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医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。
皆様が、「苦手だな」「どうにかしてコントロールできないものだろうか?」と思われる感情の一つに「焦り」の感情があります。
焦りの感情とは、「近未来に果たさなければならない課題(目標)があるにも関わらず、現状が準備不足である時、何らかの対応をするよう警告をする感情」と定義することも可能です。一言で言ってしまえば、「準備不足を警告する感情」です。例えば、仕事で締切りに追われてかなり焦る場面など、その典型と言えるでしょう。
焦りの感情を抱きやすい人には、以下のような特質があるようです。
①他者よりも優越しよう、先に行こうとする傾向が強く、信号が変わろうとする時など、待てずに走ってでも渡ろうとすることがあります。
②仕事に完璧を求め、あまり「ほどほど」という意識が持ちにくい。
③それでいて、自分を「怠け者」だとみなしている(本当の怠け者は、優越・完璧の意識が少ないです)。
④「緊急にどこかに電話をしなくてはいけないのに、正確にプッシュボタンが押せない」とか、「試験が近いのに、しっかりとした準備が出来ていない」というような夢を見ることが多い。
加えて、「タイプA行動パターン」や、「完璧主義タイプ(パーフェイクショニスト)」の可能性がある方も、焦りの感情を抱きやすい傾向があります。
では、「準備不足を警告する感情」である「焦り」と上手く付き合っていくには、どうすればよいでしょうか。ポイントは次の3つです。
(1) 焦りには、前兆として「不安」というシグナルがある
(2) 仕事の優先度、重要度、緊急度の区分を明確にする
(3) 焦る人は、先延ばししながらも、心の中で一種のリハーサルをしている
第一に、焦りには前兆があります。未来・近未来に漠然とした何かがありながらも、手つかずの状態の感情が「不安」です。
自分としては、能力を超えた仕事を引き受けたが、どこからどう手を付けたら良いかが分からない段階での感情が「不安」です。しかし、ある程度見通しを立て、困難を分割しながら進めていくと、不安と焦りは減っていきます。何よりも、手つかずの状態が続くことが最も焦りを招きます。よって、「焦り」に至らない「不安」の段階で対処しておくことは有効です。
第二に、実務的には直面している課題を「緊急度」・「重要度」の両方の尺度から見て、緊急かつ重要なことを優先度No.1として手掛けることです。逆に、「緊急度」「重要度」共に少ないものは、ある程度時間を区切って行った方が良いとも言えます。
ところで、忘れてはいけないこととして、緊急度はないけれども重要度が高いものが挙げられます。こちらもある程度日頃から手掛けていないと、その課題の緊急度が迫ってきた時に、強い焦りを引き起こします。緊急でない内に、何かしらの手を売ったり見通しを立てたりしておくことが大切です。
第三に、時に焦る人は、一見引き延ばしにしているように見えながらも、心の中で一種のリハーサルをしていると言われています。ある種、期日が迫るにつれてエネルギーを高めているとも言えます。もし、早く手を付けてしまうと、この種のエネルギーは中々生まれません。
焦りの感情は、自分を駆り立てる感情でもあります。焦っている時には、罪悪感を抱いたりすることがありますが、これは自分に対してある種プレッシャーを掛けているのです。適度なプレッシャーは、自分を駆り立てる方向に作用し、建設的な範囲に収まるので、さほど問題はないのですが、過度なプレッシャーを感じたり、罪悪感を抱いたりするようになると、当然建設的ではありません。早い段階にアイディアメモを書いたり、構想ノートを作ったりしておくと、少なくとも罪悪感はわずかですが軽減します。
こうしてみると、「仕事への取り組み方の改善」と、「仕事に対する心構えの変更」が、焦りの克服法のようです。ご自身の仕事の取り組み方が、「先行着手型」か「追い込み型」のいずれかであるかを踏まえて、今回の対処法を読んで頂けましたら幸いです。
躁うつ病(双極性障害)、適応障害、強迫症、
睡眠障害(不眠症)、自律神経失調症、心身症、
パニック症、摂食障害(過食症)、統合失調症、
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、
大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、
過敏性腸症候群(IBS)、ストレス関連障害など、
皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、
心身両面からの治療とサポートを行っております。
また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリング(心理療法)をご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。
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