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中途覚醒に悩む方へ|原因と対策、睡眠薬の役割を精神科専門医が詳しく解説

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中途覚醒に悩む方へ|原因と対策、睡眠薬の役割を精神科専門医が詳しく解説

中途覚醒に効く睡眠薬とは?途中で目が覚めてしまう原因と治療法を解説

はじめに

「夜中に何度も目が覚める」「朝まで眠りが続かない」

こうした中途覚醒に悩まされてはいませんか。

不眠症の中でも、中途覚醒は特に生活に支障をきたしやすいタイプの1つです。眠りが途中で何度も中断されると、十分な休息が得られず、日中の眠気や集中力の低下、気分の不安定さなどを引き起こす可能性があります。

 

本記事では、精神科医の視点から、中途覚醒が起こる背景やその対処法、さらに治療の選択肢としての睡眠薬について、医学的根拠に基づいて解説していきます。正しい知識を得ることで、安心してご自身の睡眠と向き合うことができるようになります。

 

中途覚醒とは?

中途覚醒とは、寝つきに問題はないものの、夜間に何度も目が覚めてしまい、そのまま眠れなくなる状態です。

医学的には「中途覚醒型不眠症」と呼び、不眠症にはこの他にも「入眠困難」「早朝覚醒」「熟睡感の欠如」など、複数のタイプが存在します。

一時的に夜中に目覚めることは誰にでも起こりますが、それが慢性的に繰り返されるようになると、睡眠の質が著しく低下します。結果として、翌日の体調や集中力、意欲に悪影響を及ぼし、仕事や日常生活に支障をきたすようになります。

特に、「目覚めた後にすぐ眠れない」「何度も時計を見てしまう」などの状態が続く場合は、医療的な対策が必要となるケースもあります。

 

中途覚醒の主な原因

夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」には、1つの明確な原因があるわけではなく、様々な要素が重なって起こることが多くあります。ここでは、その代表的な要因を見ていきましょう。

 

加齢

加齢に伴い、深い眠り(ノンレム睡眠)の時間が短くなる傾向があり、その結果、眠りが浅くなりやすくなります。わずかな刺激でも目が覚めやすくなるため、高齢になるほど中途覚醒が増える傾向にあります。実際、高齢者の不眠症では、このタイプが最も多いとされています。

 

ストレス・不安

心理的な緊張や不安を抱えている状態では、自律神経のうち交感神経が過剰に働き、脳が「休息モード」に入りにくくなります。その結果、睡眠が浅くなり、わずかな音や感覚で目が覚めてしまうといった状況が生じやすくなります。

 

生活習慣の乱れ

  • 寝る前のスマートフォンやパソコンの使用
  • 就寝前のカフェイン摂取
  • アルコールの摂取

 

これらの習慣は、睡眠の質を損なう要因となります。特に、スマートフォンやタブレットなどから発せられるブルーライトは、眠気を促すホルモン「メラトニン」の分泌を妨げるため、入眠後の覚醒を引き起こしやすくなります。

 

身体的・精神的疾患

  • うつ病、不安障害、PTSDなどの精神疾患
  • 睡眠時無呼吸症候群や頻尿、慢性的な痛みといった身体的な問題

 

これらは、いずれも中途覚醒のリスクを高める要因とされています。精神的な緊張や身体的な不快感が睡眠を妨げ、夜間に何度も目が覚めるような状況を引き起こすことがあります。

 

中途覚醒への対処法

夜間に繰り返し目が覚める「中途覚醒」への対処には、原因に合わせた具体的な対策が求められます。すぐに睡眠薬に頼るのではなく、まずは日々の生活を見直すことが改善の第一歩です。

 

生活習慣の改善

  • 毎朝同じ時間に起きて、夜も一定の時間に就寝することで、体内時計を整える
  • 就寝前の2時間は照明を落とし、スマートフォンの使用を避けて、神経をリラックスさせる環境を作る
  • 食事は眠る3時間前までに済ませるよう心がけ、消化器官への負担を軽減させる
  • 寝る直前にカフェインやアルコールは飲まない
  • ストレッチや散歩などの軽い運動を日常的に取り入れる

 

心理的アプローチ

精神的な不安や緊張が中途覚醒に影響している場合には、認知行動療法(CBT-I)やマインドフルネス瞑想が有効です。

こうした心理療法は、睡眠への誤った思い込みや不安を解消し、より自然な眠りを取り戻す手助けとなります。精神科や心療内科では、お薬を使わない治療法としてこれらを組み合わせた治療が行われることもあります。

 

睡眠衛生の向上

  • ベッドは「眠るための場所」として限定的に使い、読書やスマートフォンの操作などは寝床以外で行う
  • 遮光カーテンや耳栓、アイマスクなどを活用して、快適な睡眠空間を整える
  • 夜中に目が覚めてしまった場合は、「眠らなければ」と無理に焦らず、一度ベッドを離れて静かな別室で気持ちを落ち着けてから再び眠りにつくようにする

 

睡眠薬による治療

中途覚醒が長引き、日常生活に支障が出ている場合には、生活習慣の改善だけでは不十分なこともあります。そのようなとき、医師の判断のもとで睡眠薬を使った治療が選択肢の1つとなることがあります。

 

中途覚醒に適したお薬の種類

中途覚醒の症状や再入眠の困難さに応じて、以下のような睡眠薬が処方されることがあります。

 

  • ゾルピデム(商品名:マイスリー)

即効性があり作用時間も短いため、夜中に目が覚めた際の「頓用」として使用されることもあります。

 

  • エスゾピクロン(商品名:ルネスタ)

比較的作用時間が長く、再び眠りにつきやすくなる効果があります。

 

  • スボレキサント(商品名:ベルソムラ)

覚醒を促す「オレキシン」の働きをブロックするタイプのお薬で、より自然に近い眠りを促し、中途覚醒の回数を減らすとされています。

 

  • ラメルテオン(商品名:ロゼレム)

体内時計を調整する「メラトニン受容体」に作用し、睡眠リズムの乱れを整えるタイプのお薬です。

 

注意点と医師の指導の重要性

  • 一時的な補助としての使用が基本です。お薬だけに頼るのではなく、生活全体の改善と併せて行うことが重要です。
  • 自己判断での服用量の増減や急な中止は非常に危険です。副作用や依存のリスクがあるため、必ず医師の指示に従ってください。
  • 体質や症状によってお薬の効果には個人差があるため、合わないと感じた場合でもすぐに服用をやめるのではなく、医師に相談することが大切です。

 

医師としてのアドバイス

中途覚醒で悩む方は決して少なくありませんが、「加齢のせいだから仕方がない」と自己解決を図り、相談を躊躇ってしまうケースが多く見られます。しかし、適切な対処を行えば、睡眠の質は改善できます。

睡眠薬に全てを任せるのではなく、生活リズムの見直しやストレスへの対処、寝室環境の調整など、多角的なアプローチが必要です。お薬が必要な場合も、専門医と連携しながら正しく使用することで、依存や副作用のリスクを抑えることができます。

「最近よく眠れない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」など、小さな違和感でも構いません。放置せずに、まずは当院までご相談ください。

 

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参考文献:

日本睡眠学会「不眠症の診療ガイドライン」
https://www.jssr.jp/

厚生労働省 e-ヘルスネット:不眠症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

MSDマニュアル:不眠症の種類と治療
https://www.msdmanuals.com/

UpToDate: Evaluation and management of insomnia in adults

医中誌Web:中途覚醒と精神疾患の関連研究

 

監修者:

新宿ペリカンこころクリニック

院長 佐々木 裕人

資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医

所属学会:日本精神神経学会