コラム
News

【医師監修】発達障害とスマホ・ゲーム依存の関係性とは?

スマホは、SNSもゲームも調べものも動画視聴も、やりたい時にすぐにできる非常に便利な道具です。2022年の総務省の調査結果によると、日本における個人のスマホの保有率は77.3%、世帯での保有率は90.1%と年々堅調に伸びています。ネット利用の手段としても、スマホが前年の調査よりも数字を伸ばし、71.2%で1位となっています。これは、減少傾向にある2位のパソコン(48.5%)を大きく上回る結果です。

 

 

このように、スマホは私たちの日常の一部となっているため、その分依存かどうかの区別もつきづらいのは事実です。その境目は社会生活に支障を来しているかどうかが目安になります。

 

 

勉強や仕事、家事まどをきちんとこなしながら、極端に言ってしまうと休日は朝から晩まで長時間スマホでゲームをしていたとしても、依存症である可能性は低いでしょう。一方、授業中もこっそりとスマホでSNSを見ずにいられなかったり、食事や睡眠の時間を削ってスマホゲームをやり続けたり、正常な社会生活を送るための活動がスマホによって疎かになると、依存症と診断される可能性が高くなります。

 

 

ゲーム依存症も同様です。特にゲーム障害(Gaming Disorder)の定義によると、ゲームによって個人や家庭などに重大な支障が出ている」などの状態が12か月以上続いている場合、ゲーム障害と診断される可能性が高くなります。

 

 

そして、専門家によると、ASDやADHDの人は、これらの依存症になるリスクが高いと言われています。ASDの人が持つ、興味をもつことをずっとやり続けるという特性、そしてADHDの人が持つ衝動性などが、すぐに手に取れ、飽きない仕組みを持たせたスマホやゲームにのめり込みやすい傾向に繋がっていると考えられているからです。特にストレス解消の手段として、スマホやゲームに没頭する傾向を持つ方は、依存症により気をつけなくてはならないでしょう。

 

 

自分、あるいは家族が依存になりかけている時に注意して頂きたいのが、物事のプライオリティ(優先度)」が変化していないか、ということです。例えば、家族や友人と過ごすことよりも、スマホでゲームやSNSをすることを優先させるようになられたり、やるべき勉強や仕事、さらには食事や睡眠の時間まで削ってスマホを使い始めたりされるようになったら、依存になっている可能性があります。

 

 

ご自分で思い当たる状況があったり、ご家族に異変を感じられたりされた場合は、早めに医療機関や相談機関に繋げてみることをお勧めさせて頂きます。

 

 

 

当院(新宿ペリカンこころクリニック)では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。

 

ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ASDやADHDの可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)

参考引用文献:Newton別冊精神科医が語る発達障害のすべて 改訂第2