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レクサプロを服用すると眠気がすごい?|眠気が出る理由と対策を精神科専門医が解説

レクサプロは副作用で眠気がすごい?副作用と対策方法を徹底解説 

 

はじめに 

レクサプロ(エスシタロプラム)は、うつ病や不安障害に処方される代表的な抗うつ薬で、多くの方に有効とされています。その一方で、「日中に強い眠気が出て困っている」と訴える方も少なくありません。眠気がひどいと仕事や家事などに支障をきたし、日常生活の質を下げてしまうこともあります。 

 

当院にも、服用後の眠気に悩んで受診される患者様が多く、個々の症状に合わせた対応策を一緒に検討してきました。本ページでは、レクサプロによって眠気が生じる理由や、具体的な対策法、さらに注意が必要な他の副作用についても詳しくご紹介します。日常生活への影響を抑えながら治療を続けるためのヒントとして、ぜひお役立てください。 

 

レクサプロとは? 

レクサプロは、有効成分「エスシタロプラム」を含む抗うつ薬で、日本でも多くの医療機関で処方されています。主にうつ病や不安障害に対して使用され、気分の落ち込みや不安感を緩和し、精神的な安定を促す働きがあります。 

 

作用機序:セロトニンの再取り込み阻害 

レクサプロは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」というタイプのお薬で、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの働きを強めることで効果を発揮します。具体的には、神経細胞に取り込まれるセロトニンの再吸収をブロックし、脳内でのセロトニン濃度を高めることで、気分の落ち込みを緩和したり、不安感を和らげたりします。 

 

特徴と他の抗うつ薬との違い 

  • 副作用が比較的軽い:人によって異なりますが、倦怠感などの副作用が出にくいです 
  • 効果が出るまでの期間が短い:多くの場合、服用開始から2週間ほどで気分の変化を実感し始めます 
  • 服用の手間が少ない:11回の服用で効果が持続するため、服薬管理がしやすいです 

 

適応症状 

  • 社会不安障害 
  • パニック障害 
  • 大うつ病性障害 

 

当院でも、これらの症状によって日常生活に支障が出ている方に対し、レクサプロを処方し、症状の改善を目指した治療を行っています。 

次の項目では、レクサプロを服用する際に多くの方が感じる「眠気」について、詳しくご紹介していきます。 

 

レクサプロで眠気が強く出るという誤解が生じる原因 

レクサプロを服用して、「とにかく眠くて仕方がない」と感じる方が多くいらっしゃいます。以下では、レクサプロによって眠気が引き起こされる誤解について、詳しくご説明します。 

 

1.セロトニンの増加によるリラックス効果

レクサプロは、脳内のセロトニン量を増やすことで精神の安定を促す「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」です。セロトニンには気分を落ち着ける働きがありますが、その作用が強く出すぎると、日中に強い眠気を引き起こすことがあります。 

 

ただし、レクサプロはこの副作用から日中に強い眠気を感じるほどの量から開始することは滅多にありません。 

むしろ、開始して強い眠気を感じた場合は長期間ストレスに晒されていたなど。 

服用によるセロトニンの急激な増加により、過剰な眠気や脱力感を感じ、集中力が続かず、仕事や家事に支障をきたすケースも見られます。 

 

その場合は服用を中止するのではなく、体が眠りによる休息を必要としていると発想を転換させてみて下さい。 

また、服用してどのタイミングで眠くなるのかが分かれば服用のタイミング(朝食後、昼食後、夕食後、眠前)等の調節は可能ですので医師と相談してみましょう。 

 

2.脳内の神経伝達の変化

レクサプロはセロトニンの再取り込みを抑えることで効果を発揮しますが、それに伴い、脳内の神経伝達全体にも影響を及ぼすことがあります。特に、睡眠と深く関係するホルモン「メラトニン」の分泌リズムが乱れることがあり、それが原因で日中にもかかわらず眠気が強く出る可能性があります。 

これも先ほどと同じように服用タイミングを調節することで回避出来るので気軽に相談してみましょう。 

 

3.他の薬との相互作用

レクサプロを他のお薬と一緒に服用する場合、組み合わせによっては眠気が強まることがあります。特に、睡眠導入剤や抗不安薬、抗ヒスタミン薬などは、眠気がさらに強くなることがあります。 

