いよいよ関東地方も梅雨に入り、雨ダルさん(気象病・天気痛でお悩みの人)には辛い時期の到来です。頭が痛い、めまいがする、耳鳴りがし始める…等々、辛い雨ダル症状を乗り切るために、自分で出来るちょっとした工夫を今回はご紹介しようと思います。少しの工夫で、かなり症状が楽になる方もいますので、ぜひ試してみて下さい。
セルフ対策➊「くるくる耳マッサージ」
耳を引っぱったり回したりするだけの、超簡単な耳のマッサージです。内耳の血流をアップして、最も多い雨ダル症状「頭痛・めまい・耳鳴り」を予防しましょう。
セルフ対策➋「急な痛みに“耳温熱”を!」
ホットタオルなどで耳を温める方法です。「急な雨!けれど対策を何もしていない…」という時に覚えておくと便利な緊急対処法です。頭痛で寝込んでいても、お布団の上で寝ながら行うこともできる、手軽なセルフケア方です。
セルフ対策❸「耳後ろのツボ刺激」
雨ダルさんは、気圧変化による自律神経の乱れが最大原因です。耳の後ろには、自律神経を正すのに役立つツボが幾つかあるので、ぜひそのツボを今日から刺激していきましょう。身体が元気になります。
セルフ対策❹「手首のツボを“米粒刺激”」
手首の内側にある「内関(ないかん)」というツボは平衡感覚を正す効果があるとされ、めまいや吐き気で悩む人にお勧めです。米粒を絆創膏で留めれば、いつでもセルフケアができます。
セルフ対策❺「雨ダルさんタオル体操」
雨ダルさんには頭痛に加えて、首・肩のこりを訴える人が大勢います。それを防ぐには、普段から首・肩の血行を良くしておき、気圧変化の影響を受けにくくしておきましょう。「雨ダルさんタオル体操」なら、首肩の血流アップが簡単にできるのでお勧めです。日課にされることで、雨ダル上昇が軽減される人も大勢います。
「くるくる耳マッサージ」とは?
くるくる耳マッサージは、内耳の血行をよくすることで、雨ダル症状を防ぎます。行うタイミングとしてお勧めなのは、以下の通りです。
✓体調の変化を感じ取った時
✓予兆がなくても、近々雨が降る(気圧が下がる)ことが分かった時
✓時間を決めて行うなど、普段から日課にする
✓血行が良くなっているお風呂上りに行うのがベストです。日課にすることで、自律神経の乱れが起こりにくくなる可能性も!(※お風呂上りに血行がよくなり、めまいが起こる人もいます。その場合は、違う時間帯にマッサージを行いましょう)
くるくる耳マッサージを行う際の“注意点”がありますので、以下に列挙させて頂きます。
✓耳を引っ張りすぎない…負荷をかけすぎることは基本的に逆効果です。気持ちいいと感じる程度に力加減で行いましょう。
✓痛みを感じたら中止する…耳に違和感や強い痛みを感じる場合は、耳に異常がある可能性があります。痛みが引かない時は医療機関で相談しましょう。
✓手や耳はなるべく清潔な状況で…爪が伸びていたり汚れていたりすると、耳の中に最近が入って感染症を招く可能性があります。
✓耳が硬い=身体が弱っている…東洋医学では、耳が硬い=身体が弱っているサインです。健康状態の確認にもなりますので、1日1回の耳マッサージをお勧めします。
★くるくる耳マッサージのやり方★
①耳の上部をつまみ、上に引っ張る:両手で耳の上部を軽くつまみ、5秒間かけて耳を上に伸ばすような感覚で、ゆっくりと上に引っ張ります。
②耳の真ん中をつまみ、身体の外側に引っ張る:両手で耳の真ん中を軽くつまみ、5秒間かけて耳を身体の外側に伸ばすように、ゆっくりと行います。
③耳の下部をつまみ、下に引っ張る:両手で耳の下部を軽くつまみ、5秒間かけて耳を下に伸ばすような感覚で、ゆっくりと下に引っ張ります。
④耳を外側に引っ張りながら後ろに回す:両耳の真ん中部分を軽くつまみ、身体の外側に耳を引っ張った後、身体の前から後ろに向かって5回アーチを描くように回します。ここで、ゆっくり回すのがポイントです。
