日本人は「座り過ぎ」？！
オーストラリアの研究機関の調査によると、日本は世界一座っている時間が長いのだそうです。その時間は一日平均7時間だと言います。これは、オーストラリアのシドニー大学などが2012年に発表した調査結果に拠るもので、日本人の座る平均時間は約420分＝7時間に対し、世界20カ国の平均時間は約300分＝5時間ということが報告されました。
加えて、デスクワークの人はもちろん就業時間中は座って仕事をしているでしょうし、自宅に帰ってから座ってテレビやスマホを見ている、という人が多いのではないでしょうか。結果として、一日中座りっぱなしという訳です。
人は座ってばかりいると、病気になるリスクが上がります。人の身体は立って動くようにできているからです。長時間座っていると、血流が悪くなり、肥満や癌、糖尿病や心筋梗塞など、様々な弊害が生じやすくなります。実際、明治安田厚生事業団体力医学研究所の2019年の調査では、1日9時間以上座っている成人は、7時間未満の成人と比べて、糖尿病を患う可能性が、2.5倍高くなるという結果も出ています。
ジムに通っていたり、週に何度か運動の習慣を持っているという人でも、普段の生活で座っている時間が長ければ、リスクは上がります。WHO（世界保健機構）も、座り過ぎの生活は、喫煙や飲酒と同様に、生活習慣病などを引き起こすリスクがあると述べています。また、座ったままテレビを1時間見ると寿命が22分縮むという、少し怖い調査結果も出されています。いずれにしろ、座り過ぎは健康をおぼやかす大問題なのです。
スキマ時間に身体をほぐしましょう
同じ姿勢で固まったままですと、筋肉が収縮した状態が続いて血流が悪くなり、腸の動きも悪くなります。すると免疫力も下がってしまい、感染症に罹りやすくなります。
座りっぱなしの状態を避けるためにも、立ち上がって腰を回したり、背中を伸ばしたりして、腸に外側から刺激を与えるとよいでしょう。首を回したり、手足を動かして、同じ姿勢で長時間いることを避けましょう。目安は、1時間座ったら、数分のストレッチを行うことです。
仕事の合間や食後の休憩中、あるいは家事などのスキマ時間に気分転換を兼ねておこなえば、上がりっぱなしだった交感神経が落ち着くとともに、腸のぜんどう運動が促されることでしょう。
スキマ時間の簡単なストレッチで、腸に身体の外側から刺激を与え、活性化させることができます。仕事や家事のスキマ時間を見つけて、無理せずにできる範囲で行われてみられて下さい。
Ⅰ.「肩甲骨をゆるめる」
片腕を前に出し、ひじを曲げ手首を上に持ってきます。反対側の手でひじを固定し、手首をグルグル回します。これを左右同様に5回ほど行います。
Ⅱ.「股関節をゆるめる」
椅子に深く座り、片足を反対側のひざの上に乗せ、足首をグルグル回します。左右の足を同様に行います。
Ⅲ.「腰回し」
背すじを伸ばして立ち、左手で肋骨の下、右手で腰骨の上を強くつかみます。そして肛門をしめながら、腰を右回り、左回りに大きく8回、回します。左右の手を入れ替えて同様に行います。
Ⅳ.「足首ゆらし」
足首を掴んで片足立ちになり、かかとをお尻に引き寄せて、そのままの姿勢で足首を10秒間ブラブラゆらします。かかとを掴んでいない方の手は腰にあてます。バランスがとれない時は、どこかにつかまりましょう。
Ⅴ.「お腹ひねり」
椅子に腰掛けて、右脚を上にした体勢で両脚を組み、上にした脚の方向にお腹をひねります。この時右手で椅子の背をつかみ、左手で脚が動かないように押さえます。左側も同様にお腹をひねります。
……仕事や家事の合間に時間ができたら、これらの簡単ストレッチを取り入れて自律神経をと問えましょう。
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なお、自律神経失調症の漢方薬による治療をご希望の患者様は、診察時に医師の方にぜひご相談下さい。当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することも可能です。
Presented by.医療法人社団ペリカン（心療内科・精神科・内科）
参考引用文献：小林弘幸著『自律神経にいいこと超大全』