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サインバルタの副作用とは?精神科専門医が注意点と安全な対処法を解説

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サインバルタの副作用とは?精神科専門医が注意点と安全な対処法を解説

サインバルタの副作用とは?医師が解説する注意点と対処法

はじめに

サインバルタ(一般名:デュロキセチン)は、うつ病や不安障害、さらには慢性的な痛みにも用いられる抗うつ薬です。その治療効果の高さから多くの患者様に使用されていますが、一方で「太ってしまうのでは?」「吐き気がつらい」「副作用が心配」といった不安を抱える方も少なくありません。

しかし、お薬の副作用は全てが避けられないものではなく、正しい理解と医師の適切なフォローがあれば、無理なく治療を続けていけるケースが大半です。

 

本ページでは、サインバルタの作用の仕組みから、注意すべき副作用、服用時のポイント、そして医師としてのアドバイスまで、分かりやすくご紹介します。

 

サインバルタとは? どんな薬?

サインバルタは、「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」に分類される抗うつ薬の1つです。脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの再吸収を抑えることで、それらの濃度を高め、神経の働きを調整します。これにより、気分の落ち込みを和らげるだけでなく、痛みの感受性を低下させる効果もあります。

 

このお薬は、以下のような症状・疾患に対して使用されます。

 

  • うつ病およびうつ状態
  • 全般性不安障害(GAD)
  • 慢性腰痛や線維筋痛症などの慢性疼痛
  • 糖尿病性神経障害に伴う神経性疼痛 など

 

精神的な不調だけでなく、身体の痛みにも適応があるのがサインバルタの大きな特徴です。

 

サインバルタの主な副作用

サインバルタを使用するにあたっては、いくつかの副作用が見られることがあります。ただし、副作用の出方や程度には個人差があり、多くの場合、医師のサポートを受けながら適切に対処することで、安全に治療を継続できます。ここでは代表的な副作用とその対処法についてご紹介します。

 

1. 吐き気・食欲不振

サインバルタの副作用の中でも特に多いのが「吐き気」です。服用を始めた直後に現れやすい症状ですが、多くは1~2週間のうちに自然と軽くなっていきます。また、食欲が落ちることもありますが、いずれも一時的な反応であることが多いです。

 

【対処のポイント】

  • 食後に服用することで胃への刺激を抑える
  • 医師の判断により、制吐剤(吐き気止め)を併用する

 

2. 眠気または不眠

サインバルタは中枢神経に作用するお薬であるため、眠気が出やすい一方で、逆に「眠れない」と感じる方もいます。こうした反応は人によって異なり、どちらの症状が出るかは個人差があります。

 

【対処のポイント】

  • 眠気が強い場合は、服用時間を夜にずらす
  • 不眠が続く場合は、朝に服用時間を調整する
  • 必要に応じて、医師と相談のうえ他の薬剤との併用を検討する

 

3. 便秘

服用によって腸の動きが鈍くなり、便秘を引き起こすことがあります。生活習慣の工夫で改善が期待できることが多いです。

 

【対処のポイント】

  • 水分や食物繊維を意識して摂取する
  • 軽い運動を日常に取り入れる
  • 改善が見られない場合は、整腸剤の処方を検討

 

4. 口の渇き

抗コリン作用の影響で唾液の分泌が減少し、口の中が乾くことがあります。

 

【対処のポイント】

  • こまめに水分を摂る
  • 無糖のガムや飴で唾液の分泌を促す

 

注意すべき稀な副作用

発生頻度は低いものの、稀に重大な副作用が生じることがあります。以下のような症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

 

・セロトニン症候群

サインバルタを服用中に、発汗・震え・動悸・高熱・混乱・筋硬直などの症状が現れることがあります。これらは「セロトニン症候群」と呼ばれる重篤な状態で、早急な対応が必要です。特に、他の抗うつ薬や漢方薬(例:五苓散、抑肝散など)を併用している場合はリスクが高まるため、事前に医師へ必ず申告してください。

 

・高血圧・頻脈

ノルアドレナリンの作用により、血圧や心拍数が上昇することがあります。特に高齢者やもともと高血圧のある方は、定期的な血圧測定が重要です。体調の変化を感じた際は、放置せず医師へ相談しましょう。

 

・体重増加

一部の方で、服用中に体重が増えることがあります。ただし、サインバルタは他の一部の抗うつ薬(例:四環系抗うつ薬)と比較すると、体重増加の頻度は比較的少ないと報告されています。

 

医師としてのアドバイスと安全な使い方

サインバルタを安心して服用するためには、「自己判断での増減や中断をしない」ことが最も重要です。副作用が気になる場合でも、急に服用を止めてしまうと、症状が悪化したり「離脱症状(めまい・痺れ・不安感など)」が出る恐れがあります。

 

減薬や中止の際には、医師の指導のもとで徐々に用量を減らしていく必要があります。気になる症状があるときは、必ず主治医に相談し、適切な対応を一緒に検討していきましょう。

 

まとめ:副作用を理解して、安心して治療を

サインバルタは、うつ病や慢性痛、不安障害に対して有効性の高い薬です。吐き気や眠気、便秘といった副作用が出ることはありますが、医師のサポートのもとで適切に管理すれば、安全に使用することが可能です。

副作用に不安を感じたら、自己判断で服用を中断せず、まずは主治医に相談してください。症状や体調に応じて最適な治療法を一緒に考えていくことが、回復への一番の近道です。

 

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参考文献:

サインバルタカプセル 添付文書(PMDA)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/

厚生労働省 e-ヘルスネット「抗うつ薬」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-044.html

日本うつ病学会「うつ病治療ガイドライン」
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/

MedlinePlus: Duloxetine
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a604030.html

米国Mayo Clinic: Duloxetine Side Effects
https://www.mayoclinic.org/

 

監修者:

新宿ペリカンこころクリニック

院長 佐々木 裕人

資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医

所属学会:日本精神神経学会