はじめに
「リスミーは強い睡眠薬なの?」「他の薬と比べて効き目はどうなの?」
睡眠薬に不安を感じている方にとって、リスミー(一般名:リルマザホン)の「強さ」は気になるポイントではないでしょうか。
この記事では、精神科医の視点から、リスミーの薬理作用や特徴、他の睡眠薬との比較、使用上の注意点についてわかりやすく解説します。
リスミーとは?
リスミー(リルマザホン塩酸塩水和物)は、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。作用時間は「中間型」に分類され、効果はおよそ6〜8時間持続するとされています。
主に以下のような目的で処方されます。
- 寝つきが悪い(入眠困難)
- 夜中に目が覚める(中途覚醒)
- 早朝に目が覚めてしまう(早朝覚醒)
リスミーは持続時間が比較的長いため、これらの複数の不眠症状に対応しやすい薬です。また、即効性にも優れ、就寝前に服用することで30〜60分以内に効果を感じることが多いとされています。
リスミーの強さ:他の睡眠薬と比較すると?
睡眠薬の「強さ」は、厳密には「作用の強さ」や「半減期」「依存性の程度」など複数の観点から評価されます。
以下は、一般的な睡眠薬とリスミーの作用時間の比較です。
薬剤名 |
分類 |
半減期 |
持続時間 |
ハルシオン |
超短時間型 |
約2〜4時間 |
短い |
デパス |
短時間型 |
約6時間 |
短め |
リスミー |
中間型 |
約10時間 |
中程度 |
ロヒプノール |
長時間型 |
約20時間 |
長い |
このように、リスミーは「中間型」にあたり、ハルシオンやデパスよりは持続力があり、ロヒプノールなどの長時間型よりも軽めという中程度の位置づけです。
ただし、個人差があるため、「強さ」を一概に比較するのは難しく、体質や不眠のタイプに応じた処方が求められます。
リスミーの副作用と注意点
睡眠薬には、眠気以外にも以下のような副作用がみられることがあります。
- 翌朝の眠気・ふらつき
- 記憶障害(健忘)
- 依存性や耐性の形成
- 反跳性不眠(中止後に一時的に不眠が悪化する)
- 脱力感や注意力の低下
- 高齢者では転倒リスクの上昇やせん妄の出現
特に高齢者の場合、代謝が遅くなっているため、翌朝にまで薬の効果が残る可能性があります。そのため、必要最小限の量から始め、定期的に見直すことが重要です。
また、アルコールとの併用や他の中枢神経抑制薬との併用により、作用が増強される可能性があるため、医師の指導のもとで慎重に服用する必要があります。
他の不眠症治療との併用は可能?
不眠の治療は、薬物療法だけでなく、生活習慣や睡眠環境の改善も重要です。リスミーと併用されることのある治療法には以下のようなものがあります。
- 認知行動療法(CBT)
- メラトニン受容体作動薬(ロゼレムなど)
- 抗うつ薬(不安や抑うつが関与している場合)
- 睡眠衛生指導(カフェイン制限、就寝前のスマホ使用回避など)
医師は、患者の症状や生活スタイルに合わせて、薬の選択とともにこれらの対策も組み合わせながら治療方針を立てていきます。
医師としての見解
リスミーは「強すぎる薬」というわけではありませんが、作用時間が長めな分、翌朝の影響が出る方もいます。特に高齢者や日中の活動量が少ない方では、過鎮静になるリスクもあるため、慎重な投与が必要です。
不眠の背景には、ストレスや生活習慣の乱れ、うつ病や不安障害といった精神的な要因が隠れていることもあります。そのため、睡眠薬のみに頼るのではなく、心身両面からのアプローチが望まれます。
また、リスミーは長期連用することを目的とした薬ではないため、使用開始後は医師と相談しながら、徐々に減薬を検討することも大切です。
まとめ:リスミーの強さは「中程度」、正しく使えば安心できる薬
リスミーは中間型の睡眠薬として、多くの不眠症状に対応できる薬ですが、強さは「中程度」であり、使用には適切な管理が必要です。医師と相談しながら、最適なタイミング・用量で使用すれば、高い効果と安全性を両立することができます。
不眠に悩んでいる方は、ぜひ専門医にご相談ください。薬の使用に対する不安や疑問にも、丁寧に対応いたします。
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参考文献:
厚生労働省:不眠症の診断・治療ガイドライン
日本睡眠学会:睡眠薬の適正使用・中止の手引き
https://www.jssr.jp/data/pdf/tebiki_201306.pdf
日本精神神経学会:精神科治療薬ハンドブック
MedlinePlus: Temazepam (Restoril)
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a684003.html
医中誌Web:リルマザホンに関する国内研究
監修者:
新宿ペリカンこころクリニック
院長 佐々木 裕人
資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医
所属学会:日本精神神経学会