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人との適切な距離感が分かりません…【大人の発達障害】

人間には相手との関係性によって「これ以上近づかれると不快になる」距離というものがあります。この距離を半径に、その人を中心とした円状の領域を一般にパーソナルスペースと呼んでいます。知らない相手、親しくない相手を警戒するのは、動物的な本能から来るものでしょう。

 

 

自閉スペクトラム症(以下、ASD)がある人の場合、このパーソナルスペースに関わる感覚が独特であることが多々あります例えば、極端に鈍くて気にしない人。鋭敏過ぎて人が傍を通るたびに緊張し、隣の席に人が座っていても身を縮こませてしまう人。近づかれることには敏感ですが、自分が近づく時には気にしなくなってしまう人…等々。どのタイプの人も、自分の感覚意外で距離感をつかむのが難しいため、注意されても適切な距離感というものを意識しづらいという特徴があります。

 

 

また、ADHDASDのどちらにも出やすい空間認知の苦手も関連してきます。この苦手さが顕著ですと、例えばキャッチボールをしていてもちょうど良い位置にボールを投げられなかったりします。

 

 

はっきりとしたルールを求めるASDタイプの人には「混んでいる店内や満員電車なら許されるが、ガラガラの時には許されない距離」というものがあるという柔軟さにも納得がいかないかもしれません。

 

 

しかし実際、十分なスペースがあるにも関わらず、不用意に相手のパーソナルスペースに入り込むと、不要な誤解を与えてしまいます。話しかけた時にパッと距離を離されたり、頭をやや引き気味に動かされたりするような場合には、相手のパーソナルスペースに踏み込んでしまったものと考えて良いでしょう。

 

 

非常に混雑していて他に席が空いていない場合なら、隣の席に座っても奇異に思われることはありません。しかし、他に沢山空席が空いているにも関わらず、わざわざ近くの席に座られると、無用な警戒をされてしまうことになります。空席がある場合は、なるべく周りに人のいない咳を選択するようにしましょう

 

 

例えば、職場の隅で同僚同士が立ち話をしていて、通路が狭くなっているような場合、他に通れる通路があるようならば、遠回りになってもそちらを通っていくようにしましょう。狭くなった通路を無理矢理押し通りようなことはなるべくなら避けたいものです。これもまた、不用意な「パーソナルスペースへの侵入」ととられ、相手に不快感を与えてしまう場合があるのです。

 

 

他に通れる通路がない場合には、2mくらい手前で「すみません、失礼します」と声を掛けて、まず気付いてもらいます。こちらを向いてもらったら軽く会釈をして、脇を通らせてもらいます。相手が道を空けてくれたならば、軽くお礼を言いながら通るようにすれば良いでしょう。

 

 

そして、相手もまた、こちらのパーソナルスペースに気を使っていることに注意しましょう。他の人も通る場所に立っている時、自分では十分に通れるスペースは空けているつもりでも、相手は身体がぶつかるような隙間を通ることは避けたいと考えます。やむなく通路に立ち止まる必要がある場合には、なるべく端に寄って他の人がラクに通れるスペースを確保するようにしましょう。元々狭い通路の場合には、ぴったりと壁に貼り付かず、いったん場所を移って相手を通してあげます。

 

 

また、声を掛けられたり、誰かが通る素振りを見せたりするようであれば、じこの場合にもいったん場所を移って相手を通してあげてあら、再度その場に通るようにすると良いでしょう。

 

 

案外、知らず知らずの内に、上記のような配慮がなかったがゆえに、職場での人間関係が上手くいかなくなるということも起こり得ます。日々のちょっとしたことではあちますが、回数が重なると、徐々に不満や不快感が鬱積してしまうものです。そうなる前に、ご自分を振り返られた際に、思い当たる節はないか考えてみましょう。

 

このコラムを読まれまして、気になる点がありました方や、
興味・関心を抱かれた方は、どうぞ当院まで、
お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院(新宿ペリカンこころクリニック)では、ご希望の患者様に、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)を施行することが可能な医療機関となっております。

 

 

ご自身の能力の凸凹の可能性が気になられる患者様、とりわけ発達障害(ASDやADHDの可能性を危惧されている患者様は、御診察の際に、その旨を当院医師にお申し出頂けましたら幸いです。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

Presented by.医療法人社団ペリカン(心療内科・精神科・内科)

参考引用文献:林寧哲監修ちょっとしたことでうまくいく発達障害の人が会社の人間関係で困らないための