こんにちは。
仕事がしんどい、もう無理!、休みたい・・・、と思ったこと、だれしも一度はありますよね。
でも休職して、大丈夫かな?、とか考えると、色々不安、疑問がわいてきますよね。
そこで、今回は休職期間に関する、よくあるQ&A3選!をお届けします。
ぜひちらっとでも読んでみていただいて、少しでも不安が減れば幸いです!
①最長でどのくらい休職できるのでしょうか?
実は、「休職期間」というものは、法律で定められているものではありません。期間の長さは、職場によって異なります。
多くの場合、職場の就業規則に「休職となる条件」や「休職期間」など、休職関連の制度が定められています。休職期間を一律にしているところもあれば、勤続年数によって期間が違うところもあります。まずは勤務先の規定を確認しましょう。
ベンチャー企業をはじめとした、設立されて間もない会社や小規模事業所である場合、休職関連の規定が明確に定められていない場合もあります。その時は、休職をするにあたってご自分と会社とのやり取りの「窓口」となられている人に聞いてみられることをお勧めします。
休職期間の長さについては、「半年から1年程度」の設定にされているところが多いようですが、「数ヶ月」となっている職場もあります。公務員が働く公社や官公庁、大企業などでは「2~3年」程度の長めの期間を設定しているところもあります。
勤務先の規定によっては、休職期間が短く、リワーク(復職支援)プログラムのスケジュールと復職の時期が合わない場合もあります。その場合には、主治医や職場の担当者とよく相談される必要が出てくることでしょう。
そこで当院では、上述のような、「リワーク(復職支援)プログラムを受けたいけれども、休職期間が短いので、受け入れてもらえる機関が見つからない」「復帰の件を職場に相談したところ、『リワーク(復職支援)プログラムを受けてくることが必須です』と急に告げられました」…等々といったご事情の患者様にもご対応できる短期間のプログラムを設置するに至りました。
また、職場によっては「2回目以降の休職者」の方に対して、1回目(初回)の休職・復帰時とは異なる規定を設定されているケースもあります。
他にも「複数回休職する場合、休職期間は通算する」と定めている職場もあります。この場合ですと、2回目の休職では、1回目と2回目の期間を合算して、休職期間と考えるのです。その場合、休職期間が「半年」であり、1回目に4か月休職をされていたとしたならば、2回目に休職できる期間は「2ヵ月」ということになります。
なお、そのような制度が設けられていた場合でも、職場によっては「1回目の休職時から一定期間が経過している場合、通算はしない」ということもあります。また、そのような制度は基本的に、「同一の病名」で複数回休職をされた時に用いられることが多く、別の病気(あるいは、怪我)であれば、適用されないことが殆どです。
このように「休職期間」に関しては、会社(職場)によって、複雑な条件が設定されている場合も少なくはないので、休職時の窓口になっている方に、早めに正確な情報を提示してもらった方が、その後の安心感にも繋がることでしょう。
②期間内に復職出来なかった場合どうなりますか?
職場で定められた休職期間内に復職できない場合には、就業規則が満たせなくなってしまうので、退職または解雇という形で仕事を辞めることを意味する場合があります。
よって、現在の職場への復職を希望される方は、期間内に何らかの形で職場復帰ができるように、主治医や職場の関係性の方々と相談をしながら治療(必要によってはリワークプログラム)を進めていきましょう。職場によっては、フルタイム勤務が必ずしも「原則」となっていない場合もありますので、その点も早めの確認が必要でしょう。もし短時間勤務など働き方を相談・工夫することで、期間内に復職できる場合もあります。
但し、ここで留意して頂きたい点は、復職についての最終的な判断を下すのは、あくまで「職場側」にあるということです。主治医の診断も重要ですが、それを踏まえて職場側が「復帰可能」とした場合に復職となるのです。よって、復職の時期は方法については、主治医や医療スタッフだけでなく、職場側の担当者・関係者の方とよく相談する必要があるのです。
「主治医から職場復帰可の診断書(許可)が出た」はあくまで復帰における復帰における「前提条件」なのだと思われておく方が無難でしょう。
③「安全配慮義務」はどこまで考慮されますか?
「復職の際に、職場にどこまで配慮を求めることができますか?」という質問も、休職を経て、復職をされる際によく質問を受ける項目の一つでしょう。
職場には「安全配慮義務」(=労働契約法第5条)があります。これは「労働契約法」で定められているもので、職場側は従業員が安全に働けるように、そして、業務によって健康を損ねることがないように、職場環境を整え、従業員の健康管理をしなければなりません。
うつ病をはじめとした心の病気で休まれた方が復職する時には、職場側は、その人が安全に働いていけるように一定の配慮をする必要はあります。例えば、復職する方が勤務時間の調整を希望されていて、主治医も同様の意見書を出している場合には、職場側は可能な範囲での配慮を検討する必要があります。
これから復職をしようという場合に、復職後の働き方などについて希望がある場合には、まず主治医や職場に相談してみましょう。本人の希望が必ず通るという訳ではありませんが、様々な配慮を検討する良い機会になります。結果として、一定の配慮を得られることもあります。
なお、そのような経緯で、主治医が診断書や意見書に患者様の望ましい働き方を書くことがありますが、医師(主治医)の判断であれば必ず採用されるという訳でもありません。職場側は医師(主治医)の判断も踏まえますが、産業医の診断や意見も参考にして決定します。
時には、主治医の意見書に、患者様の一方的な要望を代弁するような内容の記述が見られる場合もあります。しかし、復職の可否やその条件を最終的に判断するのは職場側です。復職は、使用者(職場側)と労働者の契約の中で決まり、その契約の中に「安全配慮義務」があるのです。
よって、意見書に「一方的な要望」と思われる記述があると、職場側に「注意を要する案件」として警戒されてしまい、却って復職には不利な状況になることもあります。
主治医に意見書を書いてもらう際には、医師としての正当な根拠を丁寧に示してもらうことが大切です。そのような記述であれば、職場側も「一方的なもの」とはは考えず、「一考に値するもの」として受け止めてくれることでしょう。
以上、いかがでしたでしょうか。
少しでも、みなさんの不安が減り、安心していただけるよう、役立つ情報をどんどんお届けしていきますので、引き続き新宿ペリカンこころクリニックをよろしくお願いいたします!
参考引用文献:五十嵐良雄著『うつの人のリワークガイド』(法研)
Presented by. 新宿ペリカンこころクリニック(心療内科・精神科)
監修 佐々木裕人(精神保健指定医・精神科専門医)