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心配事が多くて気疲れするときの漢方とは?

A.

不安(不安症不眠(不眠症は、中医学(漢方)的にはよく似ています。

 

 

ただ、一口に「不安」と言っても、幾つか種類があることは言うまでもありません。心配や思い悩み、漠然とした不安、驚いたり怯えたり…等々があります。それぞれに効果がある漢方薬は微妙に異なってきますし、勿論その患者様の体質や体格(=「証」)をしっかりと把握することも欠かせません。

 

 

では、次のような患者様からの訴えがあった場合はどうでしょうか?

 

 

『健康診断で血糖値が高いと言われてから、何だか不安になってしまって、ずっとそのことばかり考えてしまいます。大学に進学して一人暮らしをしている娘のことも心配です…。ベッドに入っても色々な心配事が頭から離れず、気が付いたら2時間余り経っています。眠れないので、日中も疲れています』

 

 

このような思い悩みは、漢方では「心血」の不足から起こることが考えられます。さらに、疲労感もあることから「気虚」の存在も示唆されます。考え事がグルグルと頭を巡って寝られないというのは、まさに心(神)」が不安定な状態にあること(=心神不安(しんしんふあん)」状態にあることが考えられます。

 

 

帰脾湯(きひとう):こういった時に使用される代表的な漢方薬としては、「帰脾湯(きひとう)」が挙げられます。帰脾湯は心気虚と心血虚を補い、安神作用を持ちます。ここに、火照りやイライラ、強い思い込み等があれば、「加味帰脾湯(かみきひとう)」の方がより合うかもしれません。

 

 

加味帰脾湯(かみきひとう)」+「竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)」:思い煩い、中々決められない、堂々巡りで頭も火照ってくるという状態に、加味帰脾湯だけでは決定打が無い場合、時たま「竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)」が用いられることもあります。この竹筎温胆湯には、清熱や利水作用があるため、患者様の「証」がそれにマッチすれば上手くいくことがあります。

 

 

帰脾湯」+「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」:帰脾湯の生薬だけでは上手くいかない時に、竜骨(りゅうこつ)や牡蛎(ぼれい)の出番です。これらの生薬は、夢を多くみる、寝汗が多い、ドキドキしやすくて驚きやすいといった時にフィットしやすいことがあります。

 

 

 

このように、中医学(漢方)では、一見すると同じ症状に見えたとしても、患者様の体質(「証」)によって異なる漢方薬が処方される「同病異治(どうびょういち)」の考え方に拠りますですので、自己判断で、薬局などの市販の漢方薬を選ぶよりも、きちんと医師に診てもらって処方を受ける方が、ご自分に最適な漢方薬が見つかり易くなることは間違いないでしょう。

 

 

なお、これら不安や不眠に関する漢方薬(漢方療法)は、当院のような心療内科クリニックにおいて、保険適用で処方することが可能です。ご希望の患者様は、診察時に医師の方にお申し出下さい。

 

 

当院では、

不安症、睡眠障害(不眠症)、自律神経失調症、

うつ病、躁うつ病、適応障害、心身症、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

パニック障害、月経前症候群、ストレス関連障害、

統合失調症、強迫性障害、過敏性腸症候群など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。

 

出典:現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖症状からチャートで選ぶ漢方薬 杉山卓也著

出典:「Kampo View」https://www.kampo-view.com/