前回は、雨ダルさん(気象病・天気痛でお悩みの人)の自分でできる対策(セルフケア)として、「くるくる耳マッサージ」・「耳温熱」について記載させて頂きました。今回は、雨ダルさんに効く「ツボ」を一気にご紹介していきます。
皆様は「ツボ」についてどのくらいご存知でしょうか? ツボは東洋医学で「経穴(けいけつ)」と呼ばれ、「血(けつ)」や「気(き)」などが滞るポイントとされます。そのポイントを押したり温めたりすることで、血や気の循環を良くして症状を緩和させようというのがツボ刺激です。ここでは、雨ダルさんにぜひ知っておいて頂きたい、耳の後ろのツボ刺激を紹介します。自律神経の乱れを整えるのに役立ち、雨ダル症状の再発予防に活用できます。
耳にはものすごい数のツボがあり、くるくる耳マッサージや耳温熱でも相当な数のツボを刺激出来ているのですが、それに加えてぜひ雨ダルさんに知っておいて頂きたいツボが耳の後ろにあります。それが、「頭竅陰(あたまきょういん)」「完骨(かんこつ)」「翳風(えいふう)」の3つです。
乳様突起という出っ張った骨の近くにあり、乳様突起の上のくぼみ辺りにあるのは「頭竅陰」、乳様突起の指幅1本分下にあるのが「完骨」、耳たぶの付け根あたりのくぼみにあるのが「翳風」になります。
この3つは、自律神経の乱れからくる頭痛やめまいなどに効くツボで、雨ダル症状の改善にとても役立ちます。突然、痛みに襲われるような緊急時、またはくるくる耳マッサージや耳温熱があまり効かない時などに、このツボ刺激を試してみて下さい。
やり方は、左右の人差し指で軽く押すのが最もてふぁるです。いつでもどこでも簡単にできるので、デスクワークや家事の合間に、普段から刺激するとよいでしょう。ツボを押す場合は、適度に力を入れて5~6秒押しましょう。但し、ツボを押したことによって、血行が急激によくなり、症状や痛みが酷くなる場合もあります。体調が悪化した場合は、直ちにツボ押しは止めて安静にしましょう。
また、耳温熱のように温める刺激もお勧めです。オレンジ色のふたのホット専用のペットボトル容器に100mlの水と、200mlの熱湯を入れ、ツボに当てます。「熱い」と感じるまで数秒当て、一度離します。このツボ刺激を3~4回繰り返すとよいでしょう。
手首のツボを“米粒刺激”
自律神経を整えるツボは耳の後ろ以外にもあります。一つは手首にある「内関(ないかん)」というツボです。手首の内側にあり、手のひらと手首の境目にあるシワから指幅3本分ひじの方へ進んだ辺りに位置します。押してみてズーンと響くような感覚があれば、そこが内関のツボです。内関は乗り物酔いや二日酔いにも効くツボとして有名で、平衡感覚を正常に戻す効果があるとされます。めまいなどの雨ダル症状がある人は、予兆を感じたら内関を刺激して下さい。
内関は両手首にありますが、押したときに、より痛かったり重だるく感じたりする側をメインに刺激して下さい。指で押しても構いませんが、ツボの上に米粒を一つ載せてばんそうこうで留めるとよいでしょう。ばんそうこうの上からツボを指で押して、ピンポイントで刺激すると効果的です。
もう一つは、足の第2趾(人差し指)にある「厲兌(れいだ)」です。胃腸の働きを整え、全身の水の巡りをよくしてむくみを改善するツボとして知られています。胃腸が弱っている人や、むくみがある人は押すと痛みを感じるツボですので、始めはやさしく押しましょう。仕事中などが、もう一方の足の爪先で強めに踏んでみるのも良い方法です。
雨ダル症状の対策に役立つツボはまだまだあります。ここでは、症状別のツボ刺激をご紹介します。まず手のひら中央あたりにあるのが、自律神経を整えるのに役立つ「労宮(ろうきゅう)」です。さらに小指の付け根あたりにあるのが、肩こりや首凝りに効く「後渓(こうけい)」で、中指の第1関節にあるのがイライラ解消に効くとされる「心穴(しんけつ)」になります。
手の甲側にもツボがあります。人さし指の爪のきわにあるのが背中や肩こりに効く「商陽(しょうよう)」、人さし指と親指の骨が接する部分にあるのが腰痛に効くとされう「合谷(ごうこく)」、小指の爪の付け根にある「少沢(しょうたく)」は、首凝り予防にお勧めです。
自律神経を整える手足のツボ刺激法
ツボは指で手軽に刺激できますが、ちょっとしたコツがあります。ツボ押し効果もアップするので覚えておきましょう。
➊ 1つのツボを1回5~6秒間、3~5回押す:指の腹を使ってゆっくり押し、ゆっくり力を抜きます。これを1つのツボに3~5回繰り返します。
➋ 息を吐きながら押し、吸いながら抜く:お腹からゆっくりと息を吐きながら押し、力を抜く時は逆に息を吸うようにします。
❸ 押してズーンと痛むところを探す:ツボを押すときのポイントは、押すとズーンと響くような痛みがあるかどうかです。少しずつずらしながら押して探していきましょう。
❹ 右側に不調があるときは右手、左側に不調がある時は左手:右手は身体の右側、左手は身体の左側と連動しています。例えば、右側が凝っている時には右手のツボを押すようにします。
❺ 強く押し過ぎない:押した時に強い痛みがあるのは不調のサインです。強く押すと身体が緊張するので、最初は優しく押し、ゆっくり痛みをほぐしてあげましょう。
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なお、気象病の漢方薬による治療をご希望の患者様は、診察時に医師の方にぜひご相談下さい。当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することも可能です。
Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)
参考引用文献:佐藤純著『「雨ダルさん」の本』