が重なってしまうと、それを甘んじて引き受けてしまうからです。

 

 

もしも、あなたが職場で日々同じストレスに苦しめられているとしたら、この「心理ゲーム」に陥ってはいないか、よくよく考えてみる必要があります。そして、「陥っている」と感じたならば、ゲームを終わらせるべく、昨日までとは違う行動パターンを取ってみて下さい

 

 

例えば、あなたが上司の心ない言葉の暴力に悩まされているとします。あなたは辛いけれども、自身のスキルの低さ等、何かしらの“負い目”を感じており、言い返せないでいたとします。こういった時、上司はあなたが反撃してこないのを良いことに、あなたには関係のないストレス発散も含めて、酷い言葉を投げ掛け続けている可能性すらあります。

 

 

このような時、あなたはこの不当な状況を打破すべく、ひとまず反撃を試みるべきです。ここで言う「反撃」とは、直接言い返すということだけでなく、人事部や総務部、産業保健スタッフに相談をしてみる、といったことも含みます。反撃をすることで、昨日までの「定型的なパターン(固定化してしまったパターン)」を一旦崩し、別の方向に物事を向かわせるのです。

 

 

また、意外に思われるかもしれませんが、ハラスメントをする上司ほど、反撃に遭うと防衛本能から攻撃の手を緩める傾向にあります。決して、根っからの強い人ではないのです。外部機関としては、厚生労働省内の労働局(東京労働局のハラスメントページコチラ)や、法テラスの無料電話相談(※受けられる回数や年間所得による制限があります)などを、ご利用されてみられるのも良いかもしれません。

 

 

 

このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、

気になる点がありました方や、興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、適応障害をはじめ、

うつ病、躁うつ病(双極性障害)、自律神経失調症、

睡眠障害(不眠症)、ストレス関連障害、統合失調症、

パニック症、強迫症、不安症、摂食障害(過食症)、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)、

月経前症候群(PMS)、過敏性腸症候群(IBS)、心身症など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っておりますカウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。