「心配なことは完璧に解消しなくてはダメだ」「悪いことが起こらないよう絶対に手を抜いてはいけない」等々。そういった考えが頭を占め、延々と同じ行為を繰り返したり、同じことを考え続けたり…。こんな状況が度々起こるなら、「強迫症」という病気かもしれません。
強迫症は、しつこく浮かぶ無茶で理屈に合わない、行き過ぎた考えやイメージ、または衝動に、頭の中や行動が支配されてしまう病気です。例えば、「病気になると怖いから、完璧に手を洗わなくては」という考えに支配されて、何十分も手を洗い続けたり、「靴がきちんと揃っていないと気持ち悪い」「まだまだだ」という衝動に突き動かされて、何時間も靴を揃え続けたり…。頭の片隅では「ばかばかしいことをしているな」と感じているものの、文字通り“強く迫ってくる”考えに逆らうことはとても難しく、言われるままに行動することで、仕事や勉強、生活の時間を奪われたり、疲れ果ててしまったりと、苦しい思いを抱えてしまうのです。
もし上記の内容にご自身で思い当たるところがあるようでしたら、まずは下記の「強迫症の自己チェックテスト」を実施されてみられると良いでしょう。
これは『モーズレイ強迫検査(邦訳版)』と呼ばれるものです。チェックをされてみて、強迫症の可能性が疑わしい場合は、相談や受診を考えてみられては如何でしょうか。また、ご自分の状態を把握するために、時々チェックをされるのも良いでしょう。
モーズレイ強迫検査(邦訳版)
Q.以下の質問全てに対し、「はい」か「いいえ」(=y/n)のどちらかに〇をつけて下さい。質問の意味を深く考えたりせず、思った通りに素直に答えて下さい。
1 不潔だと思うので、公衆電話は使わないようにしています。(y/n)
2 いやな考えに取りつかれて、それからなかなか離れられません。(y/n)
3 私は、人一番正直であろうと心がけています。(y/n)
4 何事も時間通りにできないためだと思いますがよく遅れてしまいます。(y/n)
5 動物に触れるのがあまり汚いとは、思いません。(y/n)
6 ガスの元栓や、水道の蛇口、ドアの鍵などを閉めたかどうか何度も確認しないと気がすみません。(y/n)
7 私は、非常に融通のきかない人です。(y/n)
8 毎日のようにいやな考えが意志に反してわき上がってきて困っています。(y/n)
9 偶然、誰かとぶつかるかどうかと過剰な心配をすることはありません。(y/n)
10 日常の何でもないことをしていても、これでいいのかとひどく疑問に思ってしまいます。(y/n)
11 私は子供の頃に、両親はどちらも特に厳しくはありませんでした。(y/n)
12 何度も繰り返してやり直さないと気が済まないので仕事が遅れることがあります。(y/n)
13 石鹸は普通の量しか使いません。(y/n)
14 私には不吉な数字があります。(y/n)
15 手紙を出す前に、何度も相手の住所や名前を確認することはありません。(y/n)
16 朝の支度にはそれほど時間が掛かりません。(y/n)
17 私はそれほど潔癖症ではありません。(y/n)
18 細かいことまで、あれこれ考え過ぎて困っています。(y/n)
19 手入れのいきとどいた他老いれなら何のためらいもなく使うことができます。(y/n)
20 いま困っていることは何度も確かめないと気がすまないことです。(y/n)
21 バイ菌や病気などのことは特に気になりません。(y/n)
22 私は何度も確かめる方ではありません。(y/n)
23 日常生活をどのように行うかを厳密に決めてはいません。(y/n)
24 お金に触れると手が汚くなるとは思いません。(y/n)
25 普通の時に、数を確認しながらすることはありません。(y/n)
26 朝の洗面に時間がかかります。(y/n)
27 多量に消毒液を使うことはありません。(y/n)
28 何度も確かめるので、毎日ひどく時間がかかってしまいます。(y/n)
29 帰宅後、服を片付けるのにあまり時間がかかりません。(y/n)
30 いくら慎重に行ったところで、うまくいかないと思うことがあります。(y/n)
★採点方法★
1・2・3・4・6・7・8・10・12・14・18・20・26・28・30の質問…「はい(y)」を1点
それ以外の質問…「いいえ(n)」を1点、として計算してみましょう。
➡合計得点が13点以上の場合、強迫症が疑われます。
このコラムを読まれまして、興味・関心を抱かれた方、
ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方は、
どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、強迫症(強迫性障害)をはじめ、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)、
うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、
パニック症、睡眠障害、自律神経失調症、心身症、
月経前症候群、統合失調症、社交不安症、
過敏性腸症候群、アルコール使用障害など、
皆様の抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)
監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医・内科医)
引用参考文献:上島国利監修『本人も家族もラクになる 強迫症がわかる本』(翔泳社)