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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
今まで3回に渡り「SET-UP」コミュニケーションについて記載させて頂きました。「第3回目」においては、「SET-UP」コミュニケーションをより具体的に記述させて頂きました。ただ、この第3回目をご一読頂いた上で、「SET-UP」コミュニケーションを使用される際の注意点(留意点)を今回・第4回は書かせて頂きたいと思います。
繰り返しになってしまい恐縮ですが、この「SET-UP」コミュニケーションは、境界性パーソナリティ障害の方と向き合うために開発されました。それ以外においても、ストレスが大きい状況下に置かれている方々との対話においても有用であると言われています。
「支援(S)」というのは、境界性パーソナリティ障害の方とあなた(=支援者)を同一視することではありません。例として、「そうそう、私にも同じようなことが起こったよ」と伝えたとしても、それは空いてに役立つ「支援(S)」の発言ではありませんので、相手にとっては「的外れな回答」として却下されてしまうことでしょう。「私(自分)」を主体とするこの「支援(S)」の発言では、あなた(支援者)が相手を心配していることと、助ける意志があることを明確に伝えます。
「共感(E)」は、「同情」とは異なります。例として「何て気の毒なの(可哀そうなの)」は、無意識の内に相手を自分より“下の立場”に捉えてしまっている発言であり、境界性パーソナリティ障害の方の持つ痛みを受け入れる表現にはなっていません。また、「あなたの気持ちがよく分かる」といった言葉も、(当然とも言えますが)大抵は怒りで反応されてしまいます。何故なら、真の意味でその方が内面においてどのような体験(心的過程)を経ているかを実感できる人など、何処にもいないからです。この「共感(E)」発言は、あなた自身ではなく、相手(境界性パーソナリティ障害の方)を主体とした言明であり、その相手の体験を“受け止める”ためのものなのです。
「真実(T)」は、決して強硬に相手に突きつけるものではありません。もっと言ってしまえば、「支援(S)」も「共感(E)」も伴わない「真実(T)」発言は、その人のためと言いながら、ただ相手を鞭打っているのと変わりありません。
「真実(T)」では、境界性パーソナリティ障害の方の体験を、意味のないこととして軽視したりはしません。例えば、「あなたは反応し過ぎている」、「自分はそんなことは言っていない」等々は、終わりのない論争を招いてしまいます。また「真実(T)」においては、責任を押し付けたり、後からとやかく言ったりするようなことでもありません。例えば、「全部あなたのせいだ」、「自業自得だ」、「あなたがあの時こうしていれば、こんなことにはならなかったのに」等々とは決して言いません。
「真実(T)」発言をする時には、中立的な姿勢・立場における問題解決を重視します。叱責したり批判したりしても、相手はもっと防衛的になってしまい、増々自分自身の振り返りから遠ざかっていってしまうことでしょう。
これら上記の事柄を意識することは非常に大変なことだと思います。しかし、それでも引き続き「支援(S)」を表明し、「共感(E)」して受け止め、しっかと「真実(T)」を示していくことが出来れば、かなりの危機を取り除くことが出来るはずです。
そして、「UP」の部分を追加出来れば、複雑で大変な対話の間にも、「維持したい」と思う姿勢に注意を向けることができるでしょう。「理解(U)」と「根気強さ(P)」は、境界性パーソナリティ障害の方と、より健康的・建設的な関係を共に作り上げていきたいと願っているあなた(周囲の方々や支援者)にとっては、忘れないで頂きたい必須要素なのです。
当院では、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安症、適応障害、
心身症、ストレス関連疾病、睡眠障害(不眠症)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
パニック障害、自律神経失調症、冷え症、摂食障害、
月経前症候群、更年期障害、統合失調症、強迫性障害、
過敏性腸症候群、境界性パーソナリティ障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングご希望の患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。