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むずむず脚症候群とストレスの関係とは?原因・治療法を精神科専門医が解説

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むずむず脚症候群とストレスの関係とは?原因・治療法を精神科専門医が解説

むずむず脚症候群とストレスの関係とは?原因・症状・治療法を精神科医が解説

はじめに

「夜になると脚がムズムズして落ち着かない」「不快感でじっとしていられず、眠れない」といった経験をしたことはありませんか。

もしかするとそれは、神経系の疾患である「むずむず脚症候群(RLS: Restless Legs Syndrome)」によるものかもしれません。

 

本記事では、精神科の視点から、この症候群の特徴やストレスとの関係、原因、治療の選択肢などについて、できるだけ丁寧に解説していきます。

 

むずむず脚症候群とは?

むずむず脚症候群は、安静にしているときに脚の奥のほうで不快な感覚が生じ、「動かさずにはいられない」という強い衝動に駆られる神経疾患の一種です。症状は日中よりも夕方から夜間にかけて強くなる傾向があり、特に就寝前に悪化することで睡眠の質を著しく低下させてしまうことがあります。

 

主な症状

  • 脚の内部がムズムズ、チクチク、あるいは電気が走るような違和感
  • 脚を動かすことで一時的に不快感が軽減される
  • 安静時(特に夜間)に症状が強くなる
  • 入眠困難や夜中の目覚めなど、睡眠の質が著しく低下する

 

このような状態が続くと、単に日常生活に支障をきたすだけでなく、慢性的な不眠が引き金となって、抑うつ状態や集中力の低下など、心身両面に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、早期に医療機関で相談することが大切です。

 

原因と発症メカニズム

むずむず脚症候群の発症メカニズムについては、現時点で明確には解明されていませんが、複数の要因が複雑に関与していると考えられています。

 

【1】ドーパミン系の異常

脳内の神経伝達に関わるドーパミンの働きに異常があることが、この疾患に関係していると考えられています。実際に、パーキンソン病との共通点が指摘されています。

 

【2】鉄分の不足

ドーパミンの合成には鉄が必要不可欠です。そのため、体内に十分な鉄がない場合や、脳内での鉄の利用に問題がある場合、むずむず脚症候群の症状が現れることがあります。

 

【3】遺伝的要因

家族内に同様の症状を抱える人がいる場合、遺伝的に発症リスクが高まる可能性が報告されています。

 

むずむず脚症候群とストレスの関係

慢性的なストレスも、むずむず脚症候群の症状を悪化させる大きな要因の1つです。ストレスがかかると自律神経のバランスが崩れ、ドーパミンの機能にも悪影響を及ぼすことがあります。

その結果、症状の頻度や不快感が増し、さらに睡眠の質が悪化することで、疲労・情緒不安・集中力低下などの悪循環に陥る恐れがあります。

 

また、うつ病や不安障害を合併していることも多く、精神科領域からのアプローチも非常に重要です。

 

診断方法

むずむず脚症候群の診断は、国際むずむず脚症候群研究グループ(IRLSSG)が定める診断基準に基づいて行われます。具体的には以下のような条件を満たすことが必要です。

 

  • 脚に不快な感覚があり、それを和らげるために動かしたくなる衝動がある
  • 安静にしているときに症状が強くなる
  • 動かすことで一時的に症状が軽減される
  • 症状は夕方から夜間にかけて悪化する
  • 他の病気では説明できない症状であること

 

さらに、鉄欠乏や腎機能障害などの身体的要因や、抗うつ薬・抗ヒスタミン薬といった薬剤の影響を除外するため、血液検査や服薬歴・既往歴の確認が併せて行われます。

 

治療法と対処法

むずむず脚症候群の治療は、症状の強さや原因に応じて段階的に進められます。

 

【1】生活習慣の改善

以下のような生活習慣の工夫は、症状の軽減に役立つとされています。

 

  • 規則正しい睡眠リズムを保つ(決まった時間に就寝・起床)
  • カフェインやアルコールの摂取を控える
  • 軽い運動を日常に取り入れる(ウォーキングやストレッチなど)
  • ストレスケアを意識する(ぬるめの入浴・呼吸法・瞑想など)

 

【2】薬物療法

代表的な薬剤には以下のようなものがあります。

 

  • ドパミン作動薬(プラミペキソールなど)
  • 抗てんかん薬(ガバペンチン、プレガバリン)
  • 鉄剤(フェリチン低値が認められる場合)

 

※お薬の効き方や副作用には個人差があるため、自己判断は禁物です。必ず医師と相談しながら適切な用量・用法を守ることが重要です。

 

医師からのアドバイス

「むずむずするのは一時的な疲労だろう」「気にしすぎかもしれない」と、症状を軽視してしまう方も多く見受けられます。しかし、症状を放置することで不眠が慢性化し、心身のバランスを大きく崩してしまうこともあります。

特にストレス社会と言われる現代では、自律神経やメンタルに影響する疾患との関連も見逃せません。むずむず脚症候群は、広い範囲に影響を及ぼす可能性があるため、早めのケアが大切です。

当院では、睡眠障害やストレス関連症状のご相談にも対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。

 

まとめ:むずむず脚症候群はストレスと密接に関係している

むずむず脚症候群は、ドーパミン系の異常や鉄不足、そしてストレスが複雑に関係する神経疾患です。特にストレスが強いと症状が悪化しやすいため、生活習慣の見直しや心のケアも重要になります。

正しい理解と対策を行うことで、症状の軽減や睡眠の質の改善が期待できます。つらい症状に悩んでいる方は、自己判断せず、早めに医師へご相談ください。

 

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参考文献:

日本睡眠学会:むずむず脚症候群診療ガイドライン
https://www.jssr.jp/data/pdf/guideline_rls.pdf

 

Trenkwalder C, et al. “Recent advances in the diagnosis, treatment and pathophysiology of restless legs syndrome.” Lancet Neurology, 2016.

厚生労働省 e-ヘルスネット:ストレスと自律神経
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-005.html

 

Allen RP, Picchietti DL, et al. “Restless Legs Syndrome: Diagnostic Criteria.” Sleep Medicine, 2003.

 

監修者:

新宿ペリカンこころクリニック

院長 佐々木 裕人

資格等:精神保健指定医、精神科指導医・専門医

所属学会:日本精神神経学会