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【医師監修】頭の中がごちゃごちゃして困っています…

頭の中が常にごちゃごちゃされている人は、「あれ、あったかな?」とか「これってどうだったかな……」「あれとこれがそれでどうなんだっけ?!」という具合が昼夜問わず続いています。

 

 

複雑化した現代は、1つのことだけやって生きていけるような時代ではなくなっています。あちらにもこちらにもアンテナを立てて、気を配らないと物事を勧めることが出来ません。

 

 

それに加えて、ADHD(注意欠如多動症の人が増えてきています。ADHDの人の頭の中は「多動なので、次々と色々なことが気に掛かり、頭の中で複数のことが同時進行してしまい、混乱して不安になりがちです。現代人は単純作業ではなく複雑な仕事をしていたり、情報や選択肢が多過ぎることもあり、多くの人が軽いADHD傾向になっているとも言われています。

 

 

頭の中の整理整頓の方法として、デビッド・アレン氏が開発したGTD(Getting Things Done)というものがあります。直訳すると「仕事を成し遂げる」という意味になりますが、具体的には効率よく物事を成し遂げることが出来る手法のことです。この手法を取り入れた人の多くが、頭の中のごちゃごちゃが、3分の1から4分の1くらいに減ったと言います。

 

 

以下は、GTDを参考に日本人向けに作成された、頭の中のごちゃつきを解消するプログラムです。実際に一緒にやってみましょう。

【第1ステップ】気になっていることを全部書き出す

 

最初は「収集」をします。これはどういうことかというと、気になっていることを全部1か所に集めることを指します。

 

大抵の場合、人は頭の中に複数のタスクが混在しています。例えば仕事の場合…

 

「今すぐアクションに移さなければならない仕事」
「あとで取り組もうとしている仕事」
「他部署との調整が必要で、今すぐには取り掛かれない仕事」
「何かのついでに処理しようとしている仕事」…などです。

 

 

これらが混然一体となって、「どうしていいか分からない!」という状況を作り出しています。どうしていいか分からないから、気になって頭から追い払うこともできずに悶々としてしまうわけです。

 

 

そこでまずは、頭の中にあるものを全部出してしまいます。ここで活用するのが「トリガーリスト」です。トリガーとは「物事が動く引き金となった事柄=きっかけ」を意味する言葉です。トリガーリストに従って、頭の中にあることをどんどん出していきます。

 

 

頭の中には、色々な「気がかり」が詰まっています。例えば、「返事をしていないメール」「処理しなくてはいけない書類」「使っていないクレジットカードの退会届を出すこと」……等々。重要なことから軽微なことまで、頭の中にこんがらがって存在しているものを、全部可視化しようというわけです。

 

 

以下のトリガーリストに従って、書き出してみて下さい。これは手書きである必要はありません。自分に関連のありそうなものだけを選んで回答して下さい。また、このリストから導かれたこと以外でも、気になることがあれば、どんどん書いていきましょう。では早速、始めてみましょう。

 

【トリガーリスト:プライベート編】

  • 自分が利用しているサービスのうち、不要で解約したいものはありませんか?
  • お直しや修理、粗大ゴミ出しなどで、やり残していることはないですか?
  • お金や物で借りっぱなし、貸しっぱなしになっているものはないですか?
  • 約束しれ実行できていないことはありませんか?
  • 行きたい場所、会いたい人、やってみたいことなどはないですか?
  • 先延ばししている手続きやメンテナンス、お墓参りなどはないですか?
  • 家の部屋を隅々まで思い出して下さい。改善したいことはありませんか?
  • 寝具や服は季節に最適ですか? 書い足しや交換、洗濯などはしなくて大丈夫ですか?
  • 自分の貯金や資産運用などで、改善することはありませんか?
  • お礼を言いたい人、謝りたい人などはいませんか?
  • 保存食・アイテムのメンテナンスで、気になることはありませんか?
  • 冷蔵庫の中身で気になるものはありませんか?
  • 買いたいもの、手入れしたいことはありませんか?
  • 部屋の模様替えやDIYなどで、したいことはありませんか?
  • 家族や友人に対して、してあげたいことはありませんか?
    普段使っているもので、不要、買い替え、手入れしたいものはありませんか?
  • 健康面で先送りしている検査はありませんか?
  • 積ん読になっている本や、録画したけれど観ていない番組は溜まっていませんか?
  • 家の外の壁、庭、倉庫、車などで改善したいことはありませんか?
  • 始めたい趣味などがありませんか?

