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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
アドラー心理学は、「勇気づけの心理学」とも呼ばれています。人間には誰にでも劣等感があります(アドラー心理学の考え方)が、その劣等感をどう受け止めて行動するかで、人生が変わってきます。具体的に言うと、劣等感を乗り越えて建設的な行動をするのか。それとも「どうせ自分は…」と非建設な行動をするのか、です。
実は、その分かれ目にあるのが、「勇気」なのです。充分な勇気を持っていれば、建設的な行動ができます。一方、勇気が挫かれた状態では、非建設的な行動になってしまいます。そこで重要になってくるのが、自分や相手に対する「勇気づけ」なのです。
しかし、「勇気づけ」とは、ただ単に「褒める」ということではありません。例えば、「よくできたね」「頑張ったね」というのは、いわば「上からの評価(縦の人間関係)」です。実際、あなたが上司の方に向かって、このような言葉を使うことがないことからも理解できることでしょう。一方、勇気づけは「横の人間関係」だと言われています。
以下に、「褒める」と「勇気づけ」の違いのまとめを記載させて頂きます。
★定義★
①「褒める」…相手の優れている点を評価すること
②「勇気づける」…相手が困難を自らの力で克服する活力を与えること
★関係★
①「褒める」:縦の人間関係
②「勇気づける」:横の人間関係
★具体的な言葉★
①「褒める」…「あなたは優秀だ」といった「YOU(あなた)」が主語になりがち(→評価に繋がる)
②「勇気づける」…「私は嬉しい」「私は悔しい」といった「I(わたし)」が主語になりがち(=勇気づけの基本である主観伝達)
★目的★
①「褒める」…相手をコントロールする、評価する
②「勇気づける」…相手が自分の力で課題を解決できるよう支援する
★効果★
①「褒める」…他人からの評価を気にする依存人間に
②「勇気づけ」…他人からの評価を気にしない自立人間に
…このように、この2つは一見似ているように見えますが、実際にはかなり異なることがお分かりになるかと思います。
勇気とは、「困難を克服する活力のこと」です。そして、困難を克服する活力を与えるのが勇気づけです。「褒められたいから頑張る」という行動は、自分で困難を克服しようとしているという意味では、不充分なものなのです。褒めて伸ばそうとすると、相手は「もっと褒めて欲しい」となり、評価者に対して依存状態になってしまいます。褒められなければ動けないのであれば、アドラー心理学の目指すところの「自立した人間」になることも出来ません。
褒めるにしても、叱るにしても、あるは手とり足取り教えることも、それは「縦の人間関係」における上からの行動です。これらは、「あなたは賢い」「あなたはダメだ」というように、「YOU(あなた)」が主語になっていることが特徴的です。
しかし、アドラー心理学では、縦の人間関係ではなく、横の人間関係が求められます。縦の人間関係で、上から「YOU(あなた)」を評価するのではなく、横の人間関係で「I(私)」を語ることが、勇気づけに繋がるのです。
もちろん、勇気づけは相手だけに対して行うものではなく、自分自身にも行っていきましょう。そのためにお勧めしたいのが、「天使の囁き(祝福の言葉)」です。それは、「自分ならできる」「こんな問題、どうってことない」「今までだって乗り越えてきたじゃないか」…等々、といった言葉です。
このような自分にとってピッタリな勇気づけの言葉を予め持っておき、自分に囁きかけるのです。いつも「自分はダメだ」「もう無理だ」と考えているのとは、行動が違ってきます。嫌なことがあった時、傷ついた時、自信を失いかけた時には、自分で自分に「天使の囁き」を唱えましょう。そして、自分を自分で勇気づけられる人間になることで、他者を勇気づけられるようにもなるはずです。
躁うつ病(双極性障害)、不安症、強迫症、
睡眠障害(不眠症)、自律神経失調症、心身症、
パニック症、摂食障害(過食症)、統合失調症、
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群(IBS)、ストレス関連障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリング(心理療法)をご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
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