自己肯定感とは、自分を認めてあげる感情のことです。「私は、ありのままの自分で十分素敵だ」「私は頑張っている!」「自分が好き!」というように自分に対して肯定的な感情を持っていれば、相手からの評価をおそれずに、自分の主張を伝えることができるし、仮に相手からの評価が下がっても、自己嫌悪に陥ることはありません。反対に、自分のことを褒めてくれる人に対して過度に心酔したり、依存したりすることもなくなります。平たく言うと、自己肯定感が高まればメンタルが強くなるのです。
褒め日記をつけてみましょう
人はどうしてもできなかったことやダメだったことに意識が向きがちです。「今日も課題に手をつけられなかった」「プレゼンが噛み噛みだった」「また無駄遣いしちゃった」…等という具合に、意識しないと次から次へと反省をすることばかりが頭を占めてしまいます。
自分の出来たことや良かったことに注目し、自己肯定感を上げるためには「褒め日記」をつけることが推奨されています。
褒め日記には、今日出来たこと、良かったことを数個、簡単に書き留めます。例えば、「今日は朝スッキリ目覚めた!」「遅刻せずに会社に着いた!」「何気なく見たテレビ番組がすごく面白かった!」等、内容は些細なことで構いません。
紙に書き出すことで、脳にポジティブな気持ちが定着しやすくなりますし、記録に残すことで後から見返した時に自信になります。褒め用の日記帳を用意されても良いですが、普段使われている手帳のスペースや、タスクメモに褒め日記用のスペースを作る方が、却って気軽に取り組みやすいと言われる人も少なくありません。自分が気が付いた時にスッと書けるより良い方法を選びましょう。
語尾を変えてみましょう
ポジティブ思考が苦手な人は、語尾を「できない」から「やらない」に変えてみましょう。「今日も宿題ができなかった」「私にはこんなことできない」といったように語尾に「できない」がつくと自己肯定感は下がってしまいます。ですので「今日も宿題をやらなかった」「私はこんなことやらない」というように、語尾を変えるだけで、不思議とちょっと気持ちが上向きますので、ぜひ試してみて下さい。
「できない」とう言葉では、どうしても自分の能力不足や至らなさに意識のスポットが当たってしまいます。一方、「やらない」という言葉には、「やらない判断を自分でできた」という意味が含まれています。ちょっとしたことですが、心の持ち様がぐっと変わるのでお勧めです。
自己肯定感の低さから過剰適応に?!
「過剰適応」とは、周囲に同調するために自分の意見や行動を無理に合わせることを指します。周囲の評価が気になり、「嫌われたくない」「評価されたい」といった気持ちから、自分の気持ちを押し殺して相手に合わせてしまいます。
過去に人間関係において上手くいかなかった経験があればなおさら、その傾向が顕著になり、その結果、自己肯定感が低くなり、「私がダメなんだから、もっと頑張らないと」「自分の気持ちは隠さないといけない」という感じに、自己否定から過剰適応に繋がってしまうのです。
過剰適応が続けば、人は誰でも疲れてしまいます。そして、突然職場を退職したり、周囲と連絡を取らなくなったりするなど、途端に回避的な行動に出る人もいれば、「今までずっと我慢してきたんです!」と急に感情を周囲に向けて爆発させてしまう人もいますので、徐々に過剰適応を緩和していくことが必要になってくるのです。
当院では、適応障害をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
うつ病、不眠症(睡眠障害)、躁うつ病、不安症、
自律神経失調症、パニック症、摂食障害(過食症)
月経前症候群(PMS)、統合失調症、強迫症、
過敏性腸症候群、ストレス関連障害、心身症など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)
監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)
参考引用文献:沢口千夏著『ちょっとしたことでうまくいく発達障害の女性が上手に生きるための本』