⑤耳をたたむように閉じる:両耳の後ろを指で覆い、ゆっくりと耳をたたむようにふさぎ、5秒間キープします。この時、あまり力を加えずやさしく包み込むように行うのがコツです。
⑥手のひらで両耳を覆い後ろに回す:手のひらを開いた状態で、両耳にゆっくりと添えます。円を描くようなイメージで、前から後ろへゆっくりと5回耳を回します。
この機会に、くるくる耳マッサージに加えて、習慣も見直してみましょう。例としては、規則正しい食事をする(食事量で言えば、朝食はしっかり食べて、夕食は減らす)、ストレッチなどの軽いエクササイズを日頃から行う、ストレスをため過ぎず、夜はしっかりと眠る……等々です。これらは、自律神経の乱れを防ぐために大切な心掛けとなります。
耳の血行をよくする“耳温熱”
くるくる耳マッサージは、いかがでしたか? 耳がポカポカと温まってきませんか? くるくる耳マッサージは天気痛(気象病)にとてもよく効くセルフケアですが、さらに血行をよくする効力アップ法があります。それが、耳をシンプルに温めるだけの「耳温熱」です。
やり方は2通りあり、1つはぬれタオルで温める方法です。ハンドタオルなどの小さめのタオルを濡らして軽く絞り、耐熱性のポリ袋に入れて電子レンジで1分間加熱します。温まったタオルを片側ずつ耳に当て、耳と耳の周りを温めて下さい。
もう一つはペットボトルを使う方法です。ホットドリンク専用のペットボトルに100mlの水と200mlの熱湯を順番に入れた後、上下に振って水と熱湯を混ぜて両耳に当てるだけです。ポイントは、「完骨(かんこつ)」という耳の後ろにあるツボに必ず当てることです。耳の後ろにある骨の突起(乳様突起)の指1本分下にこのツボ(完骨)があります。完骨は、首から頭の血行を良くするツボで、頭痛やめまいの改善に役立つとされており、寒い季節、耳が冷えている時などにもお勧めです。くるくる耳マッサージと併せて実践して下さい。
この「くるくる耳マッサージ」と「耳温熱」は併せて行うと、効力アップに繋がります。内耳の血行が良くなり、自律神経の乱れを整えるのにも役立ちます。頭痛はつい鎮痛剤など薬に頼りがちですが、これらの方法を続けていれば薬を飲む量を減らせる可能性もあります。薬が減れば、副作用の心配も少なくなるので、妊婦さんや持病を抱える方にもお勧めです。
繰り返しになりますが、行うタイミングはご自身で予兆を感じた時、もしくは天気が崩れる前が基本です。何故なら痛みというものは既に出始めてしまうと中々治まらないものだからです。よって、早め早めの対策がベストです。とはいえ、皆様の中には予兆の段階で気づかずに、くるくる耳マッサージをやり忘れていた…という人もいることでしょう。
既に痛みが出ていたら薬を飲み、緊急対処法として耳温熱を実践して下さい。具合が悪い時は、耳を温めるとめまいや吐き気が引くこともあります。
人によって異なりますが、くるくる耳マッサージと、耳温熱は、日課として2週間~1ヶ月続けると、めまいや耳鳴り、頭痛などが軽減します。中には、「マッサージをやったらすぐに耳鳴りが消えた!」と喜ばれる方もいらっしゃいます。
このコラムを読まれまして、気になる点がありました方や、
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心身両面からの治療とサポートを行っております。
なお、気象病の漢方薬による治療をご希望の患者様は、診察時に医師の方にぜひご相談下さい。当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することも可能です。
Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)
参考引用文献:佐藤純著『「雨ダルさん」の本』