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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
ネット(ゲーム)依存と脳のメカニズムの関係についての「第6回」です。今回は「脳機能の回復」について記載させて頂きます。
ネット(ゲーム)依存と脳のダメージの関係性については、今も研究が続けられていますが、ではいったんダメージを受けてしまった脳は回復できるのでしょうか?
かつての脳研究では、脳は遺伝子によって描かれた設計図に基づいて形づくられ、出来上がった脳の構造(成人)は変わらないと考えられていました。神経細胞が再生することもないとされ、そのため一度ダメージを受けた脳は、失った機能を取り戻すことが不可能とされていました。しかし、近年になり研究が進んだ結果、その考え方は変わってきたのです。
脳には「可塑性」があることが分かっています。この可塑性によって、神経回路網は自在に作り変えられていくことになります。また、成人の脳では、神経細胞が新しく生まれることはないというが、長い間の常識でしたが、これも違っていました。成人の脳でも神経細胞が新たに生まれる(新生する)ことが分かってきました。
こうした「脳の可塑性」や「神経細胞の新生」により、例え脳の一部がダメージを受けても、脳の他の部分が失われた機能を代替したり、新しい神経細胞が生まれて機能が回復したりすることが分かりました。例えば、脳梗塞などで、脳のある部分の神経細胞が死滅した場合でも、リハビリテーションをすることによって損傷した脳領域周辺の細胞等が新たに生まれ、神経回路を作って機能をある程度まで回復させることが明らかになったのです。
ネット(ゲーム)依存の場合は、脳梗塞によるダメージとは異なって損傷の度合いはずっと軽微なものです。そのため、治療を受けてネットの使用を止めると、活動が低下していた部分の活動性が戻り、機能が回復する可能性があります。特に、まだ脳が発達段階にある若年層の脳は、成人の脳よりも可塑性や神経細胞の補修機能が高く、元の状態に戻ることが期待できます。
成人になると、脳細胞はどんどん死滅して減っていくばかりだという考えが、かつての通説でした。また成人の脳では、一度障害を受けると、神経細胞そのものが再生することはないというように考えられてきました。しかし、1990年代末になると、成人の脳であっても、少なくとも記憶と学習に重要な役割を果たす「海馬」においては、日常的に神経細胞が新生しているということが発見されました。現在では「海馬」だけでなく、脳の他の部位においても尊敬細胞が生まれていること等が明らかになってきているのです。
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