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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
以前同コラムにて、「適応障害について教えて下さい」を書かせて頂きました。今回はその2回目になります。
「心身症」が、ストレスによって身体が病気になった状態であるとすれば、ストレスによって心がバランスを崩した状態が「適応障害」だと言えます。ただし、今のところ、その原因となったストレスが無くなれば元の状態に戻ることが出来る段階に留まっていると考えることが出来ます。加えて、この段階においては、脳に器質的なダメージも起こってはいません。
慣れていなかった環境であっても、上手くサポートを受けて次第に馴染むことが出来れば、あるいは、躓いていた問題が解決されることによって、再適応が可能な状態となり、症状が消えていく場合もあります。
しかし、余りにも当事者の方と環境のギャップが大きいと、どんなサポートも上手く行かず、何とかしようとすればする程、心の傷口が拡がってしまう場合もあります。限界を超えてしまうと、脳にすぐには回復しないレベルの器質的なダメージが生じてしまいます。そうなると、もはや「適応障害」とは言えず、「うつ病」などの精神疾患に移行してしまうのです。
適応障害のキッカケとして多い内容は、生活環境の変化です。具体的には、転居や転勤、転校、昇進、配置転換、留学…などが頻度の高いものとして挙げられます。また、対人関係のトラブルや孤立、離別や死別も重要な要因となり得ます。但し「死別」に限っては、2か月以上症状が続いている場合に限って「適応障害」と呼び、それ以内に回復された場合は「死別反応」と呼んで、自然な反応と見なしています。
適応障害は、一般には、原因(キッカケ)となる出来事や変化から「1か月以内」に症状が現れることが多いですが、適応力の高い方の場合は、逆にかなり遅れて出てくる場合もあります。
適応障害の特徴は、同じ環境(の変化)であっても、適応障害を起こすか否かは、個人差が大きいということがあります(参照:「ストレスを緩和する性格特性・ハーディネスとは?」)。その人にとっては苦痛を感じる環境であっても、別の人にとってはやりやすいと感じていることすら起こり得ます。
よって、当事者ご本人にとって、何が苦痛で、何が合わないと感じられているかを、周囲の方々が理解しようとされることが非常に重要になってきます。「他の人は何も言ってこないよ」とか「そんなに気にする必要はないよ」等と言われたところで、当事者ご本人にとっては何の助けにもならないどころか、増々追い詰められてしまうだけとなってしまいます。
「症状」に関しても個人差が大きく、かつ多彩になります。最も多いものは、気分が塞ぐ(抑うつ気分)、イライラや不安を強く感じる、集中力や根気が続かない、しなくてはならないことが手に付かない、といったものであり、うつ状態の際によく見られる症状です。但し、うつ病と異なる点は、良いことや好きな事が起こると、元気や明るさがすぐに戻り、「気分反応性が保たれている」ということです。また、体重減少や、身体や頭の回転が緩慢になるといった症状も比較的軽度に留まります。人によっては、攻撃的な行動や言動が増えたり、人や物に当たったりするような場合や、一時的な退行現象が現れることもあります。
「適応障害」は、通常ストレス源から離れてから6か月以内に回復しますが、環境要因(ストレス因)が改善しない場合には長引いてしまうことも多く、その場合は、「遷延性抑うつ反応」といった呼び方をする事もあります。
このコラムを読まれまして、ご自分の現在のご状況として、
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どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。
当院では、適応障害をはじめ、
うつ病、躁うつ病(双極性障害)、睡眠障害(不眠症)、
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パニック症、不安症、摂食障害(過食症)、強迫症、
月経前症候群(PMS)、統合失調症、過敏性腸症候群、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含む)等、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
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