 

レクサプロの眠気はよく見られる副作用の1つですが、適切な対応を取ることで生活への支障を軽減することができます。次に、その具体的な対策について詳しくご紹介します。 

 

レクサプロの眠気への対策方法 

レクサプロを服用していて強い眠気が気になる場合は、いくつかの対処法を試すことで、その症状を抑えられる可能性があります。 

1.服用時間の調整

レクサプロは通常11回の服用ですが、服用する時間帯によって眠気の出方が変わることがあります。例えば、朝に服用して日中に強い眠気が出る場合は、医師と相談のうえで夜に変更することで改善が見られることもあります。 

 

  • 朝に飲む場合:日中に眠気が強まることがあります 
  • 夜に飲む場合:翌朝に眠さが残ることもありますが、日中は活動しやすくなります 

 

ただし、服用時間の変更は自己判断では行わず、必ず医師の指示に従ってください。 

 

2.生活習慣の見直し

眠気を抑えるためには、生活リズムを整えることも効果的です。次のような習慣が特に有効とされています。 

 

  • 十分な睡眠時間を確保する:質の高い睡眠を178時間取りましょう 
  • バランスの取れた食事を意識する:健康的な食生活が全身の調子を整えます 
  • 軽い運動を取り入れる:適度な運動は脳を活性化させ、眠気の予防に繋がります 

 

また、朝の光を浴びることで体内のリズムが整い、日中に眠くなりにくくなります。 

 

3.カフェインの適度な活用

日中の強い眠気には、カフェインの適度な摂取が効果的です。コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインには、脳を活性化させて眠気を抑える働きがあります。 

なお、摂りすぎると夜間の睡眠に影響が出るため、午後3時以降は控えましょう。 

 

4.他の薬との相互作用の確認

睡眠薬や抗不安薬を併用していると、レクサプロによる眠気がさらに強まることがあります。気になる場合は、医師に相談し、お薬の種類や服用タイミングを調整しましょう。 

 

レクサプロ服用時の注意点 

レクサプロは高い効果が期待できるお薬ですが、安全に使用するためには服用方法や日常生活での注意が欠かせません。特に次の点には注意しましょう。 

 

1.運転や機械操作の注意

レクサプロの服用によって強い眠気が現れることがあります。そのため、自動車の運転や高所での作業、重機の操作といった集中力が必要な行動は避けてください。眠気を感じた場合は、安全な場所で休憩を取るようにしましょう。 

 

2.アルコールとの併用は避ける

レクサプロの服用前後に飲酒すると、眠気やふらつきが強くなることがあります。さらに、お薬の代謝にも影響し、副作用のリスクが高まる恐れがあります。服用中はできるだけ飲酒を避けましょう。 

 

3.他の薬との相互作用に注意

レクサプロは、併用するお薬によって効果や副作用の出方が変わることがあります。特に、睡眠薬や抗不安薬、抗ヒスタミン薬などは眠気を強める可能性があるため注意が必要です。服用中のお薬については、必ず医師に相談し、自己判断で市販薬などを追加するのは避けましょう。 

 

まとめ:眠気が続く場合は医師に相談を 

レクサプロの服用による眠気は、副作用の1つとして現れることが多いですが、適切な対策で軽減が可能です。しかし、眠気が強く日常生活に支障が出る場合や、他の副作用が現れた場合には、医師への相談が必要です。 

眠気の調整や服用時間の見直し、お薬の変更など、医師と話し合うことで解決策が見つかることも多くあります。 

 

 

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安心して治療を続けるために、気になることがあればお気軽にご相談ください。 

 

参考文献: 

  1. 医療用医薬品 : レクサプロ (レクサプロ錠10mg ) – KEGG
    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067824 
     
  1. エスシタロプラムシュウ酸塩 レクサプロ – PMDA
    https://www.pmda.go.jp/drugs/2015/P20151112001/790005000_22300AMX00517_B102_1.pdf 

 

監修者: 

新宿ペリカンこころクリニック 

院長 佐々木 裕人 

資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医 

所属学会:日本精神神経学会