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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
「眠れない」というお困りは、最も頻度の高いお悩みの一つに数えられます。「寝つきが悪い(入眠障害)」「途中で目が覚めてしまう(中途覚醒)」「早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)」「全体的に眠りが浅い(熟眠困難)」に分けることが出来ます。
眠れない時には、安易に睡眠薬に頼るのではなく、まずは眠れる工夫をするようにしましょう。不眠への対処はそれこそ星の数ほどありますが、ここでは、ごく基本的ですが効果の高い「不眠時の筋弛緩法」について説明致します。
不眠に陥られた際、当然あなたは眠ろうとされます。しかし、眠ろうとされればされるほど、焦ってきてしまい目が冴えてきてしまうことがよくあります。焦りは、心の緊張と全身の筋肉の緊張をもたらし、却って睡眠(入眠)を妨げてしまうのです。
睡眠は、「臥床(がしょう)→筋弛緩(筋肉を弛める)→入眠」という一連の行動から成り立っていますが、眠ろうとされる努力は、実はこれと全く逆のことをしていることに他なりません。つまり「臥床(がしょう)→筋緊張→覚醒」です。これでは眠れるはずがありません。よって、眠りたいのであれば、まずは「眠ろう」と頑張らないことです。では、どうすれば良いのでしょうか。
上記に挙げました「臥床→筋弛緩→入眠」のプロセスに沿って、「臥床→筋弛緩」の部分だけに注目するようにします。最後の「入眠」については一切考えません。ひたすら「脱力」です。ここさえ上手く出来れば、入眠は自動的についてきます。
まず、「臥床」です。横になられる時には、全身の筋肉が弛緩しやすいような姿勢を取ること、つまり、仰向けになることが重要です。
仰向けになられたら、足は肩幅程度に開き、腕は軽く身体から離してリラックスして下さい。手のひらは、下向き、敷布団の側に向けます。この時、顎をやや突き出すようにされて、喉にかけてまっすぐになるようにします。頭頂部よりやや後ろで布団と接する形です。
このような姿勢を取る理由は、頭部と手足を含め、身体の背面全てが布団(マット)に接するようにすることで、体重を支える力を均等に分散させ、身体のどこか一か所に負担が掛からないようにするためです。
横向きですと、体重を支える面が狭くなる上、上腕の上部、腰部に支える力が集中し、筋肉に負担が掛かってしまいます。うつぶせは、体重の分散という点では問題はありませんが、首が90度に回るため、首と肩の筋肉に負担が掛かります。これを続けると、頭痛や肩こりの原因になる上、ほお骨の一点で頭の重みを支えることになるので痛みが生じます。
手のひらを下に向ける理由は、それが人間にとって自然な姿勢だからです。上(掛け布団側)に向けると、前腕から上腕の筋肉に緊張を強いてしまいます。ピンとこない方は、立った姿勢で両腕をだらりと下に垂らしてみて下さい。手のひらは、後ろからやや身体寄りに向いているはずです。
やや顎を突き出すのは、首を伸ばして気道を十分に確保するのと、首を後ろに曲げ気味にすることで、頚部や肩の筋肉に負担を掛けないようにするためです。
枕は、出来れば使わない方がいいでしょう。何故なら、枕を使うと、どうしても首が前屈気味になり、首から肩に掛けての筋肉に緊張が起こります。枕があった方が落ち着くという方は、首枕や、タオルを2~3枚重ねる程度にされて、出来るだけ低くされるようにして下さい。
次に、顎の力を抜いて下さい。何故、顎なのかと言いますと、「眠れない」という精神的緊張が筋肉の緊張をもたらす際、全身が一様に固くなるのではなく、下半身よりも上半身の筋肉、特に顎から首、肩、上腕にかけての筋肉、とりわけ、顎の筋肉である「咬筋(こうきん)」が緊張するからです。
ひたすら咬筋の力を抜いて下さい。電車で居眠りをしている人のように、口をぽかんと開けるイメージです。これでもか!という位、徹底的に抜き続けて下さい。そうすると、自然と首から肩にかけての筋肉群の力が抜けていきます。さらに、上腕から脱力が波及し、やがて全身がリラックスしていき、いつの間にか入眠している…ということになることでしょう。
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