【トリガーリスト:仕事編】

  • まだ手を付けられていない仕事はありますか?
  • 仕事のアイテム(カバンや手帳)で改善したいものはありませんか?
  • ガジェット(スマホなどの便利アイテム)で改善したいものはありませんか?
  • 机の上や下、引き出しの中で改善したいことはありませんか?
  • 整理されていない名刺はありませんか?
  • 身につけたいスキルや学びたいことはありませんか?
  • 人に頼んで放置している仕事はありませんか?
  • 人に頼まれて放置している仕事はありませんか?
  • 塩漬けになっているプロジェクトはありませんか?
  • デスクトップやホーム画面で、改善したいことはありませんか?
  • 未処理のメールやチャットは溜まっていませんか?
  • 調査しなくてはいけないことはありませんか?
  • 頼みたいけれども頼めていない仕事はありませんか?
  • オフィスの環境で改善したいことはありませんか?
  • 待遇や給与などで改善したいことはありませんか?
  • 仕事の進め方やルールで改善したいことはありませんか?
  • 見積りや請求、支払いなどで、出来ていないことはありませんか?
  • 責任者不在の仕事はありませんか?
  • 仕事関係で会いたい人や、行きたいイベント、セミナーはありませんか?
  • 仕事の効率化で改善したいことはありませんか?

【第2ステップ】書き出したことを仕分けする

第1ステップであなたの頭の中から気になっていることが引き出されました。次は、これを「すぐにアクションを起こすべきこと」「すぐにする必要はないけれども、いずれすること」、さらには「する必要のないもの」に分けていきましょう。

 

 

仕分けしてみると、気になっていたけれども、実は行動する必要のないものや、冷静に考えてみたら「もうこれは終わっている」というものも混じっていることが多く、自分にとっての重要度がハッキリします。

 

 

また、行動が必要なものの中には、単発で終わるものと複数回にわたるものがあることでしょう。それを、「タスク(単発で終わる)」「プロジェクト(複数回にわたる)」に分けるようにします。

 

 

さらにタスクの中で、5分以内に完了するものはなるべく早く、例えば「明日の午後は空いているので、そこで集中的に済ませる」など、まとめて終わらせるようスケジューリングしてしまいます。Amazonで何かを購入するとか、支払いを済ませるといったことなどです。

 

 

細々したことを全部済まそうとすると何時間もかかることがありますが、頭の中で「ああ、あれをやっていなかったな。いつやろうかな。明日は忙しいから無理だし……」などち考え込む位なら、一気にやってしまった方が精神的には楽になります。

 

 

また、タスクの中には、自分でなくても出来ることが混じっている場合もあります。そんな時は、自分でやうことにこだわらず、人に頼んでしまいます。プロジェクトや「後回しにできるもの」は、いつ何をするか、その場でカレンダーに書き込み、リスト化していきます。

 

あとは、それに従って進めていけばOKです。きちんとやるべきことが終わるような仕組みが出来上がります。

定期的にチェックを行い、自分のメンテナンスをする

頭の片づけは、部屋の片づけと同じです。ごちゃついた部屋の中では、探し物一つするのも大変です。必要なものと不用品の選別もできない状態になっています。新たに買ってきたものをどこにしまうか、考えただけでもげんなりしてしまうことでしょう。

 

 

それと同じで、頭の中にあることが、収まるべき引き出しに収まっていれば、いつでも取り出すことが出来ますし、必要がないと思えば中身を空にすることもできます。

 

 

この作業は取り掛かるのにちょっと労力が必要ですが、一度やってみられると、物事が整理されていくことの快さが実感できます。頭の中を「見える化」して、一つひとつ片づけていくのは、とても気持ちのよいものです。何よりも、頭のごちゃごちゃ感がなくなり、「あれもやらなきゃ!」とパニックに陥ることがなくなります。

 

 

なお、行うペースつぃては、週1回が理想とされていますが、月1回でもかなりの改善効果が出る方がほとんどです。ご自分の無理のないペースで取り組まれてみて下さい。

このコラムを読まれまして、気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、どうぞ当院まで、
お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、睡眠障害(不眠症)をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)
不安症、うつ病、躁うつ病、適応障害、
自律神経失調症、パニック症、摂食障害(過食症)、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫症、
過敏性腸症候群、更年期障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:角谷リョウ著超熟睡トレーニング(